肝硬変とは恐ろしい病だ。
知らぬ間に身体を蝕んでいく。
父が肝硬変の末期状態だとわかったのは三年程前だ。今思えばそれは、肝性脳症の症状だった。父は80だったがまだ、会社経営の第一線で働いていた。仕事が生きがいだったので人に任せるという事がなかなかできない性分でもあった。
そんな父が一週間何も食べずに寝続けるのだ。具合が悪いのかと思い声をかけるとすぐに目を覚まして、ただ眠いだけだから寝かしておいてくれと言うだけだった。私達家族は病院に連れて行こうとするのだが、病院嫌いの父は全く行こうとしない。
一週間くらいするとまた、普通に起きて仕事をするのだった。そんな事が半年のうちに二回程あったと思う。
そしてそんななかあの事故は起きてしまった。