オラ!
2日、3日と試合がありました。
試合に行く前は大好きなタコスに舌鼓をうち、胸元のボタンを2つあけ胸毛を出しながら試合に向かいました。
その日の試合でピッチャーをやった後に審判に
【にいちゃん雰囲気あるよね!きたねーヒゲにデカイ態度、なにより構えもそうだ。あんたメキシカンみたいだよ】
ん?メキシカン?メジャーリーガーとかじゃなくて?
一瞬世界が凍りつきました。
あたり一面がモノクロになり、僕一人だけが荒野に取り残された気がしました。
先程まで野球を一緒にしていた仲間達の姿は見えず、途方も無い時間をこの広大な荒野で立ち尽くした感覚だけはありました。
僕は今までメキシコについてなんて考えたことも無かったからでしょう。
ふぁっと、目を覚ますと先程まで見当たらなくなったはずの仲間達が横で審判さんと笑っており、僕を指差しメキシカンメキシカンと笑っていました。
これほどまでにみんなが言うのだから、僕は甘んじてメキシカンに見えるという事実を受け入れなくてはならないのだ、今後はそれを背負いながら生きていかなくてはならないのだと小さな覚悟と大きな気づきから、ゆっくりと頷き靴を脱ぐ。
帰り道に僕は大好きなケバブ屋さんで、オラ!お肉オオモリでヨロ!
そう言い、ケバブを受け取ると僕は胸元のボタンをもう一つ開けた。

