俺のじいちゃん
じいちゃんの自分史がやっと完成した!
『思い出の満州』
【赤いカバーは、じいちゃんが昔みた、大陸に沈む満州の真っ赤な夕日をイメージしている】
じいちゃんが若かりし頃…日本は戦争真っ只中…満州へ行ったじいちゃんの記憶を綴った自分史
現在94歳になる俺のじいちゃん
まだまだ元気!
自分史を書きたいと言い出したのは、去年の事。。。
その頃じいちゃんは、末期の癌で入院するばあちゃんの病院に朝から晩まで毎日通っていた
朝は11時頃から、夜は20時過ぎまで
本当に一日もかかさず毎日
周囲はじいちゃんの体を心配し、なんとか病院に通う頻度を減らそうとしたが、じいちゃんは頑なだった
じいちゃんっ子である俺は、青森に帰るとじいちゃんを毎日ばあちゃんの病院に送り迎えした
それから、一日中ばあちゃんの隣に付き添うじいちゃんのために、椅子とクッションを買ってあげた
日に日に弱っていくばあちゃんを見るのは本当に辛かった
そんなある日、じいちゃんが自分史を出版したいと言い出したのだ
前々から構想はあったらしく、原稿も半分以上書き上がっていた
いつもいつも、初孫である自分を可愛がってくれたじいちゃんの役に立ちたいと思い、じいちゃんの自分史出版の手伝いを引き受けたのだ
最初青森で出版できそうなお店を探したが、費用が異様に高かったので、とりあえず東京で探す事にした
青森にいる間、毎日じいちゃんを病院に送り迎えしながら、自分史の構想を二人で話した
表紙の色をどうするか、挿絵を入れるか、写真も入れてみようか…
構想は膨らんでいった
大好きなじいちゃんと一緒にモノづくりをしている…楽しくてしょうがなかった
再び東京へ戻る時には、残りの原稿も完成していた。。。
…じいちゃんは、ばあちゃんの病室を出る時、必ず寝ているばあちゃんを起こした
そしてばあちゃんの手を握り、明日また来るからなと声をかけた
この素敵な握手を見る度に、俺は胸が締め付けられ、同時に暖かい気持ちになった
最期の最期まで一人の男性に愛されるばあちゃんは物凄く幸せ者だし、じいちゃんはカッコいいなと思った
だんだん目を覚まさなくなるばあちゃんに、じいちゃんは声をかけ続けた
いつの日だったか、ばあちゃんが胸で手を組んだまま寝ていた
帰り際、それに気付いたじいちゃんがばあちゃんの手を解こうとした
俺はじいちゃんに、ばあちゃん寝てるし起こさなくていいよと言ったのだが…
胸で手を組んだまま寝ると悪い夢を見るからと言って、どうしてもばあちゃんの手を解こうとした
ばあちゃんが虚ろに目を開け、じいちゃんを見つめた
胸から手を解いて、またじいちゃんはばあちゃんの手を握り、明日また来ると声をかけた
愛に溢れた二人のやりとりは、とても暖かく、やはり辛いものだった
毎日おばあちゃんの病院に通う生活を、その後じいちゃんは半年続けた
そして、そんな二人の日々は突然終わる
朝方、突然ばあちゃんが吐血し、そのまま帰らぬ人となってしまったのだ
毎日毎日朝から晩まで付きっきりでいたのに、息を引き取る瞬間にじいちゃんは立ち会えなかったのだ
なんともやり切れない気持ちだった…こんな事って
後から聞いた話だが、朝方のばあちゃんの吐血はかなり激しかったらしく、その現場は壮絶だったようだ
勝手な解釈ではあるが、ばあちゃんはその現場をじいちゃんに見せたくなかったのではなかろうか…だから、誰もいない朝方に一人で逝ったんじゃなかろうか…
じいちゃんは死に目に会えなかった事を悔やんではいたが…そうでも思わないとやってられない
どんなに尽くしても、やはり悔いは残るのだと改めて感じた
だから、せめて後悔だけはしないようにしなければいけない
じいちゃんからそんな事を学んだ気がした
ばあちゃんが死んでじいちゃんは、少し元気がなくなり、少し痩せ、少し老けた
そんなじいちゃんに少しでも元気を出してもらいたくて、『思い出の満州』の完成を急いだ
そして、今回の帰省になんとか間に合い、じいちゃんに本を手渡す事が出来たのである
今、実家では自分の親父が体調を崩し入院している
自分の奥さんの次は、自分の息子のために毎日病院に通うじいちゃん
案の定、じいちゃんの身体を心配する周囲の言葉には耳を傾けない
自分の信念の元、自分の愛する人間のために、毎日病院へ足を運ぶ
自分の命を擦り減らしながら
じいちゃんの体調が心配ではあるが、それをじいちゃんが望む限り誰にも止められないと思う
だから、俺は俺の出来る事でじいちゃんの支えになれればいいと思う
完成した本をじいちゃんに手渡すと、自分が思っていたモノよりも出来栄えが良かったらしく、たいそう喜んでくれた
良かった(^ω^)一安心♪
本の構成は…
はじめに…を孫である自分が書き、じいちゃんを紹介
本文があり、挿絵としてじいちゃんの描いた満州の大陸に沈む夕日の絵や、若かりしじいちゃんの写真も入れた
あとがきをじいちゃんに書いてもらい…
最後のページに、じいちゃんとばあちゃんの写真を掲載した
その写真も、じいちゃんはかなり気に入ってくれたみたいだった
もう少し本が早く完成していれば、ばあちゃんにも本を見せれたのに…
やはり、悔いは残るモノである
だから、後悔の無い人生を。できるだけ。
青森で芝居の稽古があり、一ヶ月程青森で過ごす事ができる
なるべくじいちゃんを、父ちゃんの病院へ送り迎えしたいと思う
そして、じいちゃんの次なる本の構想を聞きながら、二冊目の準備にとりかかろうと思う
次回じいちゃんは、昔みた田園の風景を本にしたいのだそうだ。。。
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