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1985年1月21日、CBSソニーより「ス・キ・ふたりとも!」でデビューしたセブンティーン・クラブ。セブンティーン・クラブと言われても「えっ?何ソレ??」ってな方が多いと推測する。簡単に言うとあの工藤静香さんが14歳の頃、おニャン子に入る前に組んでいたユニットだったのだ。このユニットは工藤さんの他に、柴田くに子さんと木村亜紀さんとの3人組として売り出された。そもそもなぜにこの3人が「セブンティーン・クラブ」なるユニットでデビューすることになったかというと、実はこの3人「‘84ミスセブンティーンコンテスト」に於いて決勝まで残ったメンツだったのである。ちなみにこの大会の出場者はかなり凄いことでも有名だ。「春色のエアメール」の松本典子さん、「竹下涙話」の網浜直子さん、アイドル歌手としてデビュー後、C.C.ガールズの一員としてブレイクした藤原理恵さん(←彼女は「セーラー服通り」にも出演していた)、そしてあの渡辺美里さん、「オペラグラスの中でだけ」でキラリと光る歌唱力を見せた村田恵里さん、後に「ベイビー・リップス」というCMソングで麻倉晶と改名した斉藤さおりさん、つい最近もこのブログにおいて「バレンタイン・キッス」で登場したばかりのおニャン子、国生さゆりさんなどなど、とにかくかなりハイレベルな大会だったのだ。

挙げた名前を見てもお分かりの通り、この大会の殆どの入賞者がソロデビューを果たす結果となったのだが、工藤さんをはじめとするこの3人はいっぱひとからげ状態…。(笑)なぜかユニットを組まされてのデビューと相成った。

表題のデビュー曲は作詞を「少女A」などのヒットで知られる売野雅勇氏、作曲を大森敏之氏が手がけた春らしいかわいいメロが特徴の楽曲だ。大森氏はアニメ「伊賀野カバ丸」のOPでシュガーが歌った「サーカス・ゲーム」のヒットをはじめ、「ダーティ・ペア」など、アニメ関連の音楽を主に手がけていた方だ。パティやヘレン笹野さんといったアイドルにも楽曲を提供していた。

この曲の内容はというと...要はふたりの男の子からラブ・レターをもらちゃって「どっちも魅力的~!選べないわぁ~!!」とのたまっている曲なである。Hな鈴木くんと純情な佐藤くん、この歌の主人公の娘は鈴木くんの危険な魅力と佐藤くんの純なところ...「どっちもステキなのぉ~♡」ってな状態なのである。要は♪けんかをやめて~ふたりを止めて~わたしのために争わないで~もうこれ以上~といった手に負えない状態になる前の段階なのだろう。(笑)

それにしても...あらら?鈴木くんと佐藤くん??どっかで聞いたことがあるような…。これを読んでる方の中でも頭の中ですでにピン!と来ているという人も多いだろう。そう。実はこの曲、S&Bから発売されていたスナック菓子「鈴木くんと佐藤くん」の初代CMソングだったのだ。(←このスナックに関してはずっと前にこのブログのここで記事にしているので興味のある方はぜひ目を通してみて下さいな。)S&Bと言えばカレールーはもとより、5/8チップなどのスナック菓子分野でもヒット作を生み出したことでも名を馳せ、しかもあの「ザ・ベストテン」のスポンサーとして名を連ねていた会社でもあったのだ。当然、CM間には社の商品を宣伝するためのCMが織り込まれていたが、当然、このセブンティーン・クラブのデビュー曲も「鈴木くんと佐藤くん」のCMソングとして同時間帯にガンガン流されていたのだ。しかも高視聴率を誇った番組枠でのCM攻勢ということで「じゃあ、さぞかし効果テキメンだっただろうな…」と予想するのが普通だろう。しかしこの曲は全く持って鳴かず飛ばず~という信じられない結果に終わってしまったのだ!ガ~ン!!

一体なぜにこんなに売れなかったのだろか?センターを務めた柴田くに子さんはかなりの美少女、それを脇で支えたおふたりだってそこそこのアイドル顔はしていたと記憶するが…。しかも曲の途中からはセンターを代わる代わる交替しての歌唱、そしてこの曲の最後の部分には...

♪ふたりに内緒ネって キスしちゃった~
 
と一時的にセンターに立つ木村さんめがけて両脇のおふたり(←工藤さんと柴田さん)が頬にキッスするなど、なかなかインパクトのあるパフォーマンスも見せていたのだ。

♪イケないかな わたし~

のところでもヘンテコなポーズをとっておどける3人。そんな「イケないかな~」って聞くまでのことでもないでしょうが~。(笑)でも悩み多きティーンのことだし、お試し期間中でのことだったのだろうから、まぁ大目に見てあげようか...。(笑)

これだけのステキな(!?)パフォーマンスを見せ、しかもCMソングにもなっていた好材料があったにもにもかかわらず、全く売れなかったというのは、今もって謎なのである。3人の歌声を聴いてみてもこの曲のカワイらしさは充分に伝わってくるし、出来が悪いワケでもなんでもないのである。まぁ、ちょっとケチを付けてみればいささかB級臭が漂っているかな...くらいのモノである。

こんな具合で初っ端からケ躓いてしまったセブンティーン・クラブ。同年の7月にやっとこさシングル第2弾「バージン・クライシス」の発売に漕ぎ着けたが、なんと半年もブランクが空いてのリリースとなってしまったのだ。3ヶ月に一度は新曲を出すのが普通だった当時のアイドルとしては致命的なブランクだ。この曲は爆風スランプのサンプラザ中野さんが作詞をしたことで、多少話題にはなったが、こちらもなんでかな…鳴かず飛ばず…。まさに彼女達にとってクライシスの様相を呈してしまったのである。

この後、セブンティーン・クラブはこれらシングル2枚だけを残して空中分解!柴田さんは森丘祥子と改名して90年にソロデビュー、木村さんは解散してまもなくB.C.Gという美少女集団に加入、そして工藤静香さんは芸能界生き残りを賭けておニャン子のオーディションを受けることになるのであった。アイドルは売れないとかなりミジメなモノなのね…。

☆作品データ
作詞:売野雅勇 作曲:大森敏之(1985年度作品)