わたしに合う男性は

陰りのない人なのかも、と思ったときに


ずっと忘れていた男性を思い出した






わたしは常に恋人がいてほしいとは思わないので

合コンとか友人からの紹介といった方法での出会いを求めない


そういう前提で出会うというのは、ただの品定めのようで

学生時代は嫌悪さえ覚えていたほど





そんなわたしを友人はよく知っているので、ほとんど声をかけてくることはなかったが


あるとき、話の流れで

とても信頼している友人からの紹介を受けた





友人である彼女と、紹介してもらったその彼は高校の同級生であり

『わたしが結婚したかったくらい』と評価していたのだけど

じゃあなぜあなたは別の男と結婚したのと聞きたくなるのは当然でしょう

わたしはよく言うよ、と笑った





それからわたしとその彼は

少しメールでやりとりをして、会うことになった



なぜ会おうと思ったかは覚えていないけど、わたしがこういう形で人に会うというのはかなりのストレスを伴うので

多分、友達への義理だったんじゃないかと思う






今でも覚えている彼への印象は、

『熱血野郎』



学生時代は部活で野球に明け暮れ、現在は中学校で先生をしている彼は、とにかく生徒想いで熱い人だった

それも熱すぎるわけでもなく、

文化祭や体育祭の話をしてくれて

『あいつらさぁ~』と言葉の端々に生徒を思いやる気持ちが溢れていて暖かい人




そういえば友達から聞かされていた高校時代の話で

友達がバレー部でのいざこざで泣いていたときに励ましてくれたいい奴だと聞いていたけど

野球部で坊主頭の彼が、心配というよりは、がんばろうぜ!と励ましている姿が目に浮かぶようだった






わたしは彼と、

友達になりたいと思った






そのときのわたしの気持ちは、彼女が彼を選ばなかった理由と全く同じだったんだろう




彼は自分にはもったいない

そう思っていた




よく言う『あなたにはもっといい人がいるから』的なよく意味の分からない不明瞭なさよならの常套句みたいなやつではなくて

ほんとにいい子だからそう思った





今ならその考えってすごくもったいないなと分かるのだけど

あのときのわたしには、


それがわざわざ自分を幸せから遠ざける、

不必要な遠慮だと分からなかった







結局わたしはそれ以来彼に会うことはなかったけれど


こんな拍子にまさか彼を思い出すとは



彼はまさに陰りのない人だったな





なんて考えていたら

またひとつ思い出したことがあった




わたしはあのとき、

占いで12月にいい出会いがあるでしょうなんて言われて


それを実際に信じていたわけではなかったけれど

一緒に占いに行った友人との共通の友達に伝えたら、

じゃあその占いを当てるために、紹介してあげるなんて話になってたんだ




だとしたら、

わたしが掴めなかっただけで

あれはまさにいい出会いだったし

占い当たってたんだ、



なんて気づいて笑った








そんな彼のような陰りのない暖かな空気を

隣のふたりから感じていた





今から思えば、間に入ってくれた彼女も決して紹介などを好むタイプでもなかったからこそ

この話を受けたはずだし、


信頼する彼女が、信頼する友人を紹介してくれたというだけで

わたしはうれしく思う



わたし自身、大切な友人は、同じくらい大切に思う人にしか紹介できないし、

大好きな彼女が、彼を友人として大切にする理由もよく分かったから





あとわたしに足りなかったのは

幸せになる勇気、だったのかな





みんな幸せになるために生まれてきたんだから

もったいないなんてないよね


自分に訪れるすべての幸せは

受け取っていいんだ



もっと自分を愛してあげなきゃ


愛していれば、

幸せになることを躊躇したりしない


あなたは幸せになるんだよ

わたしがあなたを幸せにしてあげる








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