ミュンヘン名物⁉脅威のおじさん、、 | ドイツ暮らしの情報

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ドイツで音楽の仕事などしてる大阪人です。

生活や音楽や、
海外に興味のある方に向けての情報、またはただの呟きに付き合って下さる方との繋がりを求めて、こちらでの暮らしの様子を綴ります。

今日は、
私がミュンヘン一(いち)、
最強だと思っているおじさんの話を。



音大の授業がある
Rosenheimer platzには



ほぼ、毎日誰かが何かを
演奏している場所があります。


ときには謎のアンサンブル、
(傍から聞くと不協和音の連続なのだが、
本人たちは至って楽しそうなのである、、)
ときにはツィター楽器奏者、
なんちゃってバイオリニスト、
女性歌手が伴奏CDを流しながら歌っていたこともある。



中でも、



アコーディオン弾き歌いおじさんは、
ダントツでライブ頻度が多い。




しかもその歌声のデカさ、力強さ、歌いまわし、

16小節+2小節のイントロ兼、後奏を
ひたすらに、繰り返し続けるという
脅威のリピート演奏スタイルが

道行く人々の耳について離れない。







 
ドイツ人ならこおゆうのを、
Ohrwurm (耳の虫、ミミズ)


と言うらしい。
つまり耳に付いて離れない音楽のことである。



おじさんの歌声はまるでCDのように、
一日中、2フレーズを繰り返す。

確かにピアノ練習も、
反復練習は大事である。  

生徒にもよく言うし、
先生にも言われた、

間違いやすい箇所は部分練習を
『繰り返し』すること。

ピアノ練習のいわば鉄則である。


その鉄則を、このおじさんほど、
忠実に実践している人はそうそういないだろう。

一日中、
同じ16小節を、
全く同じように、

演奏し続ける。


私が練習に行く時も、
私が練習から帰る時も、

このおじさんは、
まだあの同じ16小節を
練習しているではないか!!




くそっ、、
我々は負けている、、、

と、道行く音大生をプチ自己嫌悪にまでさせてしまう恐れもある。

あのミュンヘンフィルの団員さん達も
日夜通る道を、
何食わぬ顔で演奏し続けるあのメンタル。




脅威や、、、、







普通なら16小節はさすがに飽きるから、 
ちょっと変奏しよかな?
とか、
展開しよかな?
とか、
したくなりそうなところを、
  



このおじさんはまじで、

すごい。



まじで1音も変えない。

1ミリの強弱も変えない。

1ミリの休符も許さない。








脅威や、、、、









しかも今まであの駅でしか
見たことなかったのに、

昨日、英国庭園で聴こえてきてしまった、、

















 


まさに、
あのアコーディオンの音、
あの声音、
あのこぶしの聞いた歌声、
あの反復練習、、
またあの、あの、16小節、、





あのおじさんやーん、、、








私が行く先々にいるので、

この音楽が聞こえたとき

恐怖と共に、何故か、

同郷の友人のような安心感さえ覚える。





これこそが、ヤツの狙いか、、、←













とにかく、
今度もし一瞬でも、
このおじさんの16小節反復練習に 
変化があった場合、

すぐ、
このおじさんのこの曲が頭から離れない
ミュンヘン市民の皆さんには
この場を借りて、報告したく存じます。



このおじさんをミュンヘン名物にしましょう。(笑)








あぁ、、
同じフレーズを同じ風に弾いたらダメ、
2度目は何か変化しなさいだなんて、
誰が言ったのでしょうか、、(皆言うわ)



このおじさんは、
同じフレーズを、
おそらく一生同じように弾いて、
それが生きがいなんだから、
それはそれで美しいじゃないですか、、





とさえ思ってしまう、

ミュンヘンの脅威のおじさん。
なのでした。(笑)