上弟くんの夢は、

自分のお店をもつことでした。

 

上弟くんは体調に波はありましたが、まじめにコツコツ働き、お金を貯めていきました。

 

上弟くんが言うには、母ちゃんが「借金をすることは許さない。ローンも認めない。何をするにもキャッシュでなければ認めない。」と条件をつけていたそうです。

(自分が上弟くんに言ったかどうかは覚えていません)

 

上弟くんが荒れた時、「なぜ自分だけ、自分がやりたいことをするのに家族の許可をもらわなければならないのか?母ちゃんも下弟くんも自分がやりたいことをするのに、オレに許可を得てるのか?」と言ったことがありました。

 

上弟くんが言うのはごもっともで、母ちゃんは上弟くんを見張っていたように思います。心配だから目を配っていたのだけど、よく言えば「目配り」で、悪く言えば「見張り」ですよね。

 

穏やかな時に母ちゃんが助言すると、しばらく時が過ぎて荒れた時、

「あの時、姉ちゃんはオレにこう言った!」「ほんとは、オレはこうしたかった!」と、過去をほじくり返して責めるのです。

ばあちゃん2号も母ちゃんも、上弟くんに責められるのがツラく、荒れた時に責められないようにするには、穏やかな時も何も意見や助言をしないで、本人(上弟くん)の意思に任せよう。と決めたのです。ばあちゃん2号も母ちゃんも守りに入りました。それに、上弟くんの人生なので、周りに迷惑をかけなければ、好きなことをしたら良いと思うようになりました。

 

そして、ついに上弟くんは、自分のお店を持ちました。

小さな洋食屋さんでした。

従業員を雇う余裕はないので、ばあちゃん2号が手伝いに入りました。

上弟くんが憧れていたコック帽にコックコート。

すごく似合っててカッコよかった。

上弟くんは夢を叶えたのです。

 

母ちゃんも、ダンナさんと子どもらを連れ、何度か食べに行きました。

キレイに盛り付けられた優しい味のオムライスでした。

 

母ちゃんは、帯付きの札束に憧れていたので、1000円札を100枚帯付きで、開店祝いとして上弟くんにあげました。

(下弟くんが家を新築した時も同じことをしたw)

母ちゃんが家を新築した時、弟たちは何もくれてないwww

 

ばあちゃん2号は、精一杯上弟くんに付き添いました。

ずっとずっと一緒にいました。

 

だけど、なかなか売り上げも伸びなかったのか、周りからメニューに関して色々言われるのが煩わしかったのか、3カ月くらいで閉店しました。(メンタル的にも踏ん張れなかったんだと思います)

 

閉店時、「開店祝いをもらったのに、何もお返しができないから…」と、お店で使っていたスチール棚や食器、調理器具、食材など、沢山の物をもらいました。

(それらは、今、我が家で使っています)

 

上弟くんは、束の間でしたが、自分の夢を叶えました。

 

21 上弟くんとばあちゃん2号の二人くらし へつづく