今の今 或る処に
一匹のそれはそれは立派な美しいトラ猫がおりました
彼の毛並みはエメラルドのように深碧で
そしてサファイアのように深青でした
その凛々しい高貴な佇まいに人々は
限りない愛情を注ぎ讃えるのでした
人々はその愛情の証として彼に立派な王冠を贈りました
麗しい宝石に彩られた王冠を頭上に
トラ猫の彼は猫の王様となったのでした
猫の王様としての資質
人々の尊敬と愛
彼は全てを手にしていました
でも彼にはとても欲しいものがあったのです
かれの鳴き声は
ちょっとダミ声でありながらどこか甘く
蠱惑の音色でした
魅惑のにゃあにゃあです
ある時
彼は散歩の途中で一匹の立派なゴリラに出逢います
筋骨隆々な立派なゴリラです
さぞや雄叫びも迫力に満ちているだろう
猫の王様はそう思ったのですが
立派なゴリラは歌を唄っておりました
切ないバラードを唄っていたのです
その時
猫の王様は自分が欲しているものを確信したので
す
そう歌が唄いたかったのです
立派なゴリラと思われた
実は成熟期を迎えた人間
名前なジョバーニ
切ない切ないバラードを唄っています
♪ 背中に猫を飼っちまったぜ ♪
それを聴いた猫の王様は
ジョバーニの背中に猫がいないことを怪訝に思い
猫が飼いたくて切なく唄うんだなと思いました
猫の王様は歌が唄いたかった
でも猫だから唄えません
ジョバーニは背中に猫を飼いたった
でも我儘なので並の猫では務まりません孤独です
そして
猫の王様は決めたのです
ジョバーニの中で生きていこうと
王冠を捨て愛してくれる人々を残し
ジョバーニの背中の中に入り姿を消すのでした
今はジョバーニに唄の中に生きる猫の王様
ジョバーニは背中に猫の王様の愛を背負って唄うのでした