自宅から駅までの道程で、桜の木が密集している場所があり、満開時は壮観と云う言葉がしっくり来る程の景色を、日々網膜に焼き付けてくれておりました。
今年のお花見は、さぞかし麗しい気持ちになれるのだろうなぁ、と晴れた日にだけ見える富士山を桜並木の背景とし、贅沢な気持ちに心地好さを感じていたのですが、なんやかんやこちょこちょ忙しく過ごしていたら、あっと言う間に緑が混じり出して美しさが8割減になってしまっておりました。
もしも故郷がアメリカのデトロイト辺りならば、「サノバビッチ」と痰と共に口から吐き捨て、ハイネケンの小ビンを週末のクラブ入口に立っているSPにもの凄く遠くから投げつけていたことでしょう。
それくらいショックなのです。
元来お花見が大好きなのですが、ここ数年全く行けておりません。
忙し過ぎるとかではなく、タイミングが合わないのです。
「お花見をやろう」となった日が雨だったり、突然仕事が入ったり・・・
最早、桜が「おまえ臭いから来んな」と小学校低学年の苛めレベルで遠ざけているのではなかろうか、とブラントンの水割りを片手に思うのです。
しかしそんなことで諦めていては、チェンスモに属する野球戦士としてクソッタレ過ぎる・・・。
なのでこないだ、駅からの帰り道、夕飯を済ませて満腹であるにも拘わらず、ファミマでファミチキを購入し、街灯に照らされるピークを過ぎてしまった桜の下へと足を運んだのです。
意地です。
この簡易花見で、何とか人生のお花見カウントを1pt上昇させてやろう、と云う決死の覚悟。
満腹状態の中年の腹に叩きつけられるファミチキは、恐らくマイケル・ジョーダンにエアウォーク込みのダンクを、脳天に叩き付けられるのとほぼ同じレベル。
これは最早戦いなのだ、と戦々恐々しながら桜の下へと、一歩・・・、また一歩、と薄暗い中、ゆっくりと歩を進めて参りました。
するとどうでしょう。
桜の木に到達する前に踏んでしまったのです。
犬の糞を。
記憶を辿ると約25年ぶり。
犬の糞だけは踏むまい、と日々命を狙われているかの如く警戒感を剥き出しにして生きているのに、こんなタイミングでフットオンザ犬の糞。
その場でファミチキをサッサと腹の中に放り込み、靴を一秒でも早く洗う為、「そう言えば、そんなに桜って好きじゃないわ」と自分に言い聞かせ、スッと華麗にUターン。
自分に言い聞かせる・・・
自分に信じ込ませる・・・
自分に思い込ませる・・・
これって打席に入る前に、自分は相手投手よりも格上の打者だ、とか、自分はめちゃくちゃ強打者だ、と思い込むことが出来たら、ひょっとすると凄いことになるのではないだろうか、と靴から香る異臭を感じぬよう、必死で考えながら帰りましたとさ。
ではまた
