手術が終わって初めて母と対面した。
大変だったねえ。
目を閉じたままの母を見て出てきたのはその一言だった。普通に眠っている顔とは違って、力無く硬い顔つきだった。
母に触れたいと思ったけれど、いろいろな管が繋がれていて、掛け布団をむやみにめくることができなかった。
主治医が来て、手を触ってもいいですよ、と布団をどかして腕をだしてくれた。
真っ白で少し浮腫んでシワがないためか、少女のような手に見えた。
私の手より温度は低かったけれど、ちゃんと体温があり、強張っていたけれど指の関節が動く。
知っている母の手だ。今日一日中触りたいと想像していた母の手だ。
あんなに切り取られてしまって、母の顔はどうなったかと思っていたけれど、思っていたよりもずっと綺麗だった。
全くではないけれど、損なわれたものはほとんどないように感じた。
もっと時間がたてば、もっと綺麗になるはず。
もちろん大きく腫れているけれど、母の苦痛はそこまでひどくないかもしれない。
どうか母の苦痛が少しでも軽いものでありますように。