采女 伝説上の采女 

 

猿沢の池/山の井伝説

 

大和物語に登場する"ならの帝"(葛城王(かずらきのみこ/かずらきのおおきみ))と"采女"(春姫)にまつわる伝説である。



なお、伝説にまつわる万葉集の和歌についての解釈が前者と後者では異なっている(「安積山 影さへ見ゆる 山の井の 浅き心を わが思はなくに」が恋情を伝える歌か真心を伝える歌か。「吾妹子が 寝くたれ髪を 猿沢の 池の玉藻に みるぞ悲しき」が藻のように浮かぶ水死体の髪を想起する歌か藻を見て生前の髪を想起する歌か)。

 


この伝説を縁に奈良市郡山市(福島県)姉妹都市となっている。

 



· 猿沢の池 

大和物語による記述や奈良市に伝わる伝説においては、"ならの帝"(奈良時代のさる天皇)の寵愛を失ったある"采女"が猿沢池に投身自殺したというものである。「采女」という謡曲のモチーフである。采女の霊を慰める祭りとして、奈良市の猿沢池畔にある采女神社(うねめじんじゃ)で毎年中秋の名月の時期に例祭采女祭(うねめまつり)が行なわれる。

 

 


· 山の井伝説 

郡山市に伝わる伝説においては前日譚・後日譚が存在する。陸奥国に巡察しにきた葛城王が安積の里長の娘・春姫を見初め都に連れ帰ったが、春姫は許婚の男を恋しく思い猿沢の池への入水を偽装して里に帰る。しかし男は山の井の清水に身を投げた後で、春姫も後を追い投身自殺するというもの。こちらについては、この采女を祀る采女神社(うねめじんじゃ)や、郡山市と安積郡合併のおりに伝説をモチーフとしてつくられた郷土祭郡山うねめまつりミスコンテストにより選考される観光大使「ミスうねめ」が存在する。