「信頼」と「尊敬」を継続するための戦い。VSレアル・エスパーニャ、中2日、壮絶のアウェー戦。
※アウェーの地「サン・ペドロ・スーラ」にて、レアル・エスパーニャ戦の前日練習後にレアル・ソシエダのGKたちと。ホンジュラス唯一のスポーツ紙「ディエス 」の記者が撮ってくれました。
【「壮絶プレッシャー」の先にあったもの。VS最強オリンピア、アウェー戦 】の続きです。
アウェーで「ホンジュラス最強チーム」であるオリンピアを「0-0」と完封して歴史的な引き分けを収め、やっとチームメイトからの「信頼」と「尊敬」を勝ち取る事に成功しました。
オリンピア戦の翌日には、僕を「鶴の一声」で今回のアウェー2連戦に帯同させたチームの会長から「Yoji、わざわざ遠い日本からチームを助けるために来てくれて本当にありがとう。次の試合も頼むぞ!」と、感謝と激励の電話がかかってきました。会長の期待に応える事ができて…恩返しができて、本当に、良かったです。チームの「最高責任者」である会長からの「信頼」と「尊敬」も、より強固にする事ができました。
…が、ここは厳しい「プロ」の世界。しかも、現在、中米No.1の実力を誇るホンジュラスの、「最高峰リーグ」。たった1試合の評価など、すぐに変わります。監督も、2連敗しただけでしょっちゅう変わります。本当の意味での「信頼」と「尊敬」を勝ち取るには、とにかく「結果」を「出し続けていく」以外に、道はないのです。
しかし…。
最強オリンピア戦で「壮絶プレッシャー」を乗り越えて何とか魂で「結果」を出したと思ったら、その僅か2日後に、これまたとんでもなく「結果」を出すのが難しい相手であるホンジュラス「4大ビッグクラブ」の1つ「レアル・エスパーニャ」との、「アウェー戦」…。乗り越えなければならない「壁」が、ことごとく高い…。神様はどこまでも僕に「試練」を与えます(ホンジュラスの「4大ビッグクラブ」とは、オリンピア、レアル・エスパーニャ、モタグア、マラトンの4チーム。僕が知る限り、もう10年以上、この4チーム以外で優勝したチームはありません)。
せっかく、やっとの思いで最強オリンピア戦で「結果」を出して勝ち取った「信頼」と「尊敬」を、たったの2日間で失ってなるものか…。
「信頼」と「尊敬」を継続するために…。
並々ならぬ思いで、戦いの舞台であるレアル・エスパーニャの本拠地・サン・ペドロ・スーラ(「世界一、危険な都市」と言われている)に乗り込みました。
※またまた、ウティレロ(ホペイロ。用具係)&トレーナーと、宿泊先のサン・ペドロ・スーラのホテルにて。
※レアル・ソシエダの不動のCBグティエレスと。今回のサン・ペドロ・スーラ遠征にて、ルームメイトとなりました。実は彼は累積警告で今回のレアル・エスパーニャ戦は出場停止。さらにもう1人、不動のボランチが出場停止と、代えが利かない重要な2選手を欠く、厳しい布陣でレアル・エスパーニャ戦に臨む事となりました…。
※ホテルの窓から見えるサン・ペドロ・スーラの街並み。「殺人発生率、世界一 」で、非常に危険なサン・ペドロ・スーラですが、ここはかつて(2005年)自分が住んでいた街。何だか、故郷に帰ってきたかのような感じがしました。
