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ロクサーヌのブログ

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「ねがはくは 花のしたにて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ」


この時期になると この歌が 浮かぶ



学生の頃  友人に手渡された 色紙に書かれた 短歌

「大海の 岩のはざまに 一人いて 人目思はで もの思はばや」 

これが きっかけで 西行に心奪われた




なぜ 北面の武士であり 文武に優れていたといわれる佐藤義清が 身分を捨て 出家したのか。





諸説有り 今となっては真実は薮の中。

しかし 失恋が原因とする説は 説得力をもつ。 ああ これほどまでに 焦がれる恋が 西行にもあったのか。もののふを漂泊の旅へと駆り立てるような 悲恋が。







全てをなげうち、苦悩に身を委ねた西行を思う。

その苦悩が昇華して あのような歌になり 800年の時を超え 私たちを魅了するのだと。





私はと言えば 恋と正面切って名付けることさえできぬ思いに、

進むことも退くこともできず 立ちすくんでいる。





いやしかし  それでも粛々と ありのままを受け止めるしかないではないか。





    立ち往生しながらも ただ粛々と







ニーチェの言葉」




久しぶりに立派な装丁の本を手にしました。




       フリードリッヒ・ニーチェ 哲学者です。




哲学といえば

苦い思い出がよみがえります。







学生時代 ある哲学の先生が好きになり

講義をいくつも取ったことがあります。




好きっていったって

それは 講義の内容が です。




哲学というと ハードルが高くて 眠くなることがしばしばでしたが



その先生の講義は 軽やかで 

私に 哲学への門戸を開かせてくれました





            あるとき





先生は私の横をツカツカと通り過ぎ

登壇したかと思うと





コンと小さな音をたてて  

ガラスコップを卓上に置かれました





コップには目にも鮮やかな 

紫のカトレヤが一輪





今でもそのあでやかな花の形 芯が濃い紫の花びらをも思い浮かべることができます



 「いただきものだが あまりに美しかったから

   君たちにも見せたくて 持ってきました」



そうおっしゃいました





私は 教官室から この講義室まで コップを手に

背筋をピンと伸ばして 

少し微笑みながら



大きな歩幅で ゆったり歩いてこられる

先生の姿を想像して

いっそう 敬愛の気持ちが強くなったのを

覚えています







それから ほどなくして



私たち学生を



 

途方もない 悲しみが襲いました





先生の死





先生は山奥の川に身を投げて 亡くなったのです





そのときの衝撃は 今でも胸がうずくほど





それ以来 哲学はまた再び 私から遠ざかりました





しかし 今日 目に飛び込んできたのはニーチェのこんな言葉







「理想を捨てるな  自分の魂の中にいる 英雄を捨てるな」

「最初に 自分を尊敬することから始めよう

まだ 何もしていない 自分を、まだ 実績のない自分を、人間として尊敬するんだ」



何か 言いしれぬ思いがこみ上げ





あのとき 自分の命を縮めた先生の 講義との矛盾に 苦しみ

先生の おられたことさえ 忘れ去ろうとした





しかし どうだろう







まだ未熟な私たちに 敬意を払い  

自分が獲た すべてのことを 惜しみなく与えようとしてくださったのは 

先生ではなかったか





時を経てもなお





先生の言葉は 新鮮な響きを持って 胸を打つ





たまたま 出会ったこの本が また 私を 新たな世界へと 

誘ってくれました












「たとえ ほかの 誰かを 傷つけてでも 引き返せないほど 恋に落ちた・・・・」

谷村有美さんの楽曲の 歌詞にありました音譜



恋愛に限らず 人は 生きているうちに どれだけの 人を 裏切ったり 傷つけたりしているのでしょう




数年前



敬愛する友人に言いました

「あなたの頭と交換したら どんなに すべてがクリアに見えて 小気味よく判断できることだろうな~ 」




即座にその友人が答えます

「は~ 苦しいよ~ 俺と代わったら いろんなことに気付くし 俺は ○○と変わったら 毎日楽しいね!

何せ 能天気だから  ははは~」






私のささやかな反論を聞き流して彼は

「俺さ 警察にやっかいになること以外は 全部やったから もういつ死んでもいいくらいだけど 

 でもね 生きていく上で 知らなくてもいいことは 山ほど有る 

 だから 

 ○○は そのままでいい  そのまま 知らなくていいことは知らずに 信じること忘れずに生きていけたら それが 一番」




いつも茶化してばかりいた 友人が えらく まじめな表情で告げた言葉




世間知らずとか 甘っちょろいと言われる度 なんとかしなきゃと 思ってきた私にとって  

その言葉は ずんと

心に響いて あったかく広がりました






それ以来「人を信じること 忘れずに・・・」って言葉は

私にとって支えの一つになっていました・・・・






けれど 

今   

私は思う




どんなに より善く生きようと 努めていても 心ならずも・・・・・ということは たくさんあるはず

いや そればかりか よかれと思ってしたことが かえって人を苦しめてしまっていることだって




愚かだと分かっていても 



所詮自分のことしか 考えられないことの 哀しみ






でも 一方では  人生は一度きり 自分の気持ちに忠実に生きろ と誰かが叫ぶ






ありのままに 生きることは

熱望しても なお 難しいことです