お香の一つに【沈香(じんこう)】という香木(こうぼく)があります。沈香の木そのものには芳香がなく、何らかの要因により傷ができて樹脂となり、何十年もかけて大きくなった樹脂を【沈香】といいます。木の繊維と樹脂成分が複雑に絡み合った独特の形態です。

 

沈香は樹脂からできているので、重く水に沈みます。なので沈む香りの木と書きます。

沈香は古代インドから始まり、仏教とともに伝わりました。古書には「菊の花の香りに似たり」と書かれていますが、沈香の香りを的確に表現するのが難しいです。

 

沈香そのものには芳香がなく、焚くととてもかぐわしいのです。

また沈香には【シャム沈香】と【タニ沈香】があり、特にシャム沈香の香りは甘くまろやかで華やかさを持っています。

細かい刻み沈香を焼香のように焚くとなんとも言えないかぐわしい香りにうっとりしてしまうほどです。

ただし沈香は天然物なので、採取された時などにより香りが微妙に違うので安定性がないと言えます。さらにワシントン条約により採取制限があり、現在では、養殖沈香樹が流通されています。養殖沈香の香りは甘く爽やか、天然沈香のほうが重めの甘さがあると思います。

 

個人的に手軽に沈香を焚くのはお線香をおすすめします。

店舗に出向き、自分の嗅覚で好きか嫌いが判別します。

画像のお線香は甘さと爽やかさが良いバランスです。(沈香を中心に他の香料がブレンドされている)

沈香のみのお線香は、シングル的な強く鋭いイメージの香りなので、マニア向け?かもしれません。