前々回のブログ【全く、予想だにしてなかった展開… 】にて「人生をかけた壮絶なアウェー2連戦、6日間の遠征」と書きましたが、なぜ「6日間の遠征」なのかと言うと、実はオリンピア戦の後、ホームタウンの「トコア」には、帰っていません。【前回ブログ 】に書いた通り、首都テグシガルパからトコアに帰るには約11時間かかる…。オリンピア戦の後に怪我人の治療とドーピング検査などを待っていたらスタジアムを出るのが夜21時半くらいになり、それからトコアに帰ってたら、大変…。しかも中2日でレアル・エスパーニャ戦があり、トコアからサン・ペドロ・スーラに向かってたら、また移動だけで片道5時間はかかる…。「中2日」の内の実に丸1日が「移動」だけで潰れてしまうという「とんでもない!!」事になるので、今回、チームはオリンピア戦後にトコアには帰らず、そのまま、丁度、首都とトコアの中間地点に位置する次の決戦の地・サン・ペドロ・スーラに移動して、そこで2泊する事を決断しました。ただ、激戦のオリンピア戦の後に首都からサン・ペドロ・スーラまで5時間かけてバス移動し、ホテルに着いたのは深夜2時半過ぎ…。その直後に撮ったのが、前回ブログにも掲載した、この(下の)写真です。もう、グッタリ…。いかに今回の「6日間の遠征」が過酷かを物語るエピソードです。プレーする選手たちは、もっと大変ですし、その疲労度は計り知れません。
※今回の決戦の舞台となるスタジアム「エスタディオ・モラサン 」入り。オリンピア戦の「エスタディオ・ナシオナル 」同様、W杯予選や数々の代表戦が行われてきた、伝統あるスタジアムです。ここもCDレンカでプレーしていた8年前 は、憧れながらも立つ事ができなかった場所。GKアップで初めて公式戦の当事者としてこのピッチに立った瞬間「また1つ、夢が叶った。やっぱり、本気で思い続けていれば、夢は叶うんだ」と改めて実感…。感動しました。
こうして、ついに、
「信頼」と「尊敬」を継続するためにも「絶対に負けられない」レアル・エスパーニャ戦がキックオフ!!
戦前、監督のハイロ・リオスは「現在のチーム状況からして、今のレアル・エスパーニャはオリンピアよりもさらに危険なチームだ」と言って警戒していましたが、その言葉どおり、立ち上がりからホームのレアル・エスパーニャが高い能力を発揮して猛攻を仕掛けてきます。
対する我らがレアル・ソシエダは、過酷な遠征の影響か動きが重い…。不動のレギュラー2選手を欠く布陣もどこかチグハグで、キックオフから僅か30秒…ミスから相手にペナルティエリア内への進入を許すと、「ゴールまで2m」という超至近距離から決定的なシュートを許します!!危ない!!
完全に「やられた!!」と誰もが思いましたが、これをレアル・ソシエダのGKサンドロ・カルカモがスーパーセーブ!!ふぅ~…。いやぁ~…もう、心臓が止まるかと思いましたよ…。
以前も書きましたが、「コーチ」は基本、選手をピッチに送り出したら、あとは「祈る」事しかできません(細かい指示は出せますし、ハーフタイムにもアプローチはできますが、試合中に良いプレーをしてくれるかどうかまでは、祈る事しかできません)。
この日もGKサンドロのプレー1つ1つを「頼む…。頼む…」とハラハラドキドキ、祈りながら見つめ、好プレーが出る度に「ヨシッ!!」と渾身の力でガッツポーズ…。GKサンドロはその後もスーパーセーブを連発し、失点を許しません!!
そして…。「0-0」のまま迎えた、前半の終盤…。
我々レアル・ソシエダが素晴らしい連携でチャンスを作ると、左サイドから絶妙のクロス…。そこに待っていたFWロニー・マルティネスが、飛び出した相手GKの前で完璧なヘッド!!!ボールは鮮やかにゴールへと吸い込まれます!!!
ゴーーーーーーーーーーーーーール!!!!!
「1-0」!!レアル・ソシエダ、先制!!
静まり返る、レアル・エスパーニャのホームスタジアム・エスタディオ・モラサン。アウェーで貴重な先制点。これで「勝てる!!」と思ったのですが、その後に信じられない出来事が…。
線審の旗が上がっている…!?オフサイド…!?ノーゴール…!?
はぁぁああああ!!!???
