芸術とは、欠如だ。
例えば絵画をみる。
絵画に当然、実際の空間はない。
音もない。
二次元的視覚情報しかそこには存在しない。
そこに我々は様々な推測憶測をたてる。
そして脳裏で描いた捕捉の情報は、
非均一で唯一的なものだ。
作品に付随するそういった二次的なモノが、それを芸術たらしめるのではないか。
我々の生活に、少しのイマジネーションを与えてくれるのではないか。
人間が得る情報の多くは、視覚からのものだ。
音楽は、基本的にその視覚情報を"欠如"している。
その"欠如"こそが、音楽を一芸術に昇華させている。
私はそう、勝手に思っている。
その"欠如"の中で、我々は何をみるか。
何に触れるか。
何を嗅ぎ取るか。
何を味わうか。
真っ暗闇の中で、
我々は音のみを頼りに如何なる世界を想像するか。
音楽は真っ暗闇の世界を照らす唯一の希望であり、
逆説的に真っ暗闇を強調させる絶望でもある。
ロックンロールも"欠如"から生まれたのだろうか。
パンクも"欠如"から生まれたのだろうか。
ロックの無限の世界の始まりには、
一つの大きな穴が待っているのかもしれない。
