キリンもゾウもまだ眠りの中。

ダイヤモンドダストが一面にキラキラ輝く園内をブォンブォーン、カチャカチャと軽自動車が走っていきます。

この「神聖なる静寂」をぶち壊すことに後ろめたさを感じながらも、私は聖地に足を踏み入れることを許されたような優越感を抱きつつ車を走らせます。

めざすは園内のプレハブ休憩所。

私たちは、ここでココア、コーヒー、甘酒といったホットドリンクの販売をするのです。

プレハブの休憩所が見えてくると、真っ先に出迎えてくれるのがゴマフアザラシたち。

当時の彼らの住まいはひょうたん型の屋外プールで、冬になると分厚い氷が張ります。

寒いのも冷たいのも大好きなアザラシとはいえ、ずっと氷の下にいるわけにはいきません。

そこで息継ぎのために頻繁に顔を出すのですが、その部分だけ、何か所か穴が開いています。

そこからひょこひょこ顔を出すゴマフアザラシたちは、ちょうど「モグラたたきゲーム」のようで、飼育員さんたちの「一押しスポット」。