こんにちは
文字数制限の兼ね合いで「改」の時通りにサビ1の解説から再開していきます
FMaj(ⅠMaj) - Am7(Ⅲm7) - B♭Maj(ⅣMaj) - CMaj(ⅤMaj)
まずはサビ1の前半8小節のコード進行ですね
こちらはイントロ1・2に登場した「1345進行」を引用しています
今作を代表するコード進行をサビでも用いたという感じです
FMaj(ⅠMaj) - FMaj/E(ⅠMaj/Ⅶ) - Dm(Ⅵm) - Am7/C(Ⅲm7/Ⅴ)
B♭Maj(ⅣMaj) - B♭Maj/A(ⅣMaj/Ⅲ) - FMaj(ⅠMaj) - CMaj(ⅤMaj)
次はサビ1の後半8小節のコード進行ですね
9~12小節目はFMaj/E(ⅠMaj/Ⅶ) を使ったカノン進行の前半「1563進行」です
FMaj(ⅠMaj) の空気感を残しつつCMaj(ⅤMaj) 感もほしいという贅沢を叶えたアレンジになります
Am7/C(Ⅲm7/Ⅴ) は和声学では第一転回形においてはドミナント として機能すると言われているため、ここではドミナント としています
そのため、次のB♭Maj(ⅣMaj) への完全終止保留 を使ったコード進行という形になってしまいますが、まぁ仕方ありませんね笑
5~8小節目も1~4小節目同様、B♭Maj(ⅣMaj) の空気感を残したいという思いからB♭Maj/A(ⅣMaj/Ⅲ) を使ったコード進行としています
このB♭Maj/A(ⅣMaj/Ⅲ) をどう表現するかによって話が大分変わってくるのですが、僕の中ではAm(7)(Ⅲm(7)) の代わりにという意味合いを込めています
つまり、
B♭Maj(ⅣMaj) - Am7(Ⅲm7) - FMaj(ⅠMaj) - CMaj(ⅤMaj)
という通常のケーデンスをアレンジしたものを取り扱っている事になります
Am(7)(Ⅲm(7)) としてしまうと偽終止 +「代理和音 →主和音 」という禁則めいた動きと見做されてしまう可能性があるため、あくまでⅤ(7) の代わりという意味合いが強いという風な解釈でB♭Maj/A(ⅣMaj/Ⅲ) を用いたとしていただければ角も立たず、納得が得られやすい事でしょう
ちなみに、B♭Maj/A(ⅣMaj/Ⅲ) の変終止 を使っているだけで半終止 ではない事からFMaj(ⅠMaj) は完全終止 扱いとしています
FMaj(ⅠMaj) - Am7(Ⅲm7) - B♭Maj(ⅣMaj) - CMaj(ⅤMaj) - Gm(Ⅱm) - Am(Ⅲm)
次はサビ2の前半8小節のコード進行です
先程のサビ1の1~4小節目と同じ「1345進行」を使っていますが、ここではその先に「Ⅱm - Ⅲm 」を追加し、次のB♭Maj(ⅣMaj) への上昇進行を築くという方法を活用しています
下に下がるよりも上がっていく方が感情の高揚感を伝えやすいですし、そのきっかけとなる経過和音としての「Ⅱm - Ⅲm 」は本当に優秀です
B♭Maj(ⅣMaj) - CMaj(ⅤMaj) - A7(Ⅲ7) - Dm(Ⅵm)
B♭M7(ⅣM7) - Csus4(Ⅴsus4) - C7(Ⅴ7) - FMaj(ⅠMaj)
次はサビ2の後半10小節のコード進行ですが、13小節目以降は分けるのも難なので1行にまとめました
9~12小節目はAメロ1-2やBメロにも登場したⅢ7 を使った王道進行です
今作における純然たる王道進行は基本Ⅲ7 を使うというスタイルに当時の僕はこだわっているようです
なぜそこまでしてⅢ7 なのかは不明ですが、おそらくは今作から漂う「別れ」という哀愁感を強調するための事だと思われます
13小節目以降はAメロ1-2に登場したⅤsus4 を使ったスリーコード進行です
これまで何度も見かけているものばかりなので、改めて話す事は特にありません
これがサビの全体像になります
Chapter 5 がFMaj(ⅠMaj) のみかつサビの完結を示しているのが面白いですが、FMaj(ⅠMaj) が増えるほどチャプターが短くなるというのはこういう事を意味するというのを示していますね
こうした現象が何度か登場しているので、皆さんもメジャーキーと準マイナーキーとの違いが何となく分かってきたのではないでしょうか
コード進行の細分化ですが、
1345+163+415+1345 +45 23+4536+451
or
1345+163+415+1345+2345 +45 36+451
サビ2の「Ⅱm - Ⅲm 」の前後の「ⅣMaj - ⅤMaj 」のどちらを重複させるかで「4523」「2345」と解釈が変わってくる感じですね
個人的には「2345」とした方が楽曲の感情的にも上向くという点では良いかなと思いますが、皆さんはいかがでしょうか?
