作り方だけ書いて、材料の分量を書くのを忘れたドジChive…

もう一度、写真を省いて載せますね~



Chives Garden-スコーン1




スコーン (12個分)


材料


薄力粉          250g

ベーキングパウダー   10g

砂糖        大さじ1~2

バター           50g

クリームチーズ     100g

たまご(Mサイズ)     1個

牛乳            50cc 


 注) クリームチーズは50gでもOK!その際、牛乳は70cc

    たまごがLサイズの時は、牛乳は40cc



作り方


(1) オーブンは、190度に予熱する。

   バターは混ぜやすいように小さく切って、使う直前まで冷蔵庫に入れて置く。

  

(2) ボウルに薄力粉、ベーキングパウダー、砂糖を入れ、軽く全体を混ぜ合わせる。


(3) (2)のボウルにバター、クリームチーズを加え、手で揉み込んでさらさらの状態にする。

    バターを指でつぶしながら…


(4) (3)に溶いたたまごを加え、軽く混ぜる。 

    (Chiveは面倒なのでボウルに直接たまごを割り入れてます。)


(5) 牛乳を加減しながら加え、粉っぽさが無くなるまで混ぜ、一つにまとめる。

   (最初はベタベタと手にくっつく感じがありますが、すぐにまとまります。

    あまりこね過ぎず、ざっくり感を残した方が美味しそう♪)


(6) 打ち粉をふった台に出し、手の平で押えながら2~3cmの厚さにのばす。

   型で抜き、残った生地はもう一度まとめて型で抜く。(これを繰り返す)

   (型は、特別な型を使わなくてもコップで代用できます。

   サイズは好みと食べる人数に合わせてね。

   Chiveお勧めの型は、ガチャポンのカラフルなフタの方。

   空気抜きの穴も開いているし、サイズも様々あって、

   しかも種がこびりつきにくい!)


(7) 天板にクッキングペーパーを敷いて、(6)を並べ、190度のオーブンで17分焼く。


注) オーブンの温度と焼き時間は、各ご家庭のオーブンの癖があると思うので、

  180度で12分とかもあるかも。

  Chive家のオーブンは190度で17分焼くと、

  まわりはカリッと中はしっとりふんわり焼きあがります。

  いろいろお試しください。


余って少なくなったタネは、形を整えてそのまま焼いてもいいですが、じゃがりこ位の棒状にしたり、たまごボーロみたいに丸めたりして他のタネと一緒に天板に乗せて焼くと、カリカリのクッキーみたいになります。




゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚



夕食のしたくをしようと尚人が椅子から立ち上がり、焦げたスコーンの乗った皿に手を伸ばす。


「勿体ないけど捨てるよ…」


一応確認とばかりに樹の方をちらりと見た。樹はバツが悪そうに頷いた。

焼いている間に片づけたのであろう、使ったボウルと調理器具は、洗われてカゴの中に伏せてあった。

ふ~っと小さい溜息を吐きながら、尚人の顔が微苦笑に歪む。

生ゴミバケツの中に黒焦げのスコーンを落とすと調理台の上に目がいった。

そこには、クリームチーズの空き箱が置いてあった。樹が捨て忘れたのだろう。


(内容量200g…、って事は…)


「なあ、兄ちゃん。これに使ったクリームチーズさ、半分残ってんの?」


「えっ?…あっ、ああ。」


「ふ~ん」


一人納得顔の尚人は、キッチンの棚やら冷蔵庫やらの扉を開け閉めして何やらごそごそやり始めた。


「なあ、何やってんだ?」


「ん~…、今から作れないかと思ってさ、スコーン。」


「え~っ!今から?」


「うん。チーズが半分残ってんなら材料は揃ってるだろ?せっかくだし。俺、やっぱり食べたいよ。母さんのスコーン。

リンゴジャムもクロテッドクリームも買ってあるじゃん。

わざわざ用意してくれたんだ…。」


そう言うと、尚人はダイニングテーブルに開いたままのレシピノートを取りに来て、樹の顔を目を細めるように見つめて、幸せそうに笑った。



”スコーンが食べたい!クロテッドクリームとリンゴジャムをたっぷり乗せて”


同居を始めてすぐの頃、入学祝いを兼ねて食事に行った帰り、尚人が叫んだ一言を樹は覚えていた。


「えっと…、まずは、材料を測る前にオーブンを予熱しとくんだよな。190度に設定か…。」


「予熱の仕方って、お前わかるのか?」


樹が驚いたように質問して来た。その様子に尚人は、先ほどキッチンに行った時の映像を頭に浮かべた。キッチンは片付いていた。でも、蓋が開けっぱなしだった小型家電があった…


「兄ちゃん…。さっきのスコーンさ。何で焼いたの?」


「何って、オーブン。」


「焼き時間は、レシピ通りに19分間?」


「うん。」


で、洗い物でオーブンから目を離していた間に焦げてしまったと項垂れる。


「あのさ、まさか、兄ちゃんが言っているオーブンって、オーブントースターの事じゃないよな?」


「それだけど?だって、オーブンって、オーブントースターの事だろ?予熱の仕方とかよくわかんなかったから、適当に温めて入れたんだけど…。」


尚人はその場で脱力した…


(そりゃあ、焦げるよ、兄ちゃん…。)





用意する調理器具は、キッチンスケールとボウル一個。後は計量スプーンの大…。

ボウルと計量スプーンは洗いかごの中。後はキッチンスケール。


(そんな物、うちにあったかな~…)


そう思いながら開けたキッチン戸棚の一角に、洗って伏せてある物より、一回り大きめのスレンレスボウルが置いてあった。うちでは見慣れないけれど、尚人には見覚えがあった。


(これって…)


「兄ちゃん、これ母さんの?」


尚人の言う“これ”が何か分かったらしい樹は、キッチンに立つ尚人に向かって頷いた。


「ああ、レシピノートを貰った時に一緒に持って来た。それも父さんは使わないって言うから。…わざわざ買うほどじゃないしな。」


棚から下ろして中を見ると、デジタルのキッチンスケールや粉ふるい、中小の計量スプーンに計量カップが入っていた。それを見た途端、尚人の記憶が過去に遡った。



『尚くん、今日はどのくらいの大きさにする?…型抜きは手伝ってね。』


キッチンにあるダイニングテーブルの椅子に座っている尚人に、振り向きながら微笑むのは在りし日の母親。

焼き立てのスコーンが食べたくて、母親が作るのが待ち切れなくて、尚人はいつも傍で見ていた事を思い出した。


『このスケールはね、ボウルを乗せてからスイッチをONにすると、ボウルの重さをゼロにして計ってくれるから便利なのよ~。』


手慣れているせいか、手際良く材料を計り揃えて行く。


『オーブンはね、先に温めて置くのよ。それから、タネ作りに取りかかるの。』


食べる以外、お菓子作り等まったく興味も無いだろう子供に向かって、料理の先生のように説明しながら作業を進めて行く。傍らには、いつもレシピノートが開かれていた。





作り始めてみると、意外なほど手順を覚えていた事に驚く。いつも見ていただけで、型抜き以外はした事が無いはずなのに…。

粉にバターとクリームチーズを揉み込む時も、タネをまとめる時も作り方を説明する母親の声が尚人の頭の中に響いていた。

厚めに伸ばしたタネをコップで型抜きし、クッキングシートを敷いた天板に等間隔で並べて行く。焼き時間をセットし、スタートボタンを押して数分。男二人で暮らす部屋に甘く香ばしい匂いが漂い始めた。


