side…S
掃除、OK!
洗濯、OK!
風呂の掃除、OK!
寝室の片付け、OK!
ベッドメイキング、バッチリOK!
今日やるべきタスクの完了を確認しながら、壁の時計を見ると22時を指している。
雅紀がいないひとりぼっちの休日は時間の流れが遅い。
そのおかげでやたら家事がはかどったのは良かったんだけど。
時間が余って手持ち無沙汰になった俺は、ベランダに出て空を見上げた。
「…さむ。」
首元をすり抜ける夜風の冷たさに思わず身震いをしながら、こんな寒空の中、家路を急いでいるであろう雅紀を想う。
「さっき電車に乗ったって連絡きたから、もう駅に着いてるはず。」
ベランダの手すりにもたれかかりながら、下の様子をうかがう。
すると、遠くの方からコツコツと靴音が近づいてくるのが聞こえた。
「…雅紀だ!」
俺はくるりと踵を返し、玄関へと走りサンダルを履いた。
そしてドアから飛び出てエレベーターのボタンを押した。
「っ…ふふふ。」
「急に笑い出してどうした?雅紀。」
俺の腕の中。
洗い立てのシーツにくるまる雅紀が急に吹き出して笑う。
そのくすぐったそうな声は甘く、俺の身体に心地よく振動する。
あれから。
半日ぶりに再会した俺と雅紀は、まるで遠距離恋愛中のカップルみたいなテンションで抱き合いキスをした。
そしてその勢いのまま、離れていた時間を取り戻すかの様にお互いを求め合い。
結ばれたままの身体ではまだ足りず、何度も愛してると囁いては口づけを交わした。
「さっきの翔ちゃんがさ。ご主人様の帰りを待ち焦がれたワンコみたいで可愛かったなぁって。」
昨日つけたキスマークがうっすらと残る肩を震わせて雅紀がまた笑う。
「夜道に両手振ってる人がいてビビってたら、翔ちゃんなんだもん。しかもすんごい笑顔でさぁ。」
「だって俺、今日一日ずーっと雅紀の帰りを待ってたんだから!」
雅紀が休日出勤する事は今まで何度もあったし、付き合って何年も経っているのに。
今さら何を口走っているのだろうと自分でも思うけど、雅紀が側にいない淋しさはいくつになっても慣れる事はない。
「ふふ。ボクも早く翔ちゃんに会いたかったよ。」
そんな俺の前髪を指で掬いながら雅紀が嬉しそうに笑う。
「今日のイベントに編集長が来てくれてさ。久しぶりに会えて嬉しかったな。」
「相変わらずパワフルだろ?あのひと、年々パワーアップしてる気がするわ。」
「ふふっ。ほんとだね。」
雅紀は思い出し笑いをしてゆっくりと上半身を起こし、俺の頬にそっと手のひらを添えた。
そして、
「いつもそばにいてくれてありがとね。翔ちゃん。」
少し神妙な表情でそう言って、潤んだ瞳で微笑んだ。
♡クリスマスイブの夜に甘いふたりを♡
前回から随分と時間が経っているので、数話分をさかのぼって読み返していただくとお話の流れがわかりやすいかも知れません。
いよいよムスメの受験が目の前に迫ってきまして、私の方が心ここに在らずな日々を過ごしています。
ゆえにお話が書けずで…多分、受験が落ち着くまでお話の更新が途絶えると思います。
ごめんなさいね。
春になったらまたふわっと現れますので、あまり期待値上げずにお待ちくださいませ♪
絶賛激ハマり中の「僕らの食卓」のクリスマスターン(6話7話8話)を飽きずにリピートしては切なさに悶えてるchakoでした♪