いつ来るかなぁって母に話してたんだって?

ようやく顔を見に帰れたよ ただいま
遅くなってごめんね

昨日は夜中は 色々想像して 色んなこと思い巡ったよ 色んな言葉がよぎったよ

今ね顔見てね お疲れさまだったねえ 
よくがんばったね ようやく終わったね 長かったね
労いの気持ちばかりだよ

寝てるみたいな穏やかな顔で 
おぉ来てたの なんて 嬉しそうにか細く震えたあの声でむっくり起きたりして なんて何度も思うんだけど やっぱり起きないみたい

痩せっぽっちになってね

ねぇ綿そんなに詰めたら痛いよね
そんなに沢山詰めたら苦しいよね
そんなとこにまで入れたらさ

胸元 呼吸で動いてんじゃないか
って思うんだけど 動いてないね

なんも言わないね どこにいったんだろうね父は  どうしてもう父じゃないんだろうね 寝てるのは父なのに

病院に通ってるなんて嘘ついてさ
少ない国民年金貯めて葬式代貯めてたの
すごいね えらいね


事務手続き多いよ やることいっぱいだわ
でも最後までやり遂げるからね

お父さん 銭湯行くのも好きだったね
スキー行ったね あ パチンコ屋さん ここのパチンコには来たことあるのかなあ
図書館に借りっぱなしの本はないかな

眼鏡 小学生の頃 食器洗剤でいつも洗ってくれたな   

なんて今まで思い返せなかったことが
こんなに沢山溢れてるなんて

死ぬって不思議だな
今までの全てがクリアになるんだね

お父さん 楽しかったね
晩年は本当にお疲れさまお疲れさま

あと少しだけだね一緒に居られるの
今日は一緒に寝ようね

お父さんの足の裏をじっと見つめるなんて初めてだな