「懐かしい匂いだ…」


「うん」


ポツリと呟いた樹の言葉に尚人も頷いた。



ピッピッピッピッ…


レンジオーブンの扉を開けると熱気と共に懐かしい匂いが鼻孔をくすぐった。熱々を皿に盛り、焼いている時間に用意したジャムやクロテッドクリームと共にテーブルに運んだ。


「すげっ!母さんのスコーンだ!…なんでおまえは一回で作れるんだ?」


焼き立てのスコーンを一つ取り上げ、二つに開くように割ってその焼けた匂いを嗅ぎながら、樹はひがむ様な眼つきで傍らに立つ尚人を見上げた。


「だって、僕…、兄ちゃんと違って、いつも母さんの手伝いをしていたもん。」


兄ちゃんは、いつも出来上がってからのこのこやって来て、食べるだけだったじゃんと尚人に返される。


「何がいまさら“僕”だよ!この猫かぶり弟!」


そんなやり取りをしながらもせっせとジャムを塗る手は休めない。樹の前に紅茶を入れたカップを置いた尚人も、自分の席に座ってスコーンの皿に手を伸ばす。熱々のスコーンの手触りが…バターの濃厚な香りが楽しかった家族の時間を思い出させた。

尚人の動きがふと止まる。


「…兄ちゃん…」


「ん?」


尚人の異変に“いただきま~す。”と口を開けかけた樹の動きも止まった。


「怒ってないかな、母さん。…俺の事…。俺達の事…」


俯いたままスコーンを掴む尚人の手が震えていた。


「…尚人…。…ぷっ…」


重くなりそうになっていた部屋の空気を、樹の笑い声が吹き飛ばした。


「そうだな~、驚いてるだろうな~…。でもさ、あの能天気な母さんだぜ?絶対面白がってる。」


「まさか、いくらなんでも…。」


「それにさ…」


真顔になった樹が、尚人を真っ直ぐに見つめる。気配を感じて顔を上げた尚人と視線が絡むのを確認してから、やんわりと微笑んだ。


「わかってくれるよ、母さんなら…。それに、喜んでくれてるって思うんだ。俺が一人ぼっちになってしまわなかった事。俺は、そう思ってる。」


「兄ちゃん…。」


「さあ、食おうぜ!俺、もう腹ペコで…。」


照れくさそうに耳まで赤くし、目をスコーンに落とす樹の姿が、冷えかけた尚人の心を温かくしていった。




゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ おしまい゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚




水城さん、Chiveの妄想はつづくよ、どこまでも…(* ̄Oノ ̄*)

レシピ付きミニSSでしたが、これでSSらしくなったでしょうか?





こんにちは♪Chiveです(●´ω`●)ゞ

あけましておめでとうございます、です。


さて、水城麻衣さんちで掲載されてました

『クリーム・ティタイム』第二部 がついに完結♪

おめでとう!

育てていただいたお話の完結お祝いと第三部!続編!番外編!と続く事を願い

主人公である青山樹と尚人のお母さんのスコーンレシピを大公開ヾ(@°▽°@)ノ



Chives Garden



スコーン (12個分)


材料


薄力粉          250g

ベーキングパウダー   10g

砂糖        大さじ1~2

バター           50g

クリームチーズ     100g

たまご(Mサイズ)     1個

牛乳            50cc 


 注) クリームチーズは50gでもOK!その際、牛乳は70cc

    たまごがLサイズの時は、牛乳は40cc



作り方

(1) オーブンは、190度に予熱する。

   バターは混ぜやすいように小さく切って、使う直前まで冷蔵庫に入れて置く。

  

(2) ボウルに薄力粉、ベーキングパウダー、砂糖を入れ、軽く全体を混ぜ合わせる。


(3) (2)のボウルにバター、クリームチーズを加え、手で揉み込んでさらさらの状態にする。


  





Chives Garden



   バターを指でつぶしながら…



Chives Garden


(4) (3)に溶いたたまごを加え、軽く混ぜる。 

    (Chiveは面倒なのでボウルに直接たまごを割り入れてます。)


(5) 牛乳を加減しながら加え、粉っぽさが無くなるまで混ぜ、一つにまとめる。

   (最初はベタベタと手にくっつく感じがありますが、すぐにまとまります。

    あまりこね過ぎず、ざっくり感を残した方が美味しそう♪)



(6) 打ち粉をふった台に出し、手の平で押えながら2~3cmの厚さにのばす。

   型で抜き、残った生地はもう一度まとめて型で抜く。(これを繰り返す)

   (型は、特別な型を使わなくてもコップで代用できます。

   Chiveお勧めの型は、ガチャポンのカラフルなフタの方。

   空気抜きの穴も開いているし、サイズも様々あって、

   しかも種がこびりつきにくい!)



Chives Garden


(7) 天板にクッキングペーパーを敷いて、(6)を並べ、190度のオーブンで17分焼く。


* オーブンの温度と焼き時間は、各ご家庭のオーブンの癖があると思うので、

  180度で12分とかもあるかも。

  Chive家のオーブンは190度で17分焼くと、

  まわりはカリッと中はしっとりふんわり焼きあがります。

  いろいろお試しください。



Chives Garden-スコーン1


水城麻衣さ~ん♪ヾ(@°▽°@)ノ
レシピはこんな感じですがどうでしょうか?
本当は、樹の怪我が治ってから、
尚人と二人で粉だらけになりながらワイワイ作ってる風に書きたかったんですが、
レシピがわかり辛くなりそうだったので断念しました…。



ので、ここからは、Chiveの勝手な妄想ストーリー



夕食のしたくをしようと尚人が椅子から立ち上がり、
焦げたスコーンの乗った皿に手を伸ばす。

「勿体ないけど捨てるよ…」

一応確認とばかりに樹の方をちらりと見た。
樹はバツが悪そうに頷いた。

焼いている間に片づけたのであろう、
使ったボウルと調理器具は洗われてカゴの中に伏せてあった。
ふ~っと小さい溜息を吐きながら、尚人の顔が微苦笑に歪む。
生ゴミバケツの中に黒焦げのスコーンを落とすと調理台の上に目がいった。
そこには、クリームチーズの空き箱が置いてあった。
樹が捨て忘れたのだろう。

(内容量200g…、って事は…)

「なあ、兄ちゃん。これに使ったクリームチーズさ、半分残ってんの?」

「えっ?…あっ、ああ。」

「ふ~ん」

一人納得顔の尚人は、キッチンの棚やら冷蔵庫やらの扉を開け閉めして
何やらごそごそやり始めた。

「なあ、何やってんだ?」

「ん~…、今から作れないかと思ってさ、スコーン。」

「え~っ!今から?」

「うん。チーズが半分残ってんなら材料は揃ってるだろ?せっかくだし。
俺、やっぱり食べたいよ。母さんのスコーン
リンゴジャムもクロテッドクリームも買ってあるじゃん。
わざわざ用意してくれたんだ…。」

