- わたしを離さないで [DVD]/キャリー・マリガン,アンドリュー・ガーフィールド,キーラ・ナイトレイ
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カズオ・イシグロの同名小説の映画化です。
1970~90年代が舞台。ヘイルシャムと呼ばれる寄宿学校があります。そこには「特別」な子供たちが隔離された形で生活していました。一見したところ変わったところはありませんが、その子供たちは人間への臓器「提供者」となるため造られた、人間の「コピー」なのです。成人したら「提供者」としての任務が始まり、早い人は1回の「提供」で、持ちこたえる人は3回以上「提供」し任務完了(=死)となります。
彼女達には人間と同じように魂があり、喧嘩もすれば恋もする、いろんなことに胸を痛めたり喜んだり、自分の「オリジナル」はどんな人なんだろうと興味を持ったりもします。
学校で描いた絵で優れたものはギャラリーに展示されることになっています。当然子供にとってギャラリーに展示されることは名誉なことです。しかし、成人した主人公達はある時知るのです、そのギャラリーは「ヘイルシャムの生徒達にも魂というものが存在する」という主人公達にとっては当たり前のことを外界の人間達にわざわざ証明するためのものだったと。
最初に小説を読んで気に入っていたので、どういう感じで映画化されるんだろう、がっかりさせられそう、なんて心のどこかで観るのを躊躇していた部分がありました。でも、私は小説の抑制された調子でありながらも重苦しくて切なくて、生を全うしようと前向きな部分と達観した部分がユラユラしている感じが映画でも出ていて(映画の方が強く出いてるように感じました)、心に染みる作品になっていると思いました。
小説だと、種明かしを最初からしているわけではないので、主人公達はなんとなく変だな、と違和感を持ちながら読み進めていき、だんだん全貌がわかっていく、というスリルがあったのですが、さすがに映画だとそうもいかないですね。