ヴァランサ⇒ヴィラノヴァ (Vila Nova de Cerveira) 17.2km

1998年9月25日(金) 雨

 

 

 

 

「もう夏は終わったのだよ」

 荷造りを終えて出ようとするとまたも雨。迷いに迷って結局出る。これが失敗であった。9月30日終了のポルトガルEXOPO98リスボンに間に合うのか心配して強行したのだが、走るほどに雨脚が強くなり、ものの2、30分でびしょ濡れ、寒さで如何ともし難し。残念ながら、わずか17キロ走行でギブアップする。

 雨濡れによる寒さに歯が合わず、強風雨の中、深閑とするYHのドアをノックすると、吹き降りの雨水の入り込みを嫌ってか、ドアを小開けし顔だけを小さく出して不思議そうな顔つきで中年男が、

「何の用?」

 と問うてくる。まだ午前10時50分。今はシーズンオフのこの時期のこの時刻にびしょ濡れで東洋人が訪れたのだから、不思議に思われても仕方ない。

「宿泊はOKだけど、12時〜18時はクローズドだよ。何、シャワーを浴びたい? それもいいけど12時には必ず出て行ってくれよ」

 急いで部屋に入り熱いシャワーを浴びて体を温め気持のいい下着に着替えてホッとする。ところがこの時の時間の経つことの早い事、すぐに正午となる。仕方なくロビーに行くと意地悪そうな管理人が待ち構えている。ドアを空けるとすごい吹き込み。これではとても出られぬ、と躊躇していると、その躊躇のいとまも与えずに管理人が

「町の地図は案内所に行けばもらえる。6時間を過ごす所? バール(バー)もあればレストランもあるよ。この町には図書館もある……」

 仕方なく思い切って飛び出ると、折りたたみ傘は強風で逆さクラゲになり役立たず、すぐにびしょ濡れ。よくもこんな強風雨の中、出て行けと言えるものだ、この程度の状況判断が出来ないのか?! 客が自分一人のみというのに……と情けないやら悔しいやら。

 この後はバールを2軒、図書館、郵便局、喫茶店2軒と渡り歩いて時間を潰す。散髪屋も何故か今日は休店。時計の針は止まっているのでは?と思うくらい動くのが遅い。町の石畳道は大水で小川の如く、郵便局は局内まで浸水していて大騒ぎ。町自体も大雨のせいであろう、人出がなくゴーストタウンの如し。

 夜、男の客が入ってくる。その男、明日の天気について、管理人と一緒になって 

「明日も雨だよ、だってもう夏は終わったのだよ。夏は好天だが冬はバッドウェザーだ、雨は仕方ないよ」

 と言う。この論法にはついていけぬ。秋はないのか?! ポルトガルには。

 

 

ヴァランサ (Valenca) のレシデンシャル (レストラン兼業の宿)

定年欧州自転車旅行 1998.09.25(金) 08:15 小雨降り出す

 

 

ヴィラノヴァ (Vila Nova de Cerveira) のYH前

定年欧州自転車旅行 1998.09.26(土) 09:00 小雨