そう言うと、尚人はダイニングテーブルに開いたままのレシピノートを取りに来て、
樹の顔を目を細めるように見つめて、幸せそうに笑った。


”スコーンが食べたい!クロテッドクリームとリンゴジャムをたっぷり乗せて”


同居を始めてすぐの頃、入学祝いを兼ねて食事に行った帰り
尚人が叫んだ一言を樹は覚えていた。


「えっと…、まずは、材料を測る前にオーブンを予熱しとくんだよな。
190度に設定か…。」

「予熱の仕方って、お前わかるのか?」

樹が驚いたように質問して来た。
その様子に尚人は、先ほどキッチンに行った時の映像を頭に浮かべた。
キッチンは片付いていた。でも、蓋が開けっぱなしだった小型家電があった…

「兄ちゃん…。さっきのスコーンさ。何で焼いたの?」

「何って、オーブン。」

「焼き時間は、レシピ通りに19分間?」

「うん。」

で、洗い物でオーブンから目を離していた間に焦げてしまったと項垂れる。

「あのさ、まさか、兄ちゃんが言っているオーブンって
オーブントースターの事じゃないよな?」

「それだけど?だって、オーブンって、オーブントースターの事だろ?
予熱の仕方とかよくわかんなかったから、適当に温めて入れたんだけど…」

尚人はその場で脱力した…


(そりゃあ、焦げるよ、兄ちゃん…。)




Chiveのなんちゃって妄想でした。お粗末…(●´ω`●)ゞ


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5月  プレイオフ ファイナル


jbbリーグ20X8-20X9シーズンのプレイオフ ファイナル4!


明聖コロシアム、アリーナのセンターコートに舞い飛ぶ、シルバーとコバルトブルーの紙吹雪。
打ち鳴らされるスティックバルーンと割れんばかりの大歓声。
勝敗の決まったコートで、興奮し突き上げられる幾つもの拳。
背中を押され、肩を叩かれ、頭を小突かれる。
むせる様な汗の匂いも、この時ばかりは気にならなかった。
首に巻かれた太い腕が、小柄な体を力いっぱい抱き寄せる。


「サク~~!!優勝だ~~~!…ウォ~~~~~!!!!!!」


鼓膜が破れそうな咆哮に、顔をしかめながら抱き締めあう。


「グン!!!やったな、俺達!!」


ベンチにいた控えの選手も、コーチ陣もチアリーダー達も、全員コートに集まって、盛り上がる観覧席の歓声に応えていた。




遮光カーテンの隙間から、明るい光が漏れ射している。
身を捻るとサラリとした布の感触が心地よかった。
後頭部が重い…。
そのまま、ずるりとうつ伏せる。


(夕べは、さすがに飲み過ぎた…。)



表彰式の後、祝勝会用に用意された内側をビニールで覆い隠された部屋で、降り注ぐ室温のままのビールのシャワーを全身に浴びた。
季節は春の終わり。

さすがに冷えたビールでは耐えられなかっただろう。
気を利かせた業者側が、掛ける分と飲む分を分けてくれたらしい。


大の大人がみんなしてはしゃいだ。
体の大きいバスケ選手達、まさに“大の大人”だった。
祝い酒を浴び、飲んで、飲んで、そして、仲間と肩を叩きあって笑った。


シャワーで毛穴まで入り込んだアルコールを流し、着替えを済ませ、宿泊先のホテルへ向かう。

マスコミをシャットアウトした宴会場に場所を移しての二次会で更に飲んだ。
圭一にも、そこまでの記憶はある…。


(あれっ?もう、朝?…って、俺、いつの間に…)


ここがホテルの部屋である事はなんとなくわかった。でも…
上半身は裸、毛布を捲ると見慣れないボクサーパンツを穿いていた。
圭一は、自分がいつの間にベッドに潜り込んでいたのかを、ズキズキする頭で必死に思いだそうとしていた。


昨日は決勝戦だった…。
その光景を思い出せば、体中の血が沸騰するように熱くなる。
例えようのない喜びが、沸々と心の奥底から沸き上がって来た。





プロバスケットボールチームBLUE WIZARDは、ホームコートのある蒼の森アリーナで行われた、カンファレンス・セミファイナルを2勝し、ファイナル4進出が決定した。


明聖コロシアムでの、チーム初のファイナル4出場。
緊張で迎えた初日のカンファレンス・ファイナルは、意外なほど圧勝だった。
ところが、翌日のファイナルは、ケガ人続出で苦戦を強いられる事となった。


昨日の勝ち試合に油断した訳ではない。
長いシーズンを戦い抜き、勝ちを積み上げ、やっと手に入れた憧れのチケット。誰もが興奮で鼻息を荒くし、体を震わせ、アドレナリン全開でプレイしていた。


前半戦は攻守の流れた悪かった。怪我で途中退場となったキャプテンの沢田の穴は大きく、後半戦は大量リードを追いかける形になった。
ハーフタイムに圭一から提案された作戦に、誰もが目を見張ったが、沢田がコートにいない今、異議を唱える者はいなかった。
そして、その作戦は的中し、第3クォーターからの怒涛の追い上げ、奇襲をかけたインターバル後の第4クォーター。
シューティングガードに入っていた檜葉の連続スリーポイントシュートで大逆転しBLUE WIZARDは優勝した。
もちろん、その檜葉にラストパスを送ったのはポイントガードの圭一だった。
激しいチャージを巧みなドリブルでかわし、飛ばされながら送った渾身のパス!
檜葉は信じていた。ここに、この場所に圭一からのパスが来る事を…


「跳べ!…ヒバリ~!!」


飛び散る汗が、天井から降りて来るライトの光に煌めくのを、圭一はコートの床に肘をつき、上体を支えながら見た。大きくしなやかな体が、高く高く跳び上がるのを目で追いながら…。


檜葉は、このファイナルで33得点、7本のスリーポイントシュートを決めてプレイオフMVPを受賞した。


(優勝したんだよな~、俺達。)


ふかふかの枕に顔を埋め、込み上げる喜びに、ニヤリと頬を緩めた瞬間、


カチャッ


感慨に耽る圭一の耳に、鍵の開く音が聞こえた。
続いて、重そうなドアが小さく軋みながら開けられて、静かに人が入って来る気配がした。


(えっ?誰?)


