東北六魂祭 沿革 ③
4月16日、秋田竿燈まつりが例年通りの開催を決定したことで、北東北3県の県庁所在地の夏祭りの例年通り開催が揃った。仙台市では、3月18日にほぼ全域で電力が復旧、4月11日に上水道が全面復旧、4月16日に都市ガスが被害激甚地区を除いて全面復旧するなど生活インフラが復旧し、4月25日には東北新幹線の東京駅~仙台駅間の運行が再開し、ガソリン等の燃料不足の解消も見えてくるなど交通インフラの復旧も進んだ。また、石垣などが崩落した仙台城址において4月13日から本丸の伊達政宗騎馬像周辺など一部が観光客等に開放されるなど、観光拠点の再開も始まった。これらを受けて4月26日には仙台七夕まつりも例年通りの開催を決定した。
4月27日、天王皇后両陛下が初めて東北地方の被災地に入られて宮城県行幸啓を実施し、仙台市と南三陸町で被災者をお見舞いした。4月28日には四十九日法要が各被災地で執り行われた。宮城県が「震災復興キックオフデー」としたゴールデンウィーク初日の4月29日には復興イベントが各地で開催され、仙台市地下鉄南北線や東北新幹線が全線で再開し、日本三景・松島でも観光遊覧船が運行を再開し、球場の仮復旧を終えたベガルタ仙台と東北楽天ゴールデンイーグルスがホーム開幕戦を勝利するなど復興機運が盛り上がった。
原発事故が進行する福島県では「放射能を怖がって観光客は来てくれない」との悲観的な意見もあって花見山(はなみやま)公園のイベントを中止した経緯もあり、5月24日に山形花笠まつりが例年通りの開催を決定したのを受け、翌5月25日に開催されたわらじ祭り企画検討部会において、例年2日間の日程で開催されている福島わらじ祭りを1日間に短縮して開催すると決定した。これで「東北6県都」の6つの夏祭り総てが開催されることになった。
電通は、東北最大の観光資源ともいえる東北の夏祭りを、東北全体としての取り組みに昇華させる体制を整えるため、「東北6県とのつながりがある電通こそが、東北を結ぶハブとなり、同時に、復興支援のために協力したいと考えている企業を協賛できる」と判断。夏祭りが始まる直前の7月中に、東北人自らが団結する大型イベントを行うべき、との結論に至った。