六欲天(ろくよくてん)

六欲天(ろくよくてん)は、天部(神)のうち、いまだ欲望に捉われる6つの天界をいう。六天ともいう。またそのうちの最高位・他化自在天(たけじざいてん)を特に指して言う場合もある。

他化自在天は、天魔波旬(てんま・はじゅん)の住処であることから、織田信長は「六欲天の魔王」と自称したといわれる。




仏教では、六道地獄界餓鬼界畜生界修羅界人間界天上界)、また十界(六道の上に声聞界縁覚界菩薩会仏界を加えたもの)といった世界観がある。

このうち、六道の地獄から人間までは欲望に捉われた世界、つまり欲界という。しかし天上界では細部に分けられ、上に行くほど欲を離れ、物質的な色界・そして精神的な無色界(これを三界という)がある。

ただし、天上界の中でも人間界に近い下部の6つの天は、依然として欲望に束縛される世界であるため、これを六欲天という。

六欲天を上から記載すると次の通りとなる。

§ 他化自在天(たけじざいてん)

欲界の最高位。また天界の第6天、天魔波旬の住所。

§ 化楽天(けらくてん、楽変化天=らくへんげてん、とも)

六欲天の第5天。この天に住む者は、自己の対境(五境)を変化して娯楽の境とする。

§ 兜率天(とそつてん、覩史多天=としたてん、とも)

六欲天の第4天。須弥山の頂上、12由旬(ゆじゅん)の処にある。

§ 夜摩天(やまてん、焔摩天=えんまてん、とも)

六欲天の第3天。時に随って快楽を受くる世界。

§ 忉利天(とうりてん、三十三天=さんじゅうさんてん、とも)

六欲天の第2天。須弥山の頂上、閻浮提の上、8万由旬の処にある。帝釈天のいる場所。

§ 四大王衆天(しだいおうしゅてん、四天王の住む場所)

六欲天の第1天。持国天増長天広目天多聞天の四天王がいる場所。