うつ伏せたまま、ドアの方に顔を向ける圭一の目に飛び込んで来たのは、見慣れたコンビニのマークの入ったビニール袋と、洗い晒したジーンズを穿いた長い脚。
視線を上げた先、手にしているのはスタバのコーヒー。そして、更に上…圭一が起きている事にちょっとびっくりした表情の後、やんわりと微笑んだ顔は…。


「あっ!」


頭だけ持ち上げ、丸い目を大きく見開いた。




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Valentine's Day .13~圭一とヒバリの場合~



「…しのぶれど色に出にけりわが恋は、…ものや思うと人の問うまで…」


無抵抗の弾が、静かな顔で真っ直ぐに、檜葉を見つめて平兼盛の句を呟いた…。


「えっ?」


その言葉の意味を測りかねて、一瞬緩んだ檜葉の手を弾はパシッと払い除けた。


「おまえの気持ちはバレバレなんだよ。もっと上手に隠さなきゃ、相手に迷惑がかかるって事もわからないのか?」


「…迷惑?…」


椅子に座ったままの弾が鋭い視線で見上げる。檜葉は、怒りが萎んだ大きな体を置物のように固めていた。


(俺の気持ちが…迷惑…)


「ここは男子校で、しかも全寮制…。俺もこっち側の人間だから仲間はだいたいわかるんだよ。でも、誰も大っぴらに公表したりはしない。静かに生息してるって感じだな。ノンケの奴らは俺達を、獣みたいに男と見れば誰彼なしに押し倒すって勘違いしてる。恋愛対象が男だからって誰でもいいって訳じゃないだろ?そこは男女間の恋愛と何ら変わりは無いのに…。一度、ホモのレッテルを貼られたらここでは生きにくい。その対象になった相手だって…。少し考えればわかるだろ?」


弾は片方の口角だけを上げて、ふんと鼻を鳴らした。


「俺は…、俺は、春日部先輩をそんな風に思っている訳じゃない…。」


この人の前で認めたくない!そんな思いが檜葉の心を頑なにしていた。
檜葉は、だらりと下げた両手の平を力の限り握り締める。握り締めた拳は小刻みに震えていた。


「説得力ね~な~…。それとも、自覚が無いのか?…あるだろ?…あんたはこっち側の人間だ。一目でわかったぞ。初心者のくせに、…悪い事は言わない、お堅いノンケは止めて置け。」


弾の真っ直ぐな瞳に射竦められて、檜葉は視線を彷徨わせた。


「リンダ…、気をつけないと痛い目に会うぞ。おまえは無駄な色気が出捲りだし。…俺は忠告したからな。」


そう言うとすくっと立ち上がった弾は、呆然としている檜葉を残して部屋を出て行った。







「ダンさんの相手は他にいたみたいです。あの人は、わざとセクシーな話題を俺に振って、春日部先輩をそう言う対象で見れるかって考えさせたんですよね。…それにしても遠回し過ぎ…。」


檜葉はぺたりと床に座って項垂れた。


「結局、二人は付き合っていなかったって事か?…まあ、高校一年生レベルにしては難易度高めだな。で、先輩の忠告に、おまえは納得したのか、ヒバリ。」


圭一の問い掛けに、眉間に皺を寄せて微苦笑を浮かべた檜葉が、静かに首を横に振った。


「なんか意地になっちゃって…。今思えば馬鹿でした。」


圭一は、ウィザードに入団直後の檜葉が、先輩達にからかわれ、パニック状態になった事件を思い出していた。何かあったとしたら、高校時代だろう。


「人間って、失敗してみないとわからない事の方が多い気がします。あの時のダンさんの忠告を俺がもっと素直に聞いていたらって、今は後悔してます。…何があったかは今はまだ聞かないでくださいね…。自己嫌悪でサクさんを口説く気力が萎えちゃいそうですから…。」


檜葉は、冗談めかしてそう言って笑ったけれど、まだ自分の中で消化しきれていないんだろうと圭一は思った。檜葉の髪をグシュグシュと掻き混ぜる。檜葉は気持ちよさそうに目を細めた。


「ねえ、サクさん…。キスしてもいい?」


檜葉の突然の言葉に圭一は動かしていた手を引っ込めた。


「おまえ、何を言って…。」


気が付けばビールの空き缶が、ごろごろと何本も床に転がっていた。


(こいつ、いつの間に…)


いつに無く檜葉が饒舌だったのは酔いのせいだったのか?
のそりと檜葉が床から体を持ち上げ、膝立ちのまま圭一が座る椅子に手を掛け戸惑うその顔を見上げた。


「サクさん…いいでしょ?これが恋か確かめても…」


キスはある意味セックスより深い行為だと思う。男の生理では割り切れない神聖さを感じる。
スイッチの入った檜葉は、淫靡な空気を纏い始める。甘く誘うように体がしなる。
圭一は何かを考えるように無表情で人形のように動かなかった。檜葉は長い指を圭一の髪に絡めるように後頭部に這わせ、少しずつ二人の距離を縮めて行く。


「サクさん…俺を受け止めて。」


ダメ押しのような言葉にも圭一は反応しない。首を傾け、柔らかく力を抜いた唇がその唇に触れようとした瞬間、近過ぎて焦点が合わない目にぼんやりと光るものが写った。


(えっ?…何?…)


スッと檜葉が体を引いた。圭一は遠くを見つめたまま、ただ涙を流していた。


「サクさん…?」


呼んでも答えない。


「サクさん!」


自分とのキスがそんなに嫌なのかと言う思いよりも先に、精神を飛ばしてしまった圭一が心配になった檜葉は、後頭部を掴んでいた手に力を込めて、圭一の体ごと引き寄せ抱き締めた。


「サクさん、ごめん!…戻って来て!!」


耳元で叫ぶ檜葉の声に、圭一の体がぶるっと震えた。


「ヒバリ…俺…。ごめん…。」


受け止めてやりたい気持ちが無いわけじゃない。でも、それが出来ない事くらい自分が一番よくわかっていた。


(同情は愛情じゃない…)


「すみません、サクさん。俺、少し飲み過ぎたみたいです。」


意識を取り戻した圭一が広い背中を、あやすようにポンポンと叩く。

ザルのはずの檜葉が酔いを言い訳にした事に圭一は気づかない振りをした。


「サクさん。…俺、もう途中で諦めたくない。…ずっと、サクさんを好きで居させて。ねっ?いいでしょ?」


圭一の体を離した檜葉が、不安そうに瞳を揺らしながら圭一を見つめている。
両肩に置かれた手が、少しずつ冷えて行く。
檜葉は脱皮しようとしている蝉の幼虫に似ている。暗い土の中で何年も過ごし、やっと外の世界へ出て来た。今、必死でその幼い殻を破り捨てようとしている。それは誰にも手助けできない作業だから、ただ静かに見守ってやる事しか出来ないなら…。


「好きにしろ…。」


小さな子供のようなその瞳を見つめて、圭一は小さく呟いた。






部屋に戻った圭一は、机の上に置きっぱなしになっていた荷物を見下ろした。

お気に入りのバスケットシューズの入った包みとチョコレート専門店のショ袋。そして、小さなお菓子がびっしり入ったファンシー柄の袋。その中から、お菓子を一つ摘まみ上げた。中身はアーモンドの入ったビターチョコレート。包装を解いて口に入れたらほろ苦い味がした。



「…ハル…」



次の話へ



******************  Valentine's Day (終)***************




みなさんはもうすでにお忘れでしょう…(・・。)ゞ

これはバレンタインデーのお話だったんですよ~!!(●´ω`●)ゞ

思いだして下さいましたか~?(〃∇〃)
それなのに夏休みまで掛かっちゃって…ごめんなさい!。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。


賛否両論あるでしょう、今回のヒバリの告白話。

ヒバリの思いが恋か否かで始まった…

いや、ホントは春×圭一のバレンタイン物語だったはず…

う~~ん(w_-;

尻切れトンボの話ばかりになっておりますが、

檜葉林太郎の高校時代の話

陽光×弾の空白の数カ月

戻って来た村雨心の話

いつかまた番外編で書きたいと思っています。

だって、これを書いていると本編が進まないんだもん!

