カイが好きになった人。
それは、同じギルドの人だった。
わたしたちよりも更に数ヶ月遅れて入ってきた人。
名前は、さくらさん。
春のさくらのように明るい空気の人で、
ギルドにもあっという間にとけこんでいた。
どちらかといえば人見知りなわたしより、
彼女の方がギルドの一員っぽかった。
* * *
このゲームには、プレイヤーひとりひとりの小部屋があって、
みんな、思い思いにその部屋を飾る。
飾った部屋には、仲間を呼ぶことができる。
カイは部屋の模様替えが好きで、いつも家具を探して冒険に出ていた。
模様替えしたのを人に見てもらうのが好きで、色々な人を部屋に呼んでいた。
わたしも呼ばれたことはあった。
彼は、さくらさんの部屋を気に入ったみたいで、
頻繁に訪れていたみたい。
わたしも入ったことのある彼女の部屋は、
飾り気はないけどシンプルに整えられていて、センスがよかった。
* * *
自分の気持ちを自覚したのはよかったけれど、
普段の彼女の人柄と、その部屋のたたずまいで、
わたしは早々にあきらめた。
彼女に勝てるはずはない。
ゲームで出会った人を好きになるなんて周囲が見えてない。
そう自分を戒めて。