禅(ぜん)
禅(ぜん)は大乗仏教の一派であり、南インド出身の達磨(だるま)が中国に入り教えを伝えて成立したとされている。 中国禅は唐から宋にかけて発展したが、明の時代に入ると衰退していった。 日本に純粋な禅宗が伝えられたのは鎌倉時代であり、室町時代に幕府の庇護の下で発展した。明治維新以降は、日本の禅が世界に伝えられた。
単に「禅」という場合は一般に禅宗を指すが、文脈や場合によって禅那(ぜんな)を指す。
不立文字(ふりゅうもんじ、文字・言葉の上には真実の仏法がないというのは、仏祖の言葉は解釈によっていかようにも変わってしまう)を原則とするため中心的経典を立てず、教外別伝を原則とするため師資相承(ししそうしょう)を重視し、そのための臨機応変な以心伝心の方便など、種々の特徴をもつ宗派である。
坐禅(ざぜん)を基本的な修行形態とするが、坐禅そのものは古くから仏教の基本的実践の重要な徳目であり、坐禅を中心に行う仏教集団が禅宗と呼称され始めたのは中国の唐代末期からである。後に、禅宗発祥に伴ってその起源を求める声が高まり、初祖とされたのが達磨である。達磨のもたらした禅は部派仏教における禅とは異なり、了義(完全、明白に説かれた教え)大乗の禅である。