カウントが進まないと100話にならないんだもん!

91話を載せたから、後9話~♪( ̄▽+ ̄*)

新キャラ登場の予感に多少の不安が…

また、スピンオフにならない程度に頑張ります!




ザルのはずの檜葉が酔いを言い訳にした事に圭一は気づかない振りをした。


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「あつ…い…」


解熱剤を飲んだから、薬が効いて寝ている間に少しは熱が下がるはず…。そう思っていたのに…。
どれくらい時間が経ったんだろうか。熱は一向に下がらない。気分もよくない。
不安が募る…。ひとりぼっちが心細い…。


(どうして…こんな日に限って、隼さんは合宿なんだろう…。)



隼さん…。
ルームメイトの春日部隼との出会い。
名前が『シュン』と言うだけで反応してしまった自分自身に戸惑った春。
『シュン君』と『隼さん』は別人だとわかっていても心が揺れた。
どうして揺れたんだろう…。
無理やり葬った記憶の棺桶の蓋が、突然開いてしまったからだろうか…。




縋る様に包まっていた毛布が今は鬱陶しい。胸を掻きむしる様に引き下ろす。
刹那、ひやりとしたモノが額に触れた。


「大丈夫だ…。籠っていた熱が外に出始めただけだから…。汗を掻けば熱も下がる…」


(誰?…隼さんはいないはず…)




水音がする。
ふわりと柔らかく暖かい物が顔に触れ、べたつく汗を拭ってくれる。


(…タオル?)


汗で顔に張り付く髪を払われる。
暖かく湿った布が顔を滑りかさつくくちびるを優しく潤す。そして、そのまま顎、喉、首へと下りて行く。
熱のせいで敏感になっている肌の上に、優しい手の動きが軌跡を残す。快い温度の布が気持ちよかった。
体に掛けられていた毛布が取り去られ、露出している皮膚を拭きながら、パジャマのボタンが器用に外されて行く。布が擦れる刺激に体が震えた。
肌蹴られた胸が…腹が外気に触れ、熱の熱さとの温度差でゾクリと粟立つ。
真冬だと言うのに絞れるほどパジャマが濡れている…そんな感じがした。


「…んっ…」


やんわりと胸を拭かれ、丸く円を描くように腹を拭かれ、片腕ずつ抜かれた肩、腕…とまるで愛撫するように丁寧に拭われる。


「あっ…、ふ~…」


脇を拭いた後、そっと抱えるように向き合う形で横を向かされ背中を拭かれた。
抱き締められるような体勢に、思わず俺は腕を伸ばし相手にしがみ付いていた。


(…この匂いは…)


頬に触れる乾いた布はさらりとしていた。小さく上下する胸の筋肉から伝わる鼓動と嗅ぎ慣れたフレグランス。
大きな手が俺の頭を撫で、汗で湿った髪をすく。その心地よさに安堵し意識が遠のく。

抱き締められた感覚に、子供の頃の記憶と現実が夢現の中で交錯する。




二人部屋に移った後にも熱を出した。
ずっと小康状態だったのに、…燻っていた熾火がふいに燃え上がる様に体が熱くなった。

完全看護の病院だから、夜の付き添いは無い。定期的に見回りに来る看護師が、その都度検温して行く。俺は浅い眠りを妨げられ、熱で自由にならない体に心細さが重なる。
朝までに熱が下がらなかったら、また一人部屋に移されてしまう。
孤独な一人部屋に戻りたくない。
なによりシュン君と離れるのが堪らなく嫌だった。


看護師が出て行き、懐中電灯の明かりが遠のくと、静かにベッドを仕切っているカーテンがめくられる。
微熱にぐずる俺の額に小さい冷たい手の平が心地よかった。泣きやまない俺の頭を優しく撫で、そっと抱きしめては慰めてくれた。


『大丈夫だよ。…朝には下がるから…』


『さがる?…ホント?』


『うん、絶対!』


覚えていないと思っていた幼い頃の記憶が少しずつ脳裏に浮かぶ。
水面に浮かび花開く睡蓮のように…。
す~っと浮き上がっては清らかな花を咲かす。



ちゃぷん…


頭が少し持ち上げられ、そっと下ろされた。耳元で水音がする。布越しの冷たさが心地いい。
くちびるを柔らかくなぞられる。荒い呼吸で開いた唇に射しこまれたのはストロー。


「飲んで。…中身はスポーツドリンクだ。」


声に促される。吸い上げたのは喉を潤す冷えた液体。


「あの…ありがとう…ございます…」


部屋は薄暗く、常夜灯を背にした逆光で、その人の顔は見えない。


「“拾った以上はちゃんと世話をしないといけない…。”そう言ったはずだ。」


抑揚のない話し方。その言葉に俺はちょっと微笑んだ。


(この人でも冗談を言うんだ…)


一人、灼熱の砂漠を彷徨っていたような孤独と喉の渇きが癒え、満たされた俺は、また眠りに引き込まれる。


『そばにいるから…』
「そばにいるから…。」


シュンくんの幼い声と聞き慣れたもう一つの声が同じ台詞で重なる。

俺は小さく頷いていた。
誰かが傍にいる事が、こんなに心安らぐものだと言う事をずっと忘れていた。


クチナシの白い花が揺れる…
甘い芳香が俺を包む…
この人に拾われたのは夏の始めだった。


「ヨーコ…さん…」



「…君は俺のものだ。誰にも渡さない。」


囁くような告白は、夢に沈んだ俺の耳には届かなかった。





閉められたカーテンの向こうから明るい光が洩れて来る。


「…朝?…」


寝返りを打ち、キョロキョロと辺りを見回す。部屋には誰もいない。
頭の下の水枕がちゃぷんと揺れた。
ゆっくりと起き上った俺は、見慣れないパジャマを見下ろしていた。


(そう言えば……)


裸にされ、体を拭かれた…。…たぶん、そうだったと思う。…記憶は曖昧だけど…。
体を隅々まで清拭された感触が蘇り、顔が少し熱くなった。

熱に浮かされた状態で自身が反応したとは思えないけど、全身に刻まれた快楽の記憶は鮮明だった。


(やばかった…。あの手が気持ち良過ぎて…)



俺の恋愛対象は、…男…なんだと思う。
誰にも言えない秘密は、隠しているつもりでも、いつの間にか漏れ出ていて、気付かれてしまうものなのか…。


シュン君との出会いが全ての始まりだった。
男とか女とか、まだ関係無い頃の事だから、その思いはずっと曖昧だったけれど、…今なら分かる。
忘れたように封印されていた思いは、きっと『恋』だった。





明けて春…
陽光さんは卒業しここを出て行った。
俺達がどうなったかって?

