青い小鳥のお話。
昔々、ひとりの少女が街の中で青い小鳥を見付けました。
少女はその小鳥に誘われるままにビルの路地に入りました。
細い道を何度も通り、薄暗いトンネルの中を抜けました。
するとそこには、自然いっぱいの森と、たくさんの青い薔薇が咲いていました。
少女は嬉しくなって歌を歌い始めました。
そうしたら、さっきの青い小鳥が少女の肩に止まり一緒にそれはそれは綺麗な、音色で鳴いてくれました。
それから少女は、毎日毎日、雨の日も風の日もその森へ行き、小鳥と一緒に歌を歌っていました。
毎日が楽しくて、時間を忘れて過ごしていました。
ある日のことです。
少女が遠くへ引っ越すことになってしまいました。
少女はとても悲しくなりました。
もうあの森へ行くことはできない。
すると少女は思い付いたのです。
青い小鳥を飼えば良いんだ!
少女はさっそく家にあった真っ白な鳥かごを持ってあの森へ行きました。
森へ行くと青い小鳥が綺麗な音色を奏でて歌っていました。
その青い小鳥を捕まえて、かごに入れ、少女は家路を急ぎました。
それから少女は青い小鳥と一緒に暮らし始めました。
小鳥は初め、戸惑い、不思議そうな顔をしていました。
でも少女といつも一緒に歌を歌っているうちにいつものように綺麗な声で鳴いてくれました。
そんな真夏の蒸し暑い夜のことでした。
少女の大好きだったおばあちゃんが天に召されました。
悲しみに打ち拉がれた少女は、毎日泣いていました。
すると青い小鳥が、少女の悲しみを埋めるかのように鳴いてくれました。
それは少女が泣き疲れて眠りにつくまで…来る日も来る日も小鳥は少女の為に歌い続けました。
少女はその歌声を聴きながらだんだんと笑顔を取り戻していきました。
元気になった少女は少しずつ学校に通い始め、友達もいっぱい出来ました。
それから年が明けてまだ肌寒い1月頃、小鳥が急に鳴かなくなりました。
少女は心配になり、毎日小鳥の傍にいておいしいお水とご飯を小鳥に食べさせました。
しかし、ご飯もあまり食べず、小鳥はますます、元気がなくなりました。
少女は慌てて、町のお医者さんに来てもらって診察をしてもらいました。
するとお医者さんは悲しそうな顔をしてこう言いました。
小鳥さんはこのかごでは狭すぎる。小鳥さんを森へ返してあげなさい。
少女は驚きました。
元気がなかったのは私のせいだったんだ。
少女はその晩、小鳥に気付かれないようにトイレで声を押し殺して泣いていました。
小鳥はあの狭いかごで何を見つめ、鳴いていたのだろう
そう思ったら涙が止まらなくてただ押し殺して泣いていました。
そして朝、少女はとりかごを持ってあの懐かしい森へ行きました。
まだ朝日が昇る前で森も、しんと静まり返っていました。
少女はかごの入り口を開け、小鳥さんに別れを告げました。
小鳥は始め恐る恐る入り口に近付き、私の顔を見ていました。
しかし、入り口を出ると瞬く間に森の方へ飛んでいきました。
それは今まで聴いたことのないくらい綺麗な声で鳴いていました。
少女はそのかごを置いて森を去りました。
私の為に鳴いてくれてありがとう。もうあなたは自由なんだから自分が鳴きたい時に鳴いていいんだよ。
今までありがとう。
さようなら。
空には朝日が昇っていました。

w













