このところの戦争関係の特番を連日見ています。この年月が経っても新たな事実が分かってくることに驚きを覚えます。NHKはやっぱり好きだな。

長崎の「向陽寮」という戦災孤児の施設の番組を興味深く見ました。わたしが長年児童養護施設で仕事をしていたから。私のいた施設も戦災孤児から始まったと言われていました。40年以上前に新規で勤めた頃は、大きな希望をもって行ったのに、理想とはかけ離れた内容に毎日悶々としていたことを思い出します。向陽寮は戦後でありながらも自治を試みたり、自分で善悪を判断する子にしたい……とするなど、かなり革新的で愛情のこもった感じでした。私が入った頃は「子どもたちが社会に出てやって行けるように我慢出来る子を」って感じで、わがままをさせないで生活させるのが主流でした。最初から違和感はあったけど、だんだん勉強していくうちにやりたい児童養護みたいのが固まってきて、苦しいこともあったけど充実した生活だったと思います。あの頃は丁寧に子どもたちの気持ちを考えていけばそんなに間違いはなかったけど、今は発達障害や虐待の問題でもっと複雑化していて大変だと思います。

寮長の「お母さん」の手記を見ていろいろことを思い出した。私も子どもたちのお母さんではないけど、代わりにできることを……って思ってたな……。でも、施設に暮らすつらさには寄り添い切れなかった気がします。向陽寮にいた人たちは、震災孤児という運命には悲しみを感じてきても、「お母さん」の存在にはいたから生きていけたと言っていた。私も古い卒園生はお母さんと呼んでくれ、自分の子どもに「ばぁば」と呼ばせてくれている。こういう仕事が出来たことは幸せだったんだろうな。そして、一緒に苦労してきた卒園生同士もいつまでも結びついてる。卒園生に病気のことをカミングアウトするのが1番つらかったです。私の仕事人生、間違いもたくさんあったけど、この番組をを見ていろいろ思い出すきっかけになりました。