GPIF公的年金の2015年度の運用実績が5兆3098億円の赤字になったと発表した

上場企業の年金債務が2015年度末で91兆円と過去最大に膨らんでいる

公的年金や確定給付企業年金(DB)では運用責任は国や企業にあり円高や株安によって、国内株式などの評価損が膨らみ厳しい状況にある


一方で、中小企業にのみが加入できる中退共制度という確定給付型でかつ企業が運用責任を負う必要がない制度がある


この制度に加入できるのは中小企業(製造業・建設業等の一般業種であれば常用従業員数で300人以下または資本金3億円以下)に限られる


全国で約36万社、334万人と多くのサラリーマンが加入している制度だ


事業主が毎月の掛金を金融機関に納付し従業員が退職したときに従業員へ職金が支払われるというシンプルな内容だが、事業主の掛金に対して国の助成金があるのが特徴だ


<新規加入助成>

新しく中退共制度に加入する事業主に

(1)    掛金月額の2分の1(従業員ごと上限5,000円)を加入後4か月目から1年間、国が助成する

(2)    パートタイマー等短時間労働者の特例掛金月額(掛金月額4,000円以下)については、(1)に上乗せした助成がある

掛金月額2,000円の場合は300円、3,000円の場合は400円、4,000円の場合は500


<月額変更助成>

掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額する事業主に、増額分の3分の1を増額月から1年間、国が助成

ただし、事業主と生計を一にする同居の親族のみを雇用する事業主は、助成の対象になりません。


<掛金は全額損金>

中退共制度の掛金は損金または経費に計上できる

掛金月額は5000円~30000万円までの16パターンあり


短時間労働者(パートタイマー等)は特例として2000円~4000円でも加入できる



従業員は期間を定めて雇用される従業員等以外は全員加入が原則



また、新規に加入する際にすでに1年以上勤務している従業員については雇用期間(最高10年)を通算して過去勤務掛金を納付することもできる


<退職金額>

退職金は、11月以下の場合は支給なし

12月以上23月以下の場合は掛金納付総額を下回る

24月以上42月以下では掛金相当額

43月からは運用利息と付加退職金が加算される

長期加入者ほど有利になる仕組みだ


中退共から支払われる退職金額は、退職の理由が事業主都合か自己都合かで変わることはなく、要件を満たせば分割払いも可能

退職金等を受け取る権利は従業員またはその遺族にありいかなる理由があっても事業主が受け取ることはできない(懲戒解雇等の場合は、厚生労働大臣の認定を受けたうえで、退職金を減額支給できる)


以上のように中退共は企業にとっても勤めるサラリーマンに優しい制度



国の年金だけでは老後不安が大きい

中小企業で年収の低い企業ほど、従業員の福利厚生の一環として年金制度を準備すべきだろう