うっ…口に出すのも恥ずかしい…ちょっと優しくされたからって気を許したのが間違いだった。

ただ、幸いと言えば、俺が自分の性癖で悩む暇が無かった事だろうか。
でも、それはまた別の話…。


それより…
進級し、迎えた二度目の春。
旧音楽室にはもう誰もいない。俺ただ一人の隠れ家になった。
と、思っていた。


(…ピアノの音?)


誰も近づかない、特別棟の最上階。
旧音楽室に続く廊下に響く静かなピアノの音色。
調律をされないまま放置されていた小振りのグランドピアノが脳裏に浮かんだ。


(まさか…幽霊?…学校の七不思議とか…。まさかな…)


俺は恐る恐るドアに近づき、そっと開けた。
勾配天井に開けられたトップライトから降りて来る柔らかな光の下で、綺麗なうなじを制服から覗かせ長めの前髪を左右に揺らしながら、うっとりとピアノを弾く人影が目に飛び込んで来た。


「…誰?…」


咎めるような俺の声を聞きつけて、振り向いた笑顔には見覚えがあった。


「村雨さん…」


“心はホスピスにいる。”


陽光さんがそう言っていた村雨心が、変わらない姿でそこにいた。




************ Gardenia Garden. ~クチナシの恋 (終) **********



続きはまた…別の番外編で(●´ω`●)ゞ


次の話へ




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「…えっと…、確かこの辺りに……」


寮の部屋に戻った俺は、備え付けの机の引き出しを引っ掻き回していた。入寮に備えて母親が準備してくれた荷物の中に常備薬を入れた100円均一の半透明のプラスチックケースがある…はず。
…確か…その中に体温計もあった…と思う…。


『薬は寮にもあるだろうけど、飲み慣れた薬の方が安心だし。…あなたは、年に一度は必ず高熱を出す子供だったから…。お守りだと思って…』


そう言って母親は、ちょっとした傷薬や絆創膏、目薬、風邪薬、そして解熱剤を無理やり俺に持たせた。
虚弱体質なのかと心配された俺も、さすがに中学に入った頃からは、あまり熱を出す事はなくなっていたのに…。


(…あった…)


夏に帰省した時に、中身を入れ替えるように新しい薬も持たされたけど、まだ袋に入れたままケースの横に置き去りにされている。


(大したことない…。一晩寝れば朝には治ってるさ…)




ピピピピッ…


電子体温計の音が、誰もいない部屋に小さく響く。隼さんは昨日の金曜日から学生選抜の強化合宿に行っていて留守だった。帰って来るのは日曜日の夜。


『ダン、一人でのんびり出来るぞ~!…でも、散らかすなよ。』


とか言って隼さんは笑って出発したけど、俺は一人部屋を満喫するどころでは無さそうだった。


「37.2度…、マジかよ…。」


体温計に表示されたデジタルの数字は、陽光さんの言った通りだった。キスで検温なんて絶対あり得ないと思っていただけに驚いた。


「やっぱり、風邪かな~…」


病気は自覚した途端に悪化するような気がする。
体が重だるい…でも、まだ解熱剤を飲むほどの高熱じゃない。
1階の自販機で買ったペットボトルの水を薬と一緒に枕元に置く。
脱いだ制服を無造作にハンガーにかけ、着替えを済ませ、冷え切ったベッドに潜り込む。


腹は減っていた。
でも、食欲は無い…。


夕食はどうしよう…。
まあ、いいか…




今、何時だろう?
寒い…手足が氷のように冷たい…
顔は火の傍にいるように熱いのに…

分厚い毛布を、体との間に隙間が出来ないように掻き寄せる。
手足を縮めて猫のように丸くなる。

眠いのに深く眠れない。
意識があるようで無いようで…
現実のようで、夢のようで…

薄暗い部屋の中に人がいる気配は無い…わかっていても探ってしまう。
ちょっとの不安が、俺を心細くさせていた。


「…寒い……」


声に出して呟くと、一層体が寒さで震えた。歯の根が合わない。
各部屋にはオイルヒーターが備え付けてあったけど、それを付ける余裕も無く寝込んだから、部屋が冷えているのかも知れない。そう考えたけど、それだけじゃ無い。体の中から寒さが広がる。ちゃんと布団も毛布も被っているのに、裸で横になっている気分だった。


“男の子は、女の子より弱いからね~…大事に育てないと…”


共稼ぎの両親の代わりに、いつも面倒を見てくれていた祖母が、そう言っては優しく頭を撫でてくれた。小さい頃から俺はよく熱を出す子供だったらしい。軽い咳が、翌日には気管支炎になっていたりは日常茶飯事だった。
熱性痙攣の後、意識が戻らず、一度だけ救急車で運ばれた事もある。
…あれは…そうだ…幼稚園の時だった。
俺はそこで…、「シュン君」に出会ったんだ…。




『はずむ君…いっしょにゲームしよう。』


男の子にしては少し高い声だった。
肌は透けるように白くて…本当に白くて…笑顔が可愛いくてドキドキした。
ゲームが上手で、いつも難しい本を読んでいた。


『はずむ君、ご飯はちゃんと食べないと早く退院できないよ。』


病院の食事を嫌がる俺に、戦隊ヒーローのふりかけを分けてくれた。


『ボクのを貸してあげる。』


ゲームソフトも絵本も貸してくれた。
今思えば、入院生活が長かったシュン君も寂しかったんだろう。
不安で仕方が無かった俺にとてもやさしかった。
忘れていたやりとりを、俺はぼんやりと思い出していた。


大部屋に移り、先に退院する事になった俺に“よかったね。”と言ってくれた。
帰り支度を済ませ病室を覗くと、読んでいた本から顔をあげて、いつもの笑顔で手を振ってくれた。それがシュン君を見た最後の記憶…。
そう、あの時…いつもの笑顔で見送ってくれたけど、俺はなんだかその事が悲しかった。もう会えないのにシュン君は寂しくないのかと、ちょっと腹が立った。だから、退院した後は一度もお見舞いに行かなかった。子供ながらに、詰まらない意地を張ってしまったと後悔している。だから、一緒に過ごした思い出をわざと忘れようとした。頭の隅に追いやって無理やり蓋をした。



本当は、大好きだったのに…。

俺は忘れていたんだ。

シュン君は決して他人に寂しい顔は見せない。いつも笑顔で…そして、泣く時は一人だった事を…。



「…シュン…君」


自分が発した声を合図に意識が覚醒に向かう。冷たかった手足は、いつしか燃えるように熱くなっていた。

汗が噴き出す…
少し動いただけでも体が軋む。
どう寝返りを打っても身の置き場が定まらない。
先程まで凍えるほどの寒さを感じていた体が、今は熱くて堪らない。


「なんか…やばい…」


枕元に用意しておいた解熱剤をペットボトルの水で何とか飲み下す。生ぬるい水と錠剤が痛む喉を通り胃に落ちて行く。薬を飲んだ安心感で、またぼんやりと眠くなる。


浅い眠りが不可思議な夢を見させる。
俺は成長したシュン君を捜していた。一度もお見舞いに行かなかった事を謝りたかった。


『シュン君!』


呼びかける俺の声に振り向く顔は…隼さんだったり、陽光さんだったり…村雨さんだったり…。
誰も本物のシュン君じゃないのに、成長した本人を想像できない俺の脳が見せる幻…。


『どこにいるの?…ごめんね、シュン君…』


次の話へ


Cheerful Garden-お見舞い kiddさん☆画

家の駐車場で派手にすっ転んで怪我をしたドジなChiveのために

Kiddさんがお見舞いイラストを書いて下さいました。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

嬉しいよ~♪

春と圭一が揃ってお見舞いに来てくれました!

