坐禅 坐法
暑すぎず寒すぎない場所を選ぶ。曹洞宗では面壁し、臨済宗では壁を背にして座る。
姿勢、呼吸、心をととのえる(調身、調息、調心)。
坐る際には坐禅用のクッションである坐蒲(ざふ)を用いる。座布団を二つ折りにしても代用することもある。坐蒲に腰を下ろし、膝を床につける程度に浅く、足を組む。
足の組み方は結跏趺坐(けっかふざ)もしくは半跏趺坐(はんかふざ)で行う。結跏趺坐のやり方は左ももの上に右足を乗せ、右かかとを腹に近づける。次に右ももの上に左足を乗せる。一方、左足のみを右ももに乗せるのが半結跏趺坐である。いずれも両足と尻との3点でつり合いよくすわる。
手は法界定印(ほっかいじょういん)を組む。右掌を上に向け、その上に、左掌を上にして重ねる。両手の親指先端をかすかに合わせる。
目は半開きにして視線は1m程度先で落とす。
あごを引き、舌は前歯の付け根に軽く触れるようにして口を軽く結ぶ。
肩の力を抜き、背筋を伸ばす。腰は引き気味で腹を少し前に突き出す。鼻とヘソが相対するように。
呼吸は自然にまかせる。鼻からゆっくり吐き、吸う。丹田(たんでん、へその下3寸)から吐き出すという。医学上、坐禅中は呼吸がゆっくりになることが観察されている。
一回の坐禅は「一炷」(いっちゅう、線香一本が燃焼する時間。約45分~1時間)を一単位として行う。集中が乱れてくると姿勢が前屈みになるという。寺院においては坐禅を行う者の背後に直堂(じきどう)と呼ばれる監督者が巡回し、姿勢の崩れた者の肩を警策(曹洞宗では「きょうさく」、臨済宗では「けいさく」と読む。)で打ち警告を与える。
眠気が出た場合は「身を揺らし、或いは目を張るべし。未だ醒めざる時は、手を引いて目を拭い、或いは身を摩(ま)すべし」(坐禅用心記) 。また一炷ごとに畳から降り、作法に則り僧堂周囲の廊下をしばらく歩行して体の凝りを取り、眠気を払う。これを経行(きんひん)と呼ぶ。
禅宗寺院での坐禅は僧堂(そうどう、修行者が仏道修行に励む場)内で行われるが、流儀により庭など屋外でも行われ、そのための坐禅石を庭園に配した寺院もある。また夜坐(やざ)と称し、夜間に坐禅を行う道場もある。
各地に坐禅会を開催し一般信徒に坐禅を指導している寺院がある。また臨済・黄檗宗(おうばくしゅう)と曹洞宗は、いずれも公式サイトにおいて正しい坐禅の仕方や坐禅会の開催情報を提供している。
さらなる研究のための基本となる古典的資料としては以下のものがある。
§ 道元 『普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)』『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』
§ 瑩山紹瑾(けいざん じょうきん)『坐禅用心記』 場所や衣服など、坐法の儀則を具体的に述べた書。