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トピックⅠ メンタル不調者の対応
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昨今、長期間の欠勤で休職する労働者のうち
メンタルヘルス不調を理由とする休職者が増えています。
休職する際はもちろん、復職の際に労働者と会社側がよく話し合い
医師の診断のもと、今後のスケジュール等を決めていく必要があります。
今回はその対応について確認していきます。
□ 休職、欠勤、復職とは
休職とは、労働者の意思で会社を休むことを言い、
休職制度について法律では定められてはいません。
休職を制度として導入するかどうかは
会社の裁量に委ねられており、
導入する場合は会社の就業規則や労働協約で規定するものです。
導入しなくても問題はありません。
●休職・欠勤・休業の違い
休職制度は業務外の要因によって
一時的に働けなくなった労働者に対して
解雇を一定期間猶予する制度で、
休職の期間は労働が免除されます。
それに対し、
欠勤は、労働の義務が免除されておらず
労働義務がある日に休むことです。
育児・介護休業や、会社都合による休業はここではあたりません。
一般的には、欠勤期間が一定期間連続した場合に
その後休職に入る規定が多いようです。
休職の理由として、「傷病休職」の他
家事都合やボランティアのために休む「依願休職」
出向のための「出向休職」などを設定している会社もあります。
復職とは、休職後に元の職場に戻ることを言います。
復職の際は
労使でスケジュール等を確認する必要がありますが、
特にメンタルヘルス不調による休職からの復帰は
治療に時間を要することから
休職期間も長くなる場合が多く
また再発しやすいといわれているため
復職にはより配慮が必要です。
次項で詳しく見ていきましょう。
□ メンタルヘルス不調者の休職から復職までのポイント
メンタルヘルス不調により休職した従業員に
休職から復職にかけて
会社としてどのような点に注意し
対応していかなければならないのか、
そのポイントを
「休職前」「休職中」「復職準備期」「復職後」
に分けて説明していきます。
【休職前】
①労働者から主治医の診断書の提出
診断書の内容を確認し、傷病名、どの程度療養に時間が必要かなど
判断して、休職させるかどうか判断をします。
↓
②会社から「休職発令書」を交付
あくまで会社の指示により休職が発生します。
↓
③業務の引継ぎがある場合には引継ぎをする
●休職中の取り扱い、連絡等
休職中の取り扱いをどうするかを発令書にも記入しておきましょう。
・休職中は無給なのか有給なのか、
・健康保険の傷病手当金を受給できるのか
・体調に関する連絡はどの程度すべきか、
・休職中の社会保険料や住民税などの本人負担の支払い方法、
・休職期間満了日 など
【休職中】
●休職中の体調に関する連絡
1か月に1回程度は連絡を取り合い
現状を把握しておくことがよいでしょう。
また傷病手当金の申請等がある場合には
書類を会社に送ってもらうよう指示しましょう。
●復帰のめどがたった場合は医師の診断書の提出
体調がよくなり復職できる状態になったと
休職者が判断した場合には
医師の診断書を作成してもらい会社に提出するようにしてください。
●休職期間満了が近づいても復職の見込みがない場合
復職の見込みがない場合は、会社側から
「休職期間満了により〇月〇日で自然退職とする」旨を
休職者に書面で渡す準備をしましょう。
また清算するものがあれば、そちらも記載しておきます。
【復職準備期】
①休職者からの復職の意思表明
復職の場合、休職者から
「〇月〇日で復職したい」と連絡を受けます。
会社の判断資料として
復職可能かどうかの医師の診断書の提出を求めます。
↓
②復職可否の判断
復職希望者からの申し出および診断書により
会社として復職ができるかどうかの判断をします。
・労働者が就業に関し十分な意欲を示している
・通勤時間帯に一人で安全に通勤できる
・決まった勤務日、時間に継続して就労可能である
・業務に必要な作業ができる
・作業による疲労が翌日までに回復できる
・適切な睡眠覚醒リズムが整っている
等で判断をすることになります。
↓
③会社側と復職希望者との面談
復職前に一度、面談をしておいたほうがよいでしょう
人事部だけでなく上司、産業医、保健師などと面談をし
復職の段取りや復職後の働き方について話し合います。
労働者、医師、会社側(産業医等も含む)3者すべてが
復職可能、と判断しなければ復職はできません。
↓
④復職支援プランの作成
復職可能と判断した場合は、その復職にあたり、
・業務内容の変更、業務量の変更は必要か
・配置転換が必要か
・勤務時間等の変更は必要か
・就業上の配慮の確認、治療上の配慮の確認
等を復職前に確認しておきます。
【復職後】
●復職後、問題なく勤務できているかの確認
復職後はきちんと通勤・就業できているか、
の確認をする必要があります。
本人からだけでなく、
上司や周りの同僚などからも話を聞いて
総合的に判断しましょう。
●定期的な医師の診断、産業医等との面談
復職してからも、
かかりつけ医の診断や産業医と面談をして、
復帰後問題はないか、調子はよくなってきているのか、等
を確認しましょう。
上記を考慮したうえで、
復職できているとは言えない状況だと判断した場合には
再度、休職にするのかを検討します。
□ メンタルヘルス不調の気づき
「体調が悪い」「病院へ行ったらうつ病と診断された」
等、労働者自身が不調に気付く場合と、
労働者本人は不調に気付かずにそのまま働き続け、結果
病状が悪化してしまう場合とがあります。
会社側が、「この人、ちょっと調子が悪いのかも?」
と思ったときには、専門医への受診を促しましょう。
労働者のメンタルヘルス不調のサインに気付けるよう
下記のようなポイントを押さえておきましょう。
・仕事の能率が低下している
・仕事のミスやロスが増える
・遅刻、早退、欠勤が増える
・口数が少なくなる
・他人の言動を気にする
・些細な事で腹をたてたり反抗したりする
仕事の能率の低下、勤務態度の悪化、職場トラブルの増加
等を早めに察知し、対処することが大事です。
そのためにも、
日ごろから労働者とコミュニケーションを適切にとり
相談しやすい環境を整えておく必要があります。
『こころの耳』働く人のメンタルサポート・ポータルサイト
厚生労働省
https://kokoro.mhlw.go.jp/