といった感じでPLEDGEの1コーラスの解説が終了しました
各セクションの冒頭・結尾のコードの配置を図に示すとこうなります
Memorial birthday と同じくBメロ をⅥm7冒頭 とし、あとはみなⅠM7 冒頭 というスタイルをとっています
今ほど音楽理論が備わっていない(そもそも勉強していない)学生時代の頃に初期型を作り上げたのですが、当時はひたすら作る事ばかりに執着してやっていたので、Key=Cの感覚(つまりFMaj(ⅣMaj) )の感覚で全て作っていました笑
恥ずかしい事に、これがKey=FのⅠM7 冒頭 という事を初めて知ったのは今から6年ほど前に初めて音楽理論を独学で勉強し始めた頃だったので、まだ世に出さなくて良かったと胸を撫で下ろしています笑
それが今となっては冒頭 のコードを何にするとか楽曲全体のバランスを考慮しながら作るようになったんですから、積み重ねた時間と労力というものはとんでもないものですね
一方で、先のMemorial birthdayとはまた異なる動きを見せているのが結尾 のコード
同じコードが冒頭 と結尾 を担うというのは何度か登場していますが、それが2回(ⅠM7 )も同じパターンとなる事は今まで紹介してきた楽曲の中にはなかった動きです
それだけ今作はⅠM7 を中心とした楽曲にしたいという想いが伝わってきますね
使っているコードが制作者の言葉にならないメッセージを代弁していますので、途中のコードが同じパターンの使い回しだったとしても、冒頭 ・結尾 のコードを何にしているのかなども追究出来るようになれば一見同じように感じる楽曲にも細かな違いが見えてくるようになり、音楽をより深い次元で楽しめるようになるかもしれません
聴く側→作る側になるための音楽の受け取り方の大事なポイントでもありますので、僕の楽曲を通じてそうした楽しみ方を知ってもらえると幸いです
さて、ここからは2番なのでいつものように1番を繰り返すようなものがほとんどです
例の如く箇条書きスタイルで引用元を羅列していきますのでご参考下さい
Aメロ2-1…Aメロ1-1を引用
Aメロ2-2…Aメロ1-2を引用(Cメロ1へ繋ぐためのCMaj(ⅤMaj) 2小節追加)
★Cメロ1・2…この後解説
ラスサビ1-1…サビ1を引用
ラスサビ1-2…サビ2を引用(最後のFMaj(ⅠMaj) 4小節はラスサビ2に移行)
★ラスサビ2・3…この後解説
アウトロ1…イントロ2を引用
★アウトロ2…この後解説
という仕様になっています
箇条書きで上手くまとめられない箇所がいくつかあった関係で★をつけたセクションが多いですが、ここからは★をつけたセクションのコード進行の解説をしていきます
解説の前に前編の時から寝かせていた例の1分短縮成功の話をここでしたいと思います
なぜかと言いますと、これから解説するCメロがそれを成功させたセクションだからです
現行の形に昇華する前の頃に作っていた頃のPLEDGEはAメロ2の後は、
Aメロ2→Bメロ2→間奏→ラスサビ前 →ラスサビ→アウトロ
ラスサビまでの間に更に3セクションあったんです笑
それをBPM:81というスローテンポで制作していたのですからそりゃあ7分超えなんてしてしまいますわなって話ではあるのですが、それでも僕としてはBメロ2の歌詞+ギターソロのどちらか一方を諦めるという事が出来ませんでした
こうした煩悩めいた僕の願いを叶えるために思いついたのが、
じゃあギターソロを交えたセクションを作れば良いか
という斬新な発想でCメロが誕生しました笑
結果的にギターソロは単なるリードプレイっぽい感じにはなったものの、それでもギターソロとして組み込んだ事実には変わりありませんし、歌詞もきちんとつける事が出来たので両方の贅沢を叶える事が出来たわけです
この方法によって3セクションあった余分な尺をCメロ1つに凝縮して1分相当の短縮に成功しました
PLEDGEは様々な面で再現が上手く出来ずに苦労していたのですが、このCメロ凝縮が成立した事で望んだ形にようやく作り上げる事が出来ました
諦めずに制作してきて本当に良かったです
FMaj(ⅠMaj) - Am7(Ⅲm7) - B♭Maj(ⅣMaj) - CMaj(ⅤMaj)
そんな成功体験という前置きをさせていただいた上でCメロ1の解説を始めます
