影法師 百田尚樹作
ちょっと感想がスレッズに一言だけだと足りないのでこちらにも書くことにした。
以下ネタバレしながらの感想です。
そもそも江戸時代背景の小説を読むこと自体が初めてで、
現代と全く異なる文化を文章だけで読み解けるのか不安だった。
その不安は当たって、所々知らない言葉が出てきてその度にスマホで調べながら読んだ。
また、江戸時代の細かい習わしも丁寧に描いてあって、
「へぇ〜、この時代は生まれた家が大事なんだ」とか
「子供部屋おじさんみたいになりかねない、次男三男は大変だ」
とか
「一揆ってこんなことになっちゃうの」
とか
「切腹する覚悟でやってたの…?!」
とか
「中士の下女と下士の男が結婚する方法」
とかとか、とにかく歴史の教科書、漫画では出てこないような細か〜い文化が本書には記載があって、
ふむふむ読みながら、いやでもこれフィクションなんだよね?
どこまで本当かわからない、と混乱しました。
登場人物について
勘一、、、
なんて素晴らしい男なんだ、、、。
ああいう実直な男性、大好きです!!
みね(妻)もねぇ、いい男に見染められましたよ(何目線)
私はもうすぐ3番目が産まれるのですが、
ほぼ決まった名前候補を勘一も候補に入れたいなと思うほどでした。
(画数の相性が最悪でやめた)
自分を律して、覚悟もあって、男らしくて、まっすぐで素直!
あと剣も強いし、器用!!あと頭もいい!
目の前のことに真剣に取り組む、誰かのために自分にできることを考える。
は〜素晴らしい!!
続いて彦四郎。
男性の美学的にはないのかもだけど、彦四郎サイドの話も読んでみたかったなぁ〜。
剣道場でめちゃ強かった彦四郎、でも師範に実戦には向かないとかなんとか陰口言われてたけど、
めちゃくちゃ強くなってんじゃん。
どういうこと?
あんまり鍛錬を積むタイプに見えない天才肌で、
結局実戦もめちゃくちゃうまい具合に強くなったのかな?
それとも、勘一のために強くなっとこ!って鍛錬したとか?
後者、ありえるな。。
印象に残ったシーン
・最初のお父さんの死の経緯
下士、中士、上士それぞれの関係性、習わしを説明しながらのお父さんの悲劇の死。
侍って刀抜いたらどっちかやられるまでやり切らないといけないんだ…。
娘にトラウマができたと思うと涙だったよ…。
・塾に通い始めの喧嘩
時代は違えど、お父さんの仇みたいな復讐心をここで存分に感じましたね。
喧嘩にも強い勘一かっこええ〜。
・百姓一揆
え、ここで門を通しちゃうの?!
って私も勘一同様に思いましたよ。
でも確かに、ここで争っても国にとって無駄だもんね。
そしてその駆け引きの中にある万作と成田殿の覚悟。
一揆を起こすこと、そして門を通すこと、それぞれの決意に死ぬ覚悟があることに驚いた。。
万作の処刑のシーンも衝撃だった。。
そしてそれを同様に感じ取った勘一が、自分の息子にも万作って名前つけてるの、胸熱。。
だから勘一っていい…。
・人殺しからの剣道の試合
それまで我流で素振りをしていた勘一。
人のアドバイスをスポンジのように吸い込んで、さらに強くなっていく様はかっこいい。
試合シーンを読んで感じる、小手先の技だけでなく、勢い、力の強さが実戦では大事なことを認識させられたシーンだったなぁ。
でも彦四郎強いんだよなぁ。
・森田、宮坂vs彦四郎、勘一の顛末
まず「上意討ち」という文化に驚き。
なにそれ?殿が気に食わない相手(言い方)を部下が殺しにというか戦いに行くみたいな??
そんなのありなんだ、、って思った。
あそこの緊迫したシーン、勘一の必殺の技を繰り出すところ、カッコよかったなぁ。
覚悟を決めた勘一はいつもかっこいい。
彦四郎、君の上手いも下手もできるその器用さにはびっくりだよ。。
・鳥貫の神技
片足がないのに剣が見えないほどの速技ってどんなの?!
想像もつかない。
SNSで居合斬りとか見たことあるけど、
剣が見えないとは思ったことがない。
そんな剣裁きをこの目で見てみたいなぁと思った。
そしてそれを上回る彦四郎、、
いやだからいつの間にそんな強くなったわけ??
あとは郡奉行として頑張る勘一とか、みねに恋する勘一とか、どのシーンもジーンとくることが多かった。
だから読み終わったあと、しみじみと「色々あったなぁ…」
って思ってしまった。本なのに。
滝本殿が堰を妨害してくるシーンあたりでは、
刺客2人を切ったのは虎ノ烝ではなく、彦四郎なんじゃね?とは思えた。
滝本殿の妨害のために彦四郎頑張ってくれたよなぁ。
頑張ってくれたあとからはなんとか彦四郎にも幸せをと思ったけど
ずっと飲んだくれな一生を送っていた彦四郎は、やっぱり勘一の願いを叶えること、みねを幸せにする以外にやりたいことが何もなかった人だったのかなぁ。
人生は長いのに、早々に2つクリアしてしまった彦四郎を気の毒にも思うなぁ。
まぁでも死ぬ5年前に潟干拓計画が成功している様を見れたのが救いだろうか。