2016年5月24日、確定供出年金(以下DCという)改正法が成立した



今回の法改正でH29/1からDCはすべての現役世代が利用できるようになり、国民皆DC年金時代となる


税制メリットを考えると最強のリターンを得られる老後資金準備制度だ


この最強のDC年金には加入限度額、拠出できる額に限度がある


従来は月額に限度額が決められていたが来年1月からは年単位での限度額になるため、ボーナス時の上乗せ拠出などができるようになる


パターン別に年間拠出限度額と20歳から60歳まで限度いっぱい拠出した場合の総額をまとめた


○自営業者:個人型DC
 年額:81.6万円 40年累計:3264万円


○専業主婦:個人型DC


 年額:27.6万円 40年累計:1104万円


○公務員:個人型DC


 年額:14.4万円 40年累計:576万円



サラリーマンの場合には、企業が他の年金制度を導入しているかによって、限度額が異なる


○民間会社員(他に企業年金がない場合)
 年額:27.6万円 40年累計:1104万円

○民間会社員(確定給付企業年金DBを導入している場合)

年額:14.4万円 40年累計:576万円


○民間会社員(すでに企業型DCを実施している場合)
 年額:24万円 40年累計:960万円

ただし、現在DC制度を導入している企業の従業員が個人型DCに加入するには企業型DC規約で定めておく必要がある


さて、このDC制度が最強と言われるのは税制メリットが大きいことにある


あらためて確認しておきたい


○掛け金の全額が所得控除

生命保険会社などが販売している個人年金にも所得控除があるが年間で8万円が拠出限度で所得から控除されるのはその半分の4万円が限度
国税庁:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1140.htm


それに比べてDCの場合は全額所得控除となる

会社員で課税所得が400万円の場合、年間限度の27.6万円をDCに払い込んだとすると、その年の所得税と住民税で合計8.4万円が戻ってくる計算になる


8.4万円÷27.6万円で30%のリターン!!

所得税の軽減について厚労省のHPを参照。それに加えて住民税の軽減もある
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/kazeigaku/kojin-nenkin.html


○運用益が非課税

DC資産については自分で投資信託などを選択して運用することになるがその運用益は非課税
NISAと違って銀行預金など貯蓄性の商品の金利も非課税だ


○退職所得控除または公的年金等控除が適用

そして受け取るときも税制優遇がる


一時金で受け取ると、「退職所得控除」が適用され、年金受取時には「公的年金等控除」が適用される


サラリーマンが38年会社勤めをした場合の退職所得控除は2060万円(800+70万×18年)となる


○運用商品のコストが安い

DCでは投資信託などに資金を投入して運用を行うが、銀行や証券会社の店頭で投信を買う時に必要な購入手数料がかからない


保有している間の運用管理手数料も銀行や証券のものと比べると半分ぐらいのものもある


以上のように最強のDCだが、あまり利用されていないのが実態だ

H29/1にDC制度改正の機会に、ぜひDC制度を利用してほしい


日本は1961年にすべての国民がなんらかの公的年金制度の適用を受けるという国民皆年金がスタートしたわけだが、この制度では老後を賄えきれなくなった


専業主婦、公務員が加入できるようになったことに加え、会社勤めで今まではDCに加入できなかった人も個人型DC加入できるようになる