この1~8小節目はイントロ2とサビ1・2の冒頭と同じなので解説は省略します
FMaj(ⅠMaj) - Am7(Ⅲm7) - B♭Maj(ⅣMaj) - C6(Ⅴ6)
5~8小節目のコード進行ですが、こちらは先の「1345進行」のCMaj(ⅤMaj) をC6(Ⅴ6) にアレンジしたものです
ここではⅤ(7) の世界観を優先したいという思いでⅢm7 を匂わせるような感じでⅤ6 にしたという感じですね
ダイアトニックコードという点も考えると、大抵はⅢm7 で間に合う事が多いので滅多に使わないのですが、やはりⅤ6 はⅤ6 で中身は同じでもⅢm7 と響きが若干異なるので、どちらの響きを優先した楽曲展開としたいのかという使い分けは非常に大事です
FMaj(ⅠMaj) - Am7(Ⅲm7) - B♭Maj(ⅣMaj) - CMaj(ⅤMaj) - E♭Maj(♭ⅦMaj) - Dm(Ⅵm)
次はCメロ2の前半8小節のコード進行ですね
Cメロ1の1~8小節目と同じ「1345進行」にここでは更に「♭ⅦMaj - Ⅵm 」を延長しています
ここでは五度圏の裏の関係にあるKey=BのE♭7(Ⅲ7) からの拝借ではなく、パラレルマイナーの関係にあるKey≒Fm(=A♭)のE♭7(Ⅴ7) をドミナントマイナー「♭Ⅶ7」 として挿入したという感じです(Fブルーノートスケールの延長)
元々は「Ⅲ(7) - Ⅵm 」という展開としていたものを「♭ⅦMaj - Ⅵm 」としているので、理屈としてはKey=FのA7(Ⅲ7) とKey=BのE♭7(Ⅲ7) はコードトーンの構成上Dm(Ⅵm) への進行を可能としているのでどっちの解釈でも成立します
ですが、Key=Bの裏コードとするよりもKey=Fの流れを汲み取った作りのまま挿入出来るので、そういう意味でも♭Ⅶ7 としたメロディ作りをしたとする方がある意味自然でしょう
パラレルマイナーもダイアトニックコードと見做して自在に操れるんですからメジャーキーはやはり最強です笑
suicide note で「♭ⅦMaj - Ⅵm 」に関する図を使った解説をしているので、詳しくはそちらをご参考下さい
ここでは過去に解説した内容を他楽曲で再現したとして文字のみで簡潔に解説するに留めさせていただきます
B♭Maj(ⅣMaj) - Am7(Ⅲm7) - B♭Maj(ⅣMaj) - CMaj(ⅤMaj)
次は10小節使ったCメロ2の後半のコード進行です
最後のCMaj(ⅤMaj) がラスサビ1に繋げるために2小節延長されているという以外では2小節/コードとなっているため、それだけに着目すると、「4345進行」が成り立っているのが分かるかと思います
カノン進行の後半「4145進行」をAm7(Ⅲm7) に代用したアレンジ例だと瞬時に見抜けた方はカノン進行を自分のものに出来ている証かもしれませんね
FMaj(ⅠMaj) - B♭M7(ⅣM7) - Csus4(Ⅴsus4) - C7(Ⅴ7)
FMaj(ⅠMaj) - Gm(Ⅱm) - Am(Ⅲm)
次はラスサビ2の10小節のコード進行ですが、1行目は1~6小節目まで、2行目は7~10小節目という形でまとめています
1~6小節目はⅤsus4 を使った「145」版スリーコード進行です
「451」版での登場が多かっただけでFMaj(ⅠMaj) が冒頭にくるか結尾にくるかだけの違いで「Ⅴsus4 - Ⅴ7 」のセット組が大きく変わるというものではありません
故にこのパターンはどちらも頻度高く見かけるものではあります
ただ、たまたま僕は「451」版でⅤsus4 を使う事が多いだけかもしれません笑
7~10小節目は1~4小節目のFMaj(ⅠMaj) 単体進行の流れに倣う形で7~9小節目までをFMaj(ⅠMaj) 単体進行とし、次のラスサビ3への繋ぎ役として「Ⅱm - Ⅲm 」を挿入したような動きを見せています
この動きからもお察しの通り、ラスサビ3の冒頭はB♭Maj(ⅣMaj) です
大分僕の考えが読めてきましたかね?笑
B♭Maj(ⅣMaj) - CMaj(ⅤMaj) - A7(Ⅲ7) - Dm(Ⅵm)
B♭Maj(ⅣMaj) - CMaj(ⅤMaj) - FMaj(ⅠMaj) - Gm(Ⅱm) - Gm/C(Ⅱm/Ⅴ) - N.C.
