久々に洋画を映画館で観た。

洋画を観に行ったのなんていつ以来だろう……全く記憶にない。

そんな私がわざわざ足を運んで、しかも3時間半という長編映画を観に行く理由はただ一つ、ディカプリオの新作かつ、実話をもとにした映画だから。

しかも私の好きな映画、ウルフ・オブ・ウォールストリート同様、スコセッシ監督とのタッグ。これは観たい!と、公開2日目に鑑賞。

 

<あらすじ>

実話をもとにしたデイヴィッド・グランのベストセラーをApple TV+が映画化。アーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)とモーリー・カイル(リリー・グラッドストーン)の間の思いもよらないロマンスを通して描かれる、真実の愛と残酷な裏切りが交錯する西部劇サスペンス。
20世紀初頭、アメリカ先住民のオセージ族は、石油の発掘によって一夜にして世界でも有数の富を手にする。その財産にすぐに目をつけたのが、すでに入り込んでいた白人たち。彼らはオセージ族を巧みに操り、脅し、奪える限りの財産を強奪し、やがて殺人に手を染める……。

 

(以下ネタバレあり)

 

1920年代、アメリカ先住民と白人の間に起こった残酷な歴史、差別意識、白人至上主義、これらの歴史は観る前に少し勉強していくべきだったかなと思った。その方がきっとより深い視点で映画を観る事ができると思う(私は簡単なあらすじしか知らずに鑑賞したので少し後悔)

最初の一時間は物語の動き方がゆっくりだったのと、登場人物と背景を飲み込むまでに少し時間がかかった印象。

アーネストは純血のオサージ族であるモーリーと恋に落ちて結婚するのだけど、いくら殺人や盗みに加担しまくり、オセージ族から金と既得権益を得る事ばかり考えているクズなアーネストでも、モーリーへの愛は真実だったと思いたい。

ただ、最後に薬の名前を「インシュリン」って答えたのは、本当にインシュリンだと思っていたのだろうか、毒だと理解していたのか、そこは明かされていないが、叔父である黒幕ヘイル(ロバートデニーロ)に比べるとアーネストは真の悪人になりきれない部分があり、憎み切れない人間味のあるクズ男の演技はさすがディカプリオ。

表情の作り方も素晴らしく、ある時は姑息な悪人に見え、ある時は叱られた子供に見える、同じ人物なのにこんなに幾多の顔を見せる事ができるのは、さすが顔芸と言われるだけの事はある。

3時間半、犯人(黒幕)がわかっているサスペンスゆえ、ハラハラしたりといったスリリングなスピード感はなかったのにも関わらず、全く時間の長さを感じることなく最後まで飽きずに見れたのは、ストーリーの流れがわりと単純(ざっくり言うなら白人が先住民を陥れて金と利権を奪おうとする、そこにFBIの前身である捜査局のメスが入るストーリー)だったので、観ていて疲れなかった事や、存在感のある俳優陣とベテラン監督による安定感があったと思う。

 

3時間半という長さから観る人を選ぶ映画かもしれないが、この映画は家で見るより映画館で観て欲しい映画だった。(なんとなく家だとその長さに集中力が欠ける瞬間が来る気がする)

そして、日本人である私にはわからないが、この根深い白人による選民思想は恐らく多様性と言われる現代にもあるのだろうな、あるのだろうか。そんな事を帰り道に考えていた。

映画好きな人に観てもらいたい作品でした。