2021年4月10日(土)
立岩さんの家に、辻都子さん、小西さん、ユさん、長谷川唯さんと僕で集まって話をした。
辻都子さんの話によると、人工呼吸器をつけることも、セカンドオピニオン、3rdオピニオン、4thオピニオン…と大変だったとのこと。人工呼吸器をつけることを否定する医者もいたようだ。今の病院にたどり着くのも大変で、なかなかリハビリができる病院を紹介してもらえず、たくさんのことを真一さんと一生に乗り越えてきたことがわかった。
地域よっては--とくに「田舎」と呼ばれるような地域では、家族介護が当たり前とされており、辻さんたちが住んでいるところもそのようだ。
辻都子さんは、自宅で娘と暮らしている。学習塾をしており、家で真一さんを介助しながら仕事をすることが難しい。
真一さんとはLINEなどでやりとりをしているが、一年以上も面会ができていない。真一さんが何を思いどんな生活をしているのか、真一さんに直接に会って触れて話ができない不安が、都子さんの話の端々から伝わってきた。
もともと大阪で知り合い、結婚してから真一さんの故郷である福井で暮らすようになった。コロナになる前には、車で外出などをして楽しんでいた。真一さんとは10個ぐらい夢があり、そのひとつはお風呂につかること、もうひとつは四国の高松にいる恩師に逢いに行くこと。その夢をきいて、私たちは、地域生活がスタートしたら、すぐにでもできる実行可能な夢だと思った。
私たちが知っているALSの人たちは、飛行機や新幹線にのって、どこにでもいく。海外だっていくのだから、四国なんてすぐそこだ。
だけれども、真一さんも都子さんも、そういうALSの人たちの日常を知らない。おそらく多くのALSの人たちは知らないし、知っても大変なことだと思ってしまうに違いない。
 
社会との距離もだが、そういう同じALSの人たちの間にある距離を埋めることも、この活動や研究では大切なことだ。
 
京都では真一さんが一人暮らしする。辻都子さんは仕事があるから、真一さんだけが京都で暮らす。生活保護は受けずに障害年金で生活することを考えている。
 
家族介護があたりまえの社会をひっくり返すこと、お互いの生活を維持するために京都で暮らすという選択、同じALSの人たちの間にある距離をうめること。
こうして、辻さんと私たちのチャレンジが始まったのだ。