次はラスサビ3の10小節のコード進行についてです
1~4小節目は度々登場してきたⅢ7 版王道進行です
次がこれまた珍しいアレンジなのですが、最後が「Ⅱm - Ⅱm/Ⅴ 」で締めくくる「4512進行」となっています
最後がⅡm で終わるというのはこれまでにないパターンなのですが、なぜこんな珍しいコード進行を組んだかと言いますと、ヒントはGm/C(Ⅱm/Ⅴ) にあります
この分数コードの基の形を皆様はご存知でしょうか?
そうです、C7sus4(9)(Ⅴ7sus4(9)) のsus4系分数コード ですね
つまりこの「Ⅱm - Ⅱm/Ⅴ 」は「Ⅱm - Ⅴ7sus4(9) 」というコード進行を変形して出来たものと言えます
そして、アウトロ2の冒頭はFMaj(ⅠMaj)
ここまで来たらもうお分かりですね?
そう、セクションを跨いで
Gm(Ⅱm) - C7sus4(9)(Ⅴ7sus4(9)) - FMaj(ⅠMaj)
というⅡ -Ⅴ -Ⅰ をしれっと形成しているんです笑
それを、
Gm(Ⅱm) - Gm/C(Ⅱm/Ⅴ) - FMaj(ⅠMaj)
という風にアレンジしてベースラインでⅡ -Ⅴ -Ⅰ を組んでいるという感じにしているわけですが、正直言うとN.C. で一度流れを断ち切ってるのでN.C. 以降は何が来ても問題ありません(ⅠMaj である必要はなし)
そういう裏の意図を匂わせつつも実はⅡ -Ⅴ -Ⅰ をそこまで意識しているわけではないため、ここでは単なるⅡm 繋ぎという意味合いを込めてサブドミナント としてGm/C(Ⅱm/Ⅴ) を扱っています
故に、ここは単に「4512進行」として見ていただくのがスマートです
FMaj(ⅠMaj) - Gm(Ⅱm) - Csus4(Ⅴsus4) - C7(Ⅴ7) - FMaj(ⅠMaj)
最後はアウトロ2の6小節のコード進行ですね
1行にまとめるとこんな感じになりますが、こちらは3パターンほど解釈の仕方が出来る仕様となっています
3コード単位で見ると、「125」「251」という2つのコード進行を合体させたようなものと見る事が出来ます
そうです、これは「145」「451」のスリーコード進行を単にGm(Ⅱm) に置き換えてⅡ -Ⅴ -Ⅰ としたものなのです
そこにⅤsus4 を経過和音的に挿入してその動きをアウトロ2に持ってきて強4度進行で綺麗に閉幕させたというものですね
ありきたりではありますが、セクションの締めにⅡ -Ⅴ -Ⅰ は本当に綺麗に収まります
以上をもってPLEDGEの解説を終了します
これは本当に色んな意味で苦労して作り上げた楽曲なので、ちゃんとした形に出来て本当に良かったです
0から1曲作り上げるというのは今でもそうですが簡単な事ではありません
今でもPC内には歌詞だけが完成してメロディがついていないものや中途半端に作ったまま放置されている楽曲も多々あります
これらの楽曲になりきれていないもの達がそのまま没になるのか、当時のままの形で世に具現化するのか、はたまたリメイクされて別の形に昇華されるのかはまだ分かりません
作れていないという事は単なる創作意欲の問題だけではなく、制作するための条件が揃っていないために着手出来ていないという事もあったりしますので、己の人生と照合しながら本当に形にするべきものをよくよく吟味して残していきたいと思います
それでは今回はここまで
次回のブログでまたお会いしましょう
(^ ^)ノシBye Bye
PLEDGEの音源はこちら↓↓
「不器用な想いを音で描く」を信条に、SoundCloudにオリジナル楽曲と東方自作アレンジを公開中です
興味があれば聴きに来て下さい♪
※ジャケット画像:太郎様
※Endless Storyの音源動画用のワンシーンを活用し、ジャケット画像用に編集したもの