「今夜、ロマンス劇場で」

愛し愛される...。
本物の愛は永遠なんだろうな...。

将来、映画監督になることを夢に持つ青年の健司は、行きつけの映画館「ロマンス劇場」で、そこで見つけた古いモノクロ映画を毎日観ていた。
彼はその古いモノクロ映画が大好きになり、いつの日かその作品に出ている主人公の美雪に初恋に似た淡い恋心を持つようになる...。
そんな毎日を送っていた健司の前に、ある日、信じられないような奇跡が起こる。
なんと、スクリーンの中にしか存在しないはずの美雪が健司の前に、突然、現れたのだ...。

綾瀬はるかさんの作品の中でも、彼女の魅力が存分に伝わりなおかつ作品としての完成度もとても高いように思う。
もちろん共演の坂口健太郎さんの演技も良いし、最後のシーンの加藤剛さんが見せる哀愁は半端ない。
映画の魅力を伝え、愛の素晴らしさを教えてくれるこの作品はとても良い感じだ。

自分の中にも、スクリーンの中の主人公に恋したことはやはりある。
誰でも一度はそんな経験はあるものだろう。
そんな恋をした相手は、自分の中では「ローマの休日」のオードリー・ヘプバーンさんになる。
スクリーンの中の彼女は、とても可愛く素敵でお茶目なとこもあり、凄く魅力的に思えて大好きになってしまった...。
観た当時でさえも「ローマの休日」は古い映画と言える作品だったが、その作品の中にいる彼女は自分の中で生き生きとした存在そのものだったし、作品の中にいる彼女こそが自分の気持ちの中にいる現実だった。
そんな日々を過ごしていたせいか?、その当時の自分はオードリー・ヘプバーンさんに似た女の子を好きになってしまったことさえもある。
今でも自分の中にいるオードリー・ヘプバーンさんは、ずっとずっと「ローマの休日」の中にいる彼女でしかない...。
もちろん晩年の彼女の姿も知っているし、他の作品で見せた彼女の姿も知っている。
でも、自分の恋した彼女はいつも同じだ。
いつまでも若くて魅力的な彼女であり続け、そして自分はいつまでもそんな彼女を恋し続けている。
そんな彼女を今でも自分は大好きなのだ。

現実に恋した彼女たちもずっと自分の中では、それぞれ魅力的であり可愛く素敵な存在としていろいろな想い出と共に記憶に残り続けている。
ただただ、本物の深い愛にまではならなかったけど...。(笑)

誰もが自分の中でずっと恋し続けられた存在は本当の愛だと言うことが出来る。
おじいちゃんやおばあちゃんになって、どちらかが先に亡くなったとしてもその愛は変わらない。

お互いが愛し愛される存在になれれば、それほど幸せなことはない。
お互いを想い、お互いの記憶に残り続け、その記憶の中でなおも愛し続ける...。

そんな深い愛に巡り会えた人は幸せ。
愛はやっぱり素晴らしい。

(あくまでも個人的な見解ですのでご了承ください。)

「今夜、ロマンス劇場で」 (2018年 日本)

監督 武内英樹
脚本 宇山圭佑
主演 綾瀬はるか
   坂口健太郎