【詩】左耳を大きく開いて 庭で見つけた赤いみつばちが僕の口から注ぐ固い液体に身を委ね、その薄い写真集の表紙を這うときあなたは左耳を大きく開いてその音を食べようとする、その開いた耳から微かに、微かに見える若い糸の縒り端に僕は勇気を持って力強い口づけをする。朝は誰のものでもない。赤いみつばちのものでも、固い液体のものでも写真集のものでも、左耳のものでも糸のものでも僕のものでも。すべてはあなたの、あなたにふくまれる勇気のにおい。