ちょうどそれらの事が起きた、高2の半ばから高3になる頃には、私のガリ勉も徐々に成果を現し始めたようだった。定期的に学校で実施される旺文社の模試で、成績優秀者として賞品を貰うようになったのも、その頃からだったと思う。賞品と言ってもテレホンカードか図書券一枚とかだったから、大した成績では無かったのだろう。

 ただ、賞品の入ったお年玉袋みたいな封筒には「PRIZE」と印字されており、すかさず意味を調べ、何度も反芻したのを覚えている(笑)

 また、その頃は若気の至りでイキっていたのだろう。賞品はホームルームの時間に先生に呼ばれ、クラスの目の前で手渡されるのだが、その際、内心では欣喜雀躍しているにも関わらず、わざと素っ気ない表情を作り、何か他の事、例えば窓の外の何かに気を取られている振りを装っていたのだった。

 外部の模試である程度の結果を出せるようになった私は、学校軽視をますます強めていった。その頃になると授業はおろか定期テストさえも真面目に受ける事は止めていたと思う。赤点にならない程度に答案を埋めて、あとは白紙で出したりしていた。

 周りの推薦狙いの連中が評定平均に汲々としているのを、嘲笑う気持ちもあったのかもしれない。

 
 そして、私は周囲からさらなる反感を買い、ますます孤立を深めていったのである。

 そんなある日、休み時間に机で寝ていたところ、誰かに突付かれて起こされる事があった。見ると、Nさんが本を持って立っていた。
 (続きます)