「世界一危険な国」ホンジュラスのタクシー。~ リアル北斗の拳の世界 ~ | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

「世界一危険な国」ホンジュラスのタクシー。~ リアル北斗の拳の世界 ~


ホンジュラスのタクシー①



 先日、ホンジュラスの首都テグシガルパ(めちゃくちゃ治安が悪い)にて、タクシー内部から写真を撮る事に成功しました。ホンジュラスではこのように、フロントガラスがズタボロになった車は珍しくありません(これなど、まだ良い方です。フロントガラスが大破して全く無い車もたまに走っています)。

 どうして今回、このような写真を撮る事ができたのか…?

 それは、運転手が「アミーゴ」(友達)だったからです。

 そうでなければタクシー内に限らず、ホンジュラスの街中で写真を撮るのは大変危険です。カメラや携帯を狙った強盗が多発しており、こういう街のど真ん中では、絶対にカメラや携帯を人前で見せてはならないのです。



 今回、ホンジュラスリーグの全日程が終了してトコアから首都に移動する際は、本当に命懸けでした。引越しするので、大量の荷物(カバン3つ)を持って移動しなければならない…。僕なんか特にアジア人ですし(アジア人はお金を持っていると思われている)、強盗の格好の標的になりかねません。

 第1関門。まずはトコアのアパートから首都行きのバス停に大量の荷物を持って移動。僅か約500mの距離、徒歩3分の場所にバス停はあるのですが、こんな大量の荷物を持って「歩く」なんて、僅か500m、徒歩3分とは言え危険極まりありません。よって「信頼のおける」アミーゴのタクシー運転手に頼んで、たった500m、徒歩3分の距離をタクシーで移動せざるを得ませんでした。

 第2関門。トコアから首都までのバス移動(約10時間)。こちらは強盗よりも、トランクに入れた荷物が無くならないかが大きな不安要素。と言うのも、僕は実際に目撃したのですが、バスの係りがちゃんとチェックしないので、他の人が降りる時に別の人の荷物を持って行って無くなる…という事が、あるのです。トランクに荷物を入れて乗車したら、基本、もう何もできないので、あとは祈るしかありませんでした(今回も何とか荷物は全て無事でした!!)。ちなみに「強盗よりも」と書きましたが、バス内で強盗が発生する事もあります。ホンジュラスに「安全地帯」など存在しません。

 第3関門。これが僕の頭を最も悩ませました。このトコアからのバスは、よりによって治安が悪い首都の中でも「最強に治安が悪い」と言われる「コマヤグエラ(Comayaguela)」 に到着するのです。噂によるとこのコマヤグエラは、イラクのバグダットより危険らしい…(バグダットは「戦争があったから危険」だが、コマヤグエラは「戦争がないのに危険」と言われているとか…)。

 どうすべきか?大いに頭を悩ませました。万全の対策を立てる必要がありました。そして、「首都のアミーゴのタクシー運転手の中でも、最も信頼できる運転手に迎えに来てもらい、着いたら3分以内に迅速に荷物をタクシーに詰め込み、その場を去る」という作戦を実行する事にしました(大した作戦ではないですが…。他に良い手がないんです)。

 到着の1時間前から何度もタクシー運転手に確認の電話を入れて遅刻なく迎えに来てもらい、コマヤグエラ到着後、予定通り3分以内にその場を去りました。作戦成功!!

 全ての荷物と共に無事に目的地のホテルに到着し、部屋にチェックインした時は…「ふぅ~…。今回も無事だった…。良かった…」と深く息をつき、その後、ガクッ…と力が抜けてベッドに横たわりました…。
 
 引越し1つするのに、本気で身の危険を感じるこの緊張感…。こんなの、日本では考えられません。やはり日本は、凄く「平和な国」なのです。

 上の文章を見てもらってもお分かりのように、基本、絶対に「流しのタクシー」には乗りません。いや、乗ってはいけません。危険極まりないです。ただ、一度だけ、以前に初めて首都に用事があって行った際、まだ誰もタクシー運転手のアミーゴがいなかったので、前述のコマヤグエラから流しのタクシーに乗らざるを得なくなった時は…生きた心地がしませんでした。無事で本当に良かったです…。

 上の話はちょっと例外ですが、大体どこに行く時でも、初めての場合は知り合いに「信頼できるタクシー」を前もって教えてもらい、それに乗るように心掛けています。また、知り合いが「信頼できるタクシー」を知らない場合は、大きなモールやホテルのタクシー乗り場に止まっているオフィシャルのタクシーを使用します。ホンジュラスなので「絶対に安全」とは言い切れませんが、少なくとも「流しのタクシー」よりは遥かに安全です。

 
そして、タクシー運転手との「関係」も大事にしています。初めての場合でも高圧的な態度は絶対に取らずにフレンドリーに接し、良い関係を築きます。そして値段交渉では、自分の提示額よりも高い値段を言われても、それが相手が最初に言ってきた値段よりも安ければ、それ以上は交渉せず乗るようにしています。あまりしつこく交渉して相手の機嫌を損ねて、後で何かされる危険を防ぐためです。それでもベラボウに高い値段を言ってきた場合は、乗らずに他のタクシーを探します。


 とにかく、タクシー1つ乗るのにも身の危険を常に感じ、無事に目的地に着いた時は毎回、感動します。



 皆さんもホンジュラスでタクシーに乗られる際は、くれぐれもお気を付け下さい。




※首都で愛用しているアミーゴのタクシー。おととい利用した際は、同乗している彼の母親をまずは実家に連れて行き、その次は他の家に居た息子を迎えに行って学校に連れて行くなどされ、目的地に着くのが1時間以上も遅れてしまいました(客が二の次かい!?)。しかし、「安全」には代えられませんので、我慢しました。

ホンジュラスのタクシー④



※彼のタクシーのシートベルト…。何じゃこりゃ??ちなみにホンジュラスでは、日本ではもうとっくに廃車になったような、何10年前のレトロな車がまだ現役で走っています。僕の携帯のカメラ(今回の写真全て)も質が低くて何だか昭和の写真みたいで、レトロ感が余計に出ていますね。

ホンジュラスのタクシー③




※後ろに少し映っているのが前述の「運転手の母親」です。なぜか、同乗(汗)。そして、客の僕よりも先に目的地に連れて行くという…。ホンジュラスには、「お客様は神様」という概念はないようです。その分、日本以上に「家族」がとても大切にされています。

ホンジュラスのタクシー②




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