旧芝離宮恩賜(おんし)庭園とは、浜松町の駅から

見える緑地のことです。

 

 

かくゆうワタシも、ずっと空き地の公園だと

思っていました。

 

今年から芸大でランドスケープデザインを学んで

初めて大名庭園であったことを知りました💦

 

どうして、ぽっかりとここだけ公園のような場所

があるのだろうと疑問に思っていました。

 

大体、浜松町という駅は乗り換えに忙しいところで

見えてはいるけど・・・というワタシのような人は

きっといるのではと思います。

 

その昔は、公園のように使われていたようで、灯籠に

よじ登ったり、芝生で遊んだり、ランニングコースに

使われたりと、本来の庭園を鑑賞する人が極端に少な

くなってしまったので、有料公開に変わったようです。

 

浜松町駅の出口を間違えて、南口から降りてしまい

4分の3周 走る人 回って

入口に辿り着きました。暑い・・・日なのに汗

 

ここが入口です。

 

北口から出ると、目と鼻の先にあります。

 

この庭園を造り始めた1678年当時は、この先は

芝浦という海でした。

 

芝エビの名前は、この芝浦で獲ったエビが由来です。

江戸前の魚は、この海で獲れた魚を言うのだとか。

 

そもそも、この場所も埋め立てられたところです。

 

庭園の特長

海から海水を引き込む「潮入の庭」という

江戸独自の日本庭園でしたが、近隣の汚水

の問題で現在は潮入は行われていません。

 

東京都内に緑が多いのは、大名庭園や宮家の庭園

が残っていることが多いからと思われます。

 

それでは、暑い鋭い日差しの中、旧芝離宮恩賜庭園

を散策したいと思います。

すでに外側は回っておりますが・・・💦

 

サルスベリが咲いていました。札幌とは違い

大木です。

 

この先にビードロ茶屋跡があり、何か飛び交っ

ています。

 

 

札幌ではほとんど見られなくなった、雀の群れ

でした。こんな都会で見ることができました。

 

十数羽の群れの雀は飽きることなく、猛暑の中

砂浴びをしていました。

 

猛暑の熱で殺菌された砂は、さぞや気持ちがいい

のでしょう。

 

この庭園が整備されたのは、小田原城の城主に

返り咲いた大久保忠朝(ただとも1632~1712年)が

小田原の庭師に造らせた庭園「楽寿園」が始まりです。

 

庭園やお屋敷の持ち主は幾度も変わりましたが、

楽寿園の原型は残っています。

 

旧芝離宮恩賜庭園の歴史

 

1614年 祖父 大久保忠隣(ただちか 1553~1628年)が本田父子の奸計に落ち

     家康の不興を買い、改易となる。小田原城から唐津城へ。

 

1678年 大久保忠朝が芝離宮の場所を拝領。作庭が始まる。

 

1686年 汚名を返上し、祖父の地小田原の藩主に。家禄は加増され10万3千石

     の城主となる。庭園を楽寿園とする。

 

1727年 富士山噴火。庭園にも降灰。

 

1818年 大久保家邸を堀田家が拝領

 

1823年 清水家の下屋敷になる。

 

1846年 紀州徳川家が拝領。芝御屋敷と称す。

 

1855年 安政大地震。家屋が崩壊。

 

1870年 鉄道用地として87坪返上。紀州藩官邸となる。

 

1872年 有栖川宮邸になる。

 

1875年 皇太后宮の非常御立退所として宮内庁が管理。

 

1876年 名称が芝離宮となる。

 

1891年 洋館完成。各国貴賓のもてなしや宿泊に使用。

 

1923年 関東大震災により、ほとんどの家屋を焼失。 

 

1924年 御成婚記念(昭和天皇)として東京市に下賜。

      旧芝離宮庭園として公開開始.

 

1962年 庭園の1510坪が新幹線用地となる

 

1979年 入園料として100円の有料公開を開始

     (現在は150円 65歳以上は70円 年間パス1000円)

 

大久保家が造った庭園から、池や石橋など時々に作庭され

ましたが、当時の庭園はかなりの部分が残っています。

 

一度は唐津城に追いやられた大久保家でしたが、文武に優れた

才能とお人柄もあり、初代小田原の藩主であった祖父の地に、

家禄を11万3千石まで増やし戻ることができる。

 

妬みから失脚させられた教訓から、賢人としても伝わる人物。

 

足を引っ張る世界の中で、見事に返り咲いた人物が造った庭園

には、力強いエネルギーを感じます。

 

それほど広くはない敷地ですが、十二分に寛ぐ空間でした。

 

大久保家同様、旧芝離宮恩賜庭園で働く方々の親切な対応も

気持ちが良いです。事務的になりがちなところも多い中、心

のこもったおもてなしは嬉しい限りです。それもこの庭園の

素晴らしさを引き立ててくれています。また行きたい場所でした。

 

参考文献

旧芝離宮庭園 小杉雄三著 東京公園文庫(2011.3)

旧芝離宮恩賜庭園ガイドブック

(2つとも旧芝離宮恩賜庭園で購入)