監査法人変更のキーの一つである監査報酬について書こう。

 

監査報酬の相場はあってないようなものであり、他社との比較は実は難しい。しかし、自社の過年度の監査との比較は容易にできる。

 

監査報酬がどのように計算されているかご存知ですか?

①監査人員単価(職位によって単価に相違あり)×②各人の作業時間の積み上げである。

①に関しては、監査リスクに応じて相応のプレミアムが上乗せされる場合がある。

②に関しては、売上や利益だけで決まるわけではなく、業種、グループ会社数、監査リスク、管理体制のレベルなどを総合的に勘案して決まってくるため、他社との比較が難しいのである。

単一のものを単一工程で製造し、少ない業者に販売するだけのような業種と、複数のものを複数の行程で製造し、多数の第三者に販売し、ITを駆使した検証が必須であるような業種とでは、そもそもビジネスの複雑さが異なり、監査対応も複雑になる。

また、1社で100億円売上げる単体財務諸表のみ作成会社と5億円×20社で、100億円売上げる連結財務諸表作成会社とでは、手間が異なってくる。

財務諸表に不正や誤謬などが生じる可能性が高い会社と、そのような可能性が低い会社では、監査手続きの軽重も変わってくる。

管理体制のレベルが高い(監査上の指摘がほとんどなく、問題点等は自ら考え事前に相談等できる能力を有している)会社とレベルが低い(監査上の指摘が多く、単純ミスも含め誤りが多く、問題点の考え方も監査法人に丸投げ)会社とでは、監査人のかかる手間も変わってくる。

このように複合的な要因により、監査作業時間が決定されているので、一概に企業の規模等で機械的に算定することはできないのである。

 

このように監査報酬は他社との比較が難しいが、自社の受けた監査の過年度との比較は容易にできる。

監査報酬が前年と同額であれば無条件に良しとするのではなく、作業時間が毎年どのような作業にどれくらいの時間がかかっているのかを企業側も理解し、監査人の作業に目を光らせておくことで、監査報酬の交渉も可能となるし、企業と監査人間に程よい緊張感を持ち続けることができる。

 

監査法人変更を少しでも検討していれば、気軽にご連絡ください。監査人変更の際、ほんとにちょっとした工夫で、手間を大きく減らしたり、コストを削減したりできます!何かしらのお役には立てると思います。

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