高そうな果物盛籠と綺麗なお花まで…・°・(ノД`)・°・

Chiveは幸せ者です…長生きしよう!

ありがとうございましたо(ж>▽<)y ☆




残暑お見舞い申し上げます♪



こんばんは!すっかりご無沙汰ごめんなさいのChiveです。
もう一つのブログ(ヤフブロ)の方にちょこっと書いたのですが、

7月の初旬に停めて置いた自転車の後輪反射板に、ズボンの裾をひっかけて、自宅の駐車場のコンクリートの上に背中から落ちました。

30cm位の段から落ちて、尾骶骨→背中→後頭部の順で強打しました。目がチカチカしました☆

とは言え、その時はちょっと腰が痛いだけで翌日からもずっと仕事に行っていました。


ところが…
10日くらい経った頃…
右の臀部、太股、ふくらはぎに激痛が走り、のたうち回り始めました。タイミングの悪い事にその日は日曜日!どんな痛みかって言うと、筋肉の筋を数本摘まんで引っ張られている感じ…かな?痛む場所は一か所に留まらず、動くんです!( ゚-゚)( ゚ロ゚)(( ロ゚)゚((( ロ)~゚ ゚


もうね!泣きましたよ!マジで!!子供の前で号泣~!。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

出産の陣痛の時だって泣かなかったのに・・・。
見かねた高校生の息子が、必死で休日でも診療してくれる病院をネットで捜したくらいですから…大騒ぎ。

ふと、家の近くに総合病院がある事を思い出し、そこに連絡しました。丁度、外科の医師がいるとの事で早速行く事になりました。

痛い右足を叱咤激励し、車を運転して行きましたよ。もちろん、付き添いは息子。
一応、腰のレントゲンを撮りましたが、骨にも神経にも異常なし!で、痛み止めを貰って帰宅…。
夫が単身赴任中のChive家…。それからが結構大変でした。
痛みが少し和らいだ夜中。トイレに起きたら真っ直ぐ立てない!右足の甲から指にかけて痺れてる。感覚はまるで義足。そして、足首が上に曲がらない…。感覚が無いんです…


「???????」


どうなっちゃったの、私?
で、また、同じ病院に行き、腰のMRIを撮り、痺れが心配だったので頭部のCTも撮って貰いました。結果は異常なしで足の痛みと痺れは、痛み止めと痺れ止めの薬で様子を見る事になりました。
ところが、そこで脳内に腫瘍らしきものがあると言われ…予期せぬびっくり!!
後日、MRIを撮ったら、『下垂体腺腫』の疑いがあり、それと脳梗塞が4つあると言われました。


ガ~~~~~ン!!


しかも、その医者…「60か70歳ならわかるけど、その歳で?」って言いながら笑うんです。ヾ(。`Д´。)ノ
人がショックを受けているって言うのに…!もともと、CTを撮った時から印象の悪い医師でした。次に造影剤を入れてMRIを撮ると言うから適当に誤魔化して、掛かり付けの脳神経外科専門の医師のいる病院を予約して、昨日、造影剤を入れたMRIと撮りました。


結果は、やっぱり『下垂体腺腫』


ただ、まだ、何の自覚症状もない状態。一応、血液検査の結果でホルモン異常がなければ、経過観察になるそうで、結果は一週間後。手術になっても鼻の中から頭がい骨を削って腫瘍を取り出すらしく、難しい手術じゃないと言われました。←嫌だけど…


そうそう!もう一つの心配事!脳梗塞!!
勢い込んでドクターに聞いたさ~!


「えっ?脳梗塞なんてありませんよ。」


と言われました。


「えっ?だって…」


と、こちらから持参したMRI画像の医師に指摘された部分を指差したら…


「あ~…、これね。…染みです。」


「は?」


「手の甲に染みが出来るでしょ?加齢により脳にも同じようなモノが出来るんですよ。でも、何の心配もありません。」


「そうなんですか?」


「…なんで、これを脳梗塞と間違えるかな~」


と首を捻っていました。やっぱり、噂通り、あの総合病院は…。

と言う事で、ひょんな事から病気が見つかり、早い対処が出来ました。
だから、転んだのも不幸中の幸いなんでしょうか?
足はまだ痺れていて、ピノキオの木の足みたいにガクンガクンして走る事が出来ませんが、それもぼちぼち治るだろうと気楽に考えています。
しばらく、音信不通状態でしたが、とりあえずChiveは元気です。


Chiveの独り言…

去年の脳ドックのCT検査では何の異常もなかったChiveの脳内。(←小人は住んでおりますが…)

医師に確認したら、下垂体腺腫は少しずつ大きくなるそうで、去年から今年にかけて育ったわけでは無いらしい。今のサイズは1cm強くらい。だから、CT画像を1cm刻みで撮った場合、写っても1カットか、もしかしたら写らない事もあるそうだ…。

毎年人間ドッグに行っているからと安心は出来ないですね。やれやれ…

今回の結果に、転んだところから全てを見ていた息子が、夫よりもホッとしていましたよ(・・。)ゞ


下垂体腺腫とは…


「下垂体は、脳の正中部でトルコ鞍と呼ばれる骨のくぼみの中に存在しているホルモンの中枢であり、全身の各臓器に働きかけてホルモンの分泌を促しています。
下垂体腺腫は、下垂体の一部の細胞が腫瘍化したものです。原発性脳腫瘍中、第3番目に多い腫瘍ですので、稀な腫瘍ではありません組織学的には良性の腫瘍で、一般的には他の部位に転移したりする事はありません。ホルモンを過剰に分泌するもの(ホルモン産生腺腫)とホルモンを分泌しないもの(非機能性腺腫)に大きく分けられます。」



こんばんは♪Chiveですо(ж>▽<)y ☆


ブログはいったん間があくとがば~~~ッとあいてしまうので(Chiveだけ?)

小説更新の他にもちょこちょこ書こうと思いました…。


大した内容ではありませんが…


*******************************************************


萌える男子…


美脚男子って言うのはどうよ?


りんさんちのユノア君達もかなりの美脚ですが、ユノラも負けてない美脚!


特にこのアズライト1stは関節塗装されているのでなかなかのもんです。


塗装された関節は、肘(表と裏)、膝(表と裏)はもちろんの事


鎖骨


乳首


ヘソ


指先


ジャイアン(いや…ダビデか?)


と、手抜かり無し♪どうよ?水城さん!


腹ちら♪ローライズのジーンズとか履かせたい!!


短パンも履かせたい!!



