「そろそろ帰りましょうか。明日も早いでしょう」
恭史郎さんが私の髪を撫でていた手を離す。
そしてその代わりに私の方へ手を差し出して言った。
「ホテルまで送ります」
その手を握ろうと手を伸ばしたけれど、
(離れたくないな…)
そんなことを思って、気づけば伸ばした手でそのまま恭史郎さんの服の袖口を掴んでいた。
「紗久良さん?」
「あ…ごめんなさい、でも…」
"帰りたくない"と続きを言うのがなんとなく躊躇われて、私はそのままじっと恭史郎さんを見つめる。
すると、恭史郎さんが困ったように小さく笑った。
「困った人ですね、君は…」
「っ、ごめんなさ…」
「別れ際にそんな顔をしてはいけませんよ」
私の言葉を遮るように言うのと同時に、恭史郎さんが反対側の手を伸ばして私の頬をそっと撫でる。
「今日は帰そうと思っていたのに…一晩中離したくなくなります」
「恭史郎さ…んっ…」
恭史郎さんの、どこかいつもより熱を孕んだ視線が絡んで、柔らかく唇を塞がれる。
「すみません、大人げないとは思うんですが…君といるとどうしても欲張りになる」
恭史郎さんが苦笑しながら言って、私の腰をそっと抱き寄せた。
「ん、いいですよ…私もまだ恭史郎さんといたいから」
そっと見上げれば恭史郎さんが私の額に優しくキスを落とす。
「恭史郎さん…」
「行きましょうか。…続きは部屋に戻ってから」
「…!」
(ずるい…)
少し前を歩く恭史郎さんの横顔に胸を高鳴らせながら、私は繋いだ手をそっと握り返した――。
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「紗久良さん、ただいま。遅くなっちゃってごめんね」
「ううん、お疲れ様です…って薫さん、顔赤くないですか?」
「ああ…一門の人たちとお酒飲んで来たんだけど、ちょっと飲みすぎちゃったかな…」
「大丈夫ですか?お水持ってきます」
そう言ってキッチンに向かおうとすると、後ろから薫さんにぐっと腕を引かれた。
そしてそのまま今にも顔が触れてしまいそうな距離まで近づき、薫さんが細い指先でつうっと私の頬を撫でる。
「っ、薫さん…?」
「お水よりこっちがいいな」
「こっちって…ん、ちょっ、薫さ…」
言い終わらないうちに強引に唇を塞がれた。
いつもより性急に深くなるキスに、あっという間に体の芯が甘く疼き出す。
苦しくて軽く薫さんの胸を押し返すと
「こら、逃げちゃダメ」
薫さんが囁いて、首筋に甘く噛み付いた。
「ん、あっ…」
与えられる刺激に耐えきれず、甘ったるい声が漏れる。
そっと目を向けると、いつにも増して艶っぽい薫さんの瞳に捕らえられた。
「可愛い…ねえ、このまま抱いてもいい…?」
「っ、そんなの…だめって言っても聞かないくせに」
「うん。だって紗久良さんが可愛いから…もっと乱したくなっちゃった」
言いながら薫さんが深く唇を重ねて、私の体をベッドに押し倒していく。
(頭、ふわふわする…)
いつもより少し強引な薫さんのキスを受け入れながら、甘い感覚に酔いしれるように、私はそっと薫さんの体を抱きしめた――。
--------end--------
-あとがき-
短いので2本立てでした。
送り狼(?)な恭史郎さんと、酔っ払ってエロさが増しちゃう薫さん(笑)
どっちも以前Twitterに載っけたのをリメイクしただけですが…
このコンビはすごく綺麗というか、独特と色気があるなぁって思います。好きです。笑
ちゃな。