「ねがはくは 花のしたにて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ」
この時期になると この歌が 浮かぶ
学生の頃 友人に手渡された 色紙に書かれた 短歌
「大海の 岩のはざまに 一人いて 人目思はで もの思はばや」
これが きっかけで 西行に心奪われた
なぜ 北面の武士であり 文武に優れていたといわれる佐藤義清が 身分を捨て 出家したのか。
諸説有り 今となっては真実は薮の中。
しかし 失恋が原因とする説は 説得力をもつ。 ああ これほどまでに 焦がれる恋が 西行にもあったのか。もののふを漂泊の旅へと駆り立てるような 悲恋が。
全てをなげうち、苦悩に身を委ねた西行を思う。
その苦悩が昇華して あのような歌になり 800年の時を超え 私たちを魅了するのだと。
私はと言えば 恋と正面切って名付けることさえできぬ思いに、
進むことも退くこともできず 立ちすくんでいる。
いやしかし それでも粛々と ありのままを受け止めるしかないではないか。
立ち往生しながらも ただ粛々と