カレは同僚です。

長時間労働で週休1日。
そんな職場の社員。
私はパートタイマーなので、9時から16時。

もう四年以上働いています。
最初の一年で仲良くなり、歳が近いこともあって、良い男友達だと思っていました。




あれ、私、カレのこと好き??

そう自分の気持ちに気付いたのは、約二年ほど前の飲み会の帰り。

互いに家庭はあまり良い状態ではなく、私はもう別居へまっしぐらでした。
本気の離婚話は二回目でしたが、取り合わない夫にイライラが募る日々。
それならもう別居でいいやと…
今でも、それを悔やんでいます。
ハッキリするべきでした。

と、それは置いておいて。

カレが言ったんです。
『お互い励まし合いながら家庭のことちゃんと頑張ろう』




その言葉、態度、全てがとても誠実に感じて、この人ほんと真っ直ぐだなって思った時。

(こんな夫だったら、離婚云々の前に良い関係を築く努力ができたのに)

(なぜカレの奥さんは、そんなに冷たく突き放すんだろう)

今までとは違う、カレへの想いが浮かびました。

友達だと思っていたのに、私の中に【男】としてのカレに惹かれている部分があると分かってしまったんです。




正直、とてもショックでした。

気の合う同僚。
何でも話せる友達。

それは、不倫相手なんかよりずっと欲しかった存在。

セックスするより、甘く囁き合うより、信頼して相談できたり、仕事に関して議論できるような人が居ることが嬉しかったんです。

それに、後ろめたいのも嫌でした。
カレに気持ちがバレて引かれるのも怖かった。




そこからずっと、心の奥で燻る感情を見ないふりして、周りの女性スタッフに内心ヤキモチを焼いたりしつつ隠し通してきました。

ここで働き続ける限り、絶対にこの気持ちは認めないと決意して。




 元々すごく仲が良かったのもあって、怪しまれることなく二年。

このままやっていける、大丈夫、と思っていた矢先のことです。

カレの態度が少しずつ変わり始めました。

心の奥底に沈めていた感情が、心地良いと思えるほどの穏やかな片思いが、一気にかき回されるようになったんです。

嬉しい反面、もう引き返せないと怖くなりました。

カレが決定的な言葉を口にしたら、私は絶対に拒否しない。
できない。




そんなふわふわした期間は、一瞬で終わりを迎えました。




続く。