畜生(ちくしょう)

畜生(ちくしょう、SktTiryagyoni、漢訳:横生=おうしょう、傍生=ぼうしょう)とは、仏教において、人間以外の生物のことをいう。六道また十界1つである。十界のうちでは迷界三悪道(趣)に分類される。



畜生は、苦しみ多くして楽少なく、性質無智にして、ただ食・淫・眠の情のみが強情で、父母兄弟の区別なく互いに残害する人間以外の禽獣虫魚(きんじゅうちゅうぎょ)など生類をいう。その種類はすこぶる多い。住所は水陸空にわたるが、本所は大海中に在すといわれる。

衆生・人間が悪業を造り、愚痴不平多くして感謝報謝なき者は死後に畜生に生るとされる。なお、大乗仏教ではこの思想は後々に、死後生まれ変わる世界としてだけではなく、人間が実生活における所行に応じて現れた結果、今生においての精神状態をも指すようになった。

漢語の「畜生」とは、「家畜・蓄養」と「衆生」のことで、「管子」禁蔵や、「韓非子」解老等に用例が見られる。


俗語への転用

本来は仏教用語であるが、次第に、動物のような生き方をする人に対する呼称となり、さらに転じて「犬畜生」のように他人を罵倒したり、自分の失敗を悔やんだりする言葉と変化していった。 近親相姦のことを畜生道ということもある。