今日、学校から帰宅した次男が

「今日で弁当最後だよ。今までありがと。」と、弁当箱をカバンから出し

「お母さん、これからは朝バタバタお弁当作りしなくていいから

ちょっと楽になるよ。」と労ってくれた。

 

次男は間もなく高校卒業。

 

思えば長男が幼稚園に入ってから今まで18年間、

兄弟2人ともが小学生だった2年間を除いても16年、

ほぼ毎朝お弁当を作ってきた。

中、高校は学食もあったのに2人とも

「学食は食堂まで行くのがめんどいから弁当がいい」

と言うので、うちはずっと弁当だった。

 

そっか。

もうお弁当作りも終わりか。

感慨深げに弁当箱を手にしながら...ふと思い出した。

 

次男の弁当箱はもともと長男が高校の時使っていたもの。

長男は大学に入ってからはコンビニや学内のいくつかある食堂で

済ませるようになったため、当時中学生だった次男が使うようになった。

 

ー 3年前のあの日の朝。

 

いつものように次男のお弁当をパタパタと作っていたら、

長男が起きてきて、めずらしく自分から話しかけてきた。

 

「あーこれ俺が使ってた弁当箱だ。」

 

「そうだよ~お兄ちゃんが高校3年間使ってたやつね。

お兄ちゃん学食1回も食べなかったから

結局毎日お弁当だったよね。」

 

「うん。

懐かしいな~。

 

あの頃が一番楽しかったな...」

 

そう長男がつぶやいた。

 

その時は

『まだ19年しか生きてないのに...なに昔を懐かしんでんのよ』

って突っ込もうと思ったけど、朝の慌ただしさに紛れて

言いそびてしまった。

 

いつも寝起きは機嫌が悪く不愛想な長男が

その日はやけに愛想がいいなと

妙な違和感は感じていた。

 

身支度もいつもはのろいのに、

その日はいつになくテキパキと済ませ、

普段よりずいぶん早い時間に出かけて行った。

 

『まだ大学行くには時間早いのにな。

どこか寄り道でもするのかな...』

 

そう心の中で思いながら

寒そうに身を縮めてスタスタ歩いていく長男の後ろ姿を見送った。

 

それが私の見た長男の最後の姿となった。

 

あの時

「今日はやけに出かけるの早いね。

どっか寄り道でもするの?」

と声をかけたら何か変わっていただろうか。

 

最後に交わした会話

「弁当箱、懐かしいな~」

の言葉は、無口で口下手な長男なりの

私への感謝の気持ちだったのだろうか。

 

料理には自信がなく、たいてい1品は冷凍食品が入ってる

手抜き弁当。

一応、彩りと栄養バランスだけは考慮して、

肉系2品野菜2品、スープとごはんは入れていたが、

たいして美味しくはなかったと思う。

 

それでもほぼ毎日完食して持ち帰ってくれた。

 

もっときちんと朝早起きして

手の込んだ美味しいお弁当作ってあげればよかったね。

怠慢なお母さんでごめんね。

それでもいつもちゃんと食べてくれてありがとう。

 

弁当箱から、あの日の記憶が鮮明に蘇り

内臓全部がぎゅっと痛くなった。

 

来週末、あの日からまる3年の日が来る。

 

2月はやっぱりしんどいです。

 

3年が経ち、日ごろ心の蓋を閉じて生活することに慣れてきた分

開けた時の心の反動が大きくなっている気がする。

 

でも、今月はいつもよりいっぱい長男を思いながら

痛みに耐えながら

感謝の気持ちを伝えながら過ごしていきたいと思います。