【健康と笑い】
「笑う門(かど=家、家族)には福来る」と言いますが、笑いは本当に福(健康)を運んでくるようです。なぜ健康に良いのかなど、考えてみましょう。
【笑うのは人間だけ?】
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは「人間だけが笑う動物である」と説き長年その言葉が信じられてきましたが、19世紀に入りダーウィンが「霊長類も笑う」と反論しました。
確かにチンパンジー等の霊長類もじゃれ合って笑いますが、きずなを強めるためなどであり、愉快だから笑っているのではありません。本当に笑うのは人間だけなのです。
【笑いは伝播する】
いつも笑顔の方は、まわりの人も幸せな気分にさせてくれます。笑いは伝播するのです。
共同生活を送ってきた人類には、脳に他人の立場や気持ちを読み取る機能が備わっているため、笑いの感情や笑顔は伝播すると考えられています1) 。
【笑いの科学】
笑いが、身体的にも精神的にも健康に良いとの科学的な研究報告は数多くあります2)。
身体的には、笑うと
① 免疫力アップ(ナチュラルキラー細胞が活性化し免疫力がアップし、がん等を予防)
② 疼痛緩和(モルヒネの数倍もの鎮痛作用のあるベータエンドルフィン等が大量分泌)
③ アレルギー性皮膚症状の改善
④ 食後血糖値上昇を抑制
⑤ 睡眠の質を上げる などが言われています。
顔の筋肉を使うため美容にも良いようです。
精神的には
① ストレス軽減
② 人間関係の確立
③ 不安・緊張の緩和 などです。
「なんばグランド花月」で3時間、漫才や喜劇を見た後に、ナチュラルキラー細胞が活性化していたとの報告があります。ストレス関連ホルモンも笑いで体に良い方向に変化します。
血液中の白血球を遺伝子レベルで調べてみると、笑った後には感染予防やナチュラルキラー細胞の活性化などに関わる遺伝子群の発現が高まることが判りました。
また、何で笑うかといった「笑いのもと」を調べたところ、笑う頻度が多い順に
① 家族や友人と話をしているとき
② テレビやビデオをみているとき
③ 子供や孫と接しているとき
④ 落語や芝居をみているとき
⑤ ラジオを聞いているとき
⑥ 漫画や雑誌を読んでいるとき でした。
別の調査では、
友人と会う頻度が高い人がよく笑い、お金がなくとも友人といれば笑うことが判りました。
お金をかけずとも家族、友人と接して話すことが、「笑う」最も有効な方法のようですね。
【脳は嘘と本当の笑いを区別できない】
本当の笑いではなく、「作り笑い」ではどうなのでしょうか? 脳は本当の笑いと作り笑いを区別できないようで、ほほ笑みや作り笑いでもナチュラルキラー細胞が活性化します3)。
笑う体操等の「声を出し笑う」を取り入れ、楽しくなくても「笑う」と健康によさそうです。
【お笑いの街の住人は健康寿命が長いのか?】
お笑いの街といえば、大阪を思い浮かべますよね。
大阪は、漫才や落語、喜劇などが盛んで、生活のなかにも「笑い」が織りこまれています。
では、お笑いの街の住人の「健康寿命」(生活に支障なく暮らせる期間)は長いでしょうか。大阪府は「健康づくり推進条例」を議会に提出し可決され、2018年10月に公布しました4)。
大阪の「平均寿命」や「健康寿命」は、残念ながら全国平均を下回っており、また2025年の万博テーマが「いのち輝く未来社会」(健康等)であり、改善を図る目的があったのです。
「健康寿命」等が全国平均を下回った理由としては、「がん検診、特定健診の受診率が低い」、「心疾患、高血圧、糖尿病等の生活習慣病の罹患率が高い」などが考えられています。
笑いの好影響も、健診受診や生活習慣病予防等の健康的な生活が前提のようですね。
【まとめ】
笑うと気分もスッキリし幸せな気分になり、健康増進にも繋がります。
米国の心理学者ウィリアム・ジェームズは、「人は幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ」と言っています。
2月5日(ニコ)は「笑顔の日」ですが、笑顔の日に限らず、皆さま大いに笑いましょう。
1):一人の笑顔は周囲の人にも伝播する(東北公益文科大学: https://www.f-ric.co.jp/fs/201301/32.pdf)
2):健康における笑いの効果の文献学的考察(三宅優ら、岡山大学医学部保健学科紀要,17:1-8,2007)
3):昇幹夫、笑いと長寿の健康科学、大月書店、2007,2
4):大阪府健康づくり推進条例(http://www.pref.osaka.lg.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k201RG00002041.html)