映像が無いので皆さんには説明が難しいのですが、試合後のTV番組や新聞でも「オフサイドではない」事が映像や写真を使って解説されるなど、大きな物議を醸した明らかな誤審。完璧なゴールが、「ありえない」判定によって取り消されてしまいます。そ、そんなぁ…。
その後、さらに信じられない事が…。「0-0」で迎えた後半の終盤。逆にレアル・エスパーニャのゴールが決まります…が、決めた選手はオフサイドポジション…も、笛は鳴らず!!ええええええええええ!?無情のゴール…。そして、そのまま試合終了…。
レアル・ソシエダ、「0-1」でレアル・エスパーニャに惜敗。
試合翌日の新聞には「レアル・エスパーニャ、疑惑の勝利」という文字が踊りました。
実は、ホンジュラスの「4大ビッグクラブ」に勝つのが難しい理由の1つが、この「判定」…。アウェーはもちろん我々のホームでも、審判の判定は露骨に財力も権力もあるビッグクラブに寄る事が多いのです。この日のような「疑惑の判定」は、しょっちゅう起こります。
「あのゴールが取り消されていなければ…」と思うと悔しくて悔しくてたまらないですが、これも「現実」…。一度、終わってしまった試合の結果は、二度と覆らないし、どうやっても変えられません。それに僕は、敗因を「判定」のせいだけにはしたくない。この日のレアル・エスパーニャは、判定を抜きにしても、強かった。それはきちんと認めなければならないし、その上で我々レアル・ソシエダは、もっともっと成長しなければなりません。
「見てろよ、レアル・エスパーニャ。必ずホームで、この借りは返すぞ」
試合後にチームメイトたちとそう話し、ホーム(最終節)でのリベンジを誓いました。
さて、気になるこの日の我々レアル・ソシエダのGKサンドロの評価ですが…。
前述した前半開始早々のスーパーセーブを皮切りに、この日もチームを救う好プレーを連発!!その活躍は、ハーフタイムに、普段どんなに選手が良いプレーをしも決して褒めない監督のハイロ・リオスが、名指しで「サンドロ、エクセレンテ(素晴らしい)!」と褒めたほど。僕の目から見ても、ひいき目とかなしに、この日のGKサンドロのプレーは「歴史的引き分け」を収めてベストイレブンに選ばれた前節のオリンピア戦を凌ぐ、会心の出来でした。これでも勝利に結びつかないとは…。「ホンジュラスリーグ」の厳しさを、改めて痛感しました。
こうして、GKサンドロの活躍のおかげで、「敗北」という「結果」にも関わらず、今回も僕は何とかチームからの「信頼」と「尊敬」を継続する事ができました。ふぅ~…。本当に、ありがとう、サンドロ!!一試合一試合がもう、命懸けですよ…。
試合後、またまたオンボロバスで5時間以上の大移動をして、やっとトコアの我が家に着いたのは深夜3時過ぎ…。「人生をかけた壮絶なアウェー2連戦、6日間の遠征」を終えて、心身ともに完全燃焼して憔悴した状態で1週間ぶりに帰ってきた我が家で、深夜に1人で、ボロボロの水しか出ないシャワーを浴びていたその時…PCの中に入っていた宇多田ヒカルの「First Love」が、偶然、流れます。その曲が耳に入った瞬間…なぜだか分かりませんが、感極まって思わず涙が出そうになりました…。
「「人生をかけた壮絶なアウェー2連戦、6日間の遠征」。
「最強オリンピア」とのアウェー戦で、チームメイトからの「信頼」と「尊敬」をやっとの思いで勝ち取り、「4大ビッグクラブの1つ、レアル・エスパーニャ」とのアウェー戦で、その「信頼」と「尊敬」を継続する事に成功…。
ここで少しホッとしたいものですが、そうはいかないのが、ホンジュラスリーグ…。
何と今度は、「中3日」で、これまたホンジュラス「4大ビッグクラブ」の1つである「モタグア(Motagua)」と対戦。オリンピア、レアル・エスパーニャ、モタグアとの、まさかの「4大ビッグクラブとの中2日、中3日の怒涛の3連戦」!!とんでもない、スケジュール!!
こうして、息つく暇もないまま、ホームに次なる対戦相手…モタグアを迎えました。
※ホームの公式戦でGKアップしている写真です。他にもあるので、また改めてブログに掲載していきます!!
つづく
連絡先メールアドレス→「cafehondurasyoji@hotmail.co.jp」