水葬(すいそう)
水葬(すいそう)は葬儀方法の一種で、遺体を海や川に沈めるやり方である。国によっては宗教上の理由から、土をかけて一旦土に返した形(土葬)をとった後に行う場合もある。
水葬が行われるのは、
1 インドのガンジス川流域等(宗教上の理由)。
2 洋上での死者(軍民問わず)や、上陸戦での犠牲者に対して(遺体搬送が困難な場合。世界的に行われている)。
などである。
通常、洋上の軍隊では、一旦国旗を被せ、滑り台により柩を海中に投下する。その際に弔砲や弔銃がなされる。式中は軍艦旗等は半旗(はんき、弔意を表すために旗竿の最上位より下に掲げた旗のこと。)にされる。
第二次世界大戦中の千巻ミズーリでは、ウィリアム・キャラハン艦長の命令で、日本軍特攻機の遺体を水葬に付されるなど、敵軍の遺体に対しても行われた。
日本
2011年現在では法律により国内では、刑法190条の死体遺棄罪に該当するとされる。
航海上の船舶
例外として、日本船籍の船では船員法15条に基づいて、船舶の航行中に船内の人間が死亡した時に、船長の権限で水葬を行える。
船員法に基づいて水葬を行うには、以下の条件を全て満たす必要がある。(船員法施行規則第15条、第16条)
1 死亡後24時間経過したこと(伝染病以外)
2 衛生上、船内に死体を保存できないこと。(ただし、船舶が死体を載せて入港することを禁止された港に入港しようとするときその他正当の事由があるときを除く)
3 医師の乗り組む船舶にあっては、医師が死亡診断書を作成したこと。
4 伝染病によって死亡したときは、十分な消毒を行ったこと。
5 本人写真の撮影、遺髪、遺品の保管をし、遺体が浮き上がらない処置を講じた上で相当の儀礼をもって行うこと。
また、自衛隊でも水葬に関する事柄が定められている(防衛省訓令 隊員の分限、服務等に関する訓令・第21条)。自衛隊の場合は、船員法の条件と、下の2条件が異なった規定となっている。
6 医師が乗り組む船舶にあっては、医師が死亡診断書または死体検案書を作成していること
7 伝染病によって死亡したときは、感染症法およびこれに基づいて発する命令の規定による消毒方法をしていること