Cheerful Garden
抽選販売に当選し、購入手続きを済ませました。


10月にChive家にやってくるユノラも関節塗装済みDOLL!


すっごく楽しみでウキウキしています♪


Yahoo!ブログではドール服記事を…


その他、BL臭のする記事(?)はここで…


って、何を書く気だ?Chive!!



ご無沙汰ごめんなさい!こんばんは☆Chiveです。

肉体労働は、毎日が体育!…残業は2カ月続くそうです…

イイ感じの疲れですが…体の疲れは蓄積します…

再就職して4カ月が経ちました。

なんとかこのまま頑張れそうな今日この頃です…が…

仕事に慣れたおかげで、作業の手順が頭にインプットされ

楽に動けるようになりました!

何が必要かもだいたいわかり、それがどこにあるのかも覚えたので

作業場と作業場の間をよく走ります…。

それに加えて…

ここでは、Chive!!『若手』ですо(ж>▽<)y ☆

と言う事で作業量が増えました!!…で、老体は疲れてます。

先日はすっかり体が弱り、膀胱炎になりかけました!!

体が弱ると、抵抗力が落ちるのか膀胱炎になりかけたり

カンジダになったりします…。

免疫力が落ちて、大腸菌に負けてるんでしょうか?

体の疲れとストレスを大好きなお裁縫で癒す日々…



言い訳をダラダラと書きましたが…、

おかげで、最近、萌えていません。

いかんな~

時間がなくても、ひねり出していたChiveがこの体たらく…

プロットは出来てます!

出来てますが、…萌えない…



でも、こんな時は休もう!と決めていたんですが…

脳内引き篭もりになってしまいました!



こんなんじゃいか~~~ん!と萌え材料を探しに古●市場へ行きました。

そこで、見つけた本がこれ…


Cheerful Garden

内容は、いろんな『男子』をたくさんのBL漫画家さんのイラスト付きで説明(?)している本。



例えば、『だらだら男子』(青山十三)


Cheerful Garden

「休日の昼下がりの陽だまりで見せる、無防備であけすけ姿、しぐさ、思考」



そして、『エプロン男子』(加東セツコ)



Cheerful Garden
「男子版絶対領域、それは服とエプロンのひもの間から見える肌」


こんな感じで、52男子あります。

興味がおありならどんな男子か書くよ~~o(〃^▽^〃)o


即!ご購入~♪←結婚記念日に買った物がこれかい?

今夜からまた萌え作業!!


そうそう、他にもこんな本が売ってた!

でも、Chiveはお絵描きしないので眺めただけでしたが…(●´ω`●)ゞ



Cheerful Garden

ちょっと、心惹かれちゃったさ!りんさん★


と言う事で、更新出来るようにがんばりまっしょい☆

前の話へ



(これは、キスだ…検温じゃない!
間違いなくキスだって!…絶対、検温なんかじゃない!!)



俺は、心の中で必死に叫んでいた…。


柔らかい唇が角度を変えて何度も合わされる。
俺の舌をあやすように陽光さんの舌が絡んでくる。
舌の表も裏も、上顎も歯の後ろも丹念にその舌で撫でられる。
初めての行為に俺は、知らずに熱を上げていた。


顔が熱い…
体の深部から熱が滲み出て来る。


陽光さんの制服の胸を無意識に掴んでいた。

指先の震えが止まらない。

固く瞑っていた目を開けたら、いたわるような瞳とぶつかった。



(あぁ…、この人は本気で俺を心配してる…)



ドンッドンッと体の内側から太鼓を叩いているような激しい鼓動が少しずつ凪いで行く。

それと同時に体の中心に集まりつつあった淫らな熱も潮が引くように静まって行った。


陽光さんがそっとくちびるを離した瞬間に、俺は大きく息を吐いた…。



「37.2度…。やっぱり、微熱があるな。」


微熱って…。それは、あんたがキスなんかするからだろう?と喉まで出かかった言葉を飲み込む。


(それに、37.2度?…嘘だろ?なんで、キスで体温がわかるんだ…。しかもそんなに細かく…)



ボーっとしている俺を尻目に、ヨーコさんは急いで机の上を片付け始めた。
男同士で抱き合い、深いくちづけを交わした事なんて無かったかのように…。



「今日は、もう寮へ帰ろう。・・・風邪には寝るのが一番の薬だ。」



俺は小さく頷き机の上に広げていた荷物を鞄に詰め込む。その間、ずっと黙ったままだった。





「ヒトは恒温動物であり、その体温調節機能は自律神経が関係していると言われている。体温は成人より幼児の方が高く、老年になるに従い低くなる。
ヒトの体温は日周期・年齢・運動により変動するほか環境によっても変化する。
外界に接している皮膚の温度は環境に左右されやすいので基準を設ける必要があり、それが核心温=コア温と呼ばれる体の深部の体温で、この温度は環境温が変化しても大きく変わらない。脳や胸腔・腹腔の体温は直接測るのが難しいので、便宜的に腋温や頸部温・口腔温・直腸温などの表面温=シェル温を用いて核心温を測定する。
腋に体温計を挟んで10分以上経過し、体温計の目盛りがこれ以上あがらない値を示す。これを平衡温と呼ぶ。
体温計には予測式と実測式の2種類があって、予測式は、測り始めてから1分間の体温上昇カーブから10分後の平衡温を予測して表示する物で、電子音が鳴って表示される温度は1分後の実測値では無く、10分後の予測した温度になる。実測式はその都度の体温を計測する物である。
熱の有無の大まかな目安を知る上では予測式は使えるが、正確に体温を知るには実測式で5分無いし10分測定する必要がある。


舌と舌を絡めて測るこの方法は、外気に触れ難い舌下の一番奥にある舌小帯あたりの体温を直接測る事が出来る画期的な方法だと心に教わった。
確か…幼稚園の頃だったと思う。あいつは小さい頃から物知りだった。」


「は~っ?…幼稚園?」


「そうだ。心は両親に教わったと言っていた。夜中に目が覚めてリビングに下りて行ったら、父親が母親の体温を測っていたらしい。」


「ヨーコさん…それって…。」



俺は思いっきり脱力した…。
村雨さんは、誤魔化されたんだ。キスをしていたのを子供に見られて慌てた親に…。
まさか、未だに本気で信じているんだろうか?




寮は学校の敷地内にあるから俺はコートを持っていない。
旧音楽室のある特別棟を出ると12月の冷たい風が容赦なく吹きつけて来た。



「うっ!…寒ッ…」



ぶるりと身震いをする。亀のように首をすくめる俺の首にふわりと暖かい物が巻かれた。



「えっ?」



それは、柔らかくて軽い濃紺のマフラーだった。



「貸してやる。寮までして帰れ。・・・俺は図書館に本を返してから帰るが一人でも大丈夫か?」



そう言われて顔を覗きこまれ、目の前で動くくちびるを凝視してしまった。
先程の感触がリアルに思い出され慌てて目線を反らす。



「あっ…、大丈夫です。」



呟くようにそう言った。
俺の返事を確認した陽光さんは、無言で頷くと図書館に向かい足早に去って行った。

俺はその後ろ姿を見送ってから、昇降口に足を向けた。



次の話へ