初めてのデートは
東京オリンピック。
お見合いの後
初めて二人きりでお出掛け。
交わす言葉なく
並んで観戦
そして
ご結婚。
「ちゃんとプロポーズしたいのです
テレビでもいいので
一緒に並んで
東京オリンピックを見ながら
プロポーズしたい」
穏やかな笑顔で
そう仰有っていたお爺ちゃんが
倒れた。
意識が戻らず
お名前を呼んでも
手を握っても
反応がない中
娘さんが耳元で囁いた。
お父さん
プロポーズをするんでしょ
お母さんに
ちゃんとプロポーズしたいって
言ってたじゃない
もう直ぐだよ
東京オリンピック！
ホラ....頑張んなくちゃ！
お母さんと一緒に見るんでしょ
一緒に見て
プロポーズをするんでしょ
お父さん！
頑張って！
お爺ちゃんの目から
ホロリと涙が流れ
お指がピクンと
動いた。
そして....
来年、
東京オリンピックを見ながら
奥さまに
何てプロポーズするのですか？
お聞きしたら
「結婚して下さい。って。」
「それから、
結婚してくれて有難う。って
言いたい」
大切な人を想う気持ちは
大きな生命力を生み出す。
奥さまへの想いが
命を救いました。
どんな呼び掛けが
生命力を生むか？
お父さまを失いたくない
娘さんの言葉が
命を繋ぎとめました。
「コロナのお陰で
寿命が一年、延びました」
笑顔のお爺ちゃん。
一年プラスされた
57年越しのプロポーズ。
来年の夏は
お爺ちゃんが
世界中の皆さまが
待ち望み
想い描いた通りの
夏となりますように....
そして、
皆さまの今年の夏が
想い、想われ、
守り、守られ、
穏やかで楽しい一日一日で
ありますように....
