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   トピックⅠ 採用面接時の注意点
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採用募集をかけ、
次は面接だ、というところになり、
どんなことを聞けば有効なのか、どんなことを聞いてはいけないのか
等、ふと考えてしまうことがあると思います。

今回は、面接時の注意点や見ておくポイント、
聞いてはいけない事項等を確認していきます。


□ 面接をする前に
面接をする前に、会社として確認しておくべきことがあります。

1.どんな人材がほしいのか
 会社側はどんな人材がほしいのか、
 最初に明確にする必要があります。
 一般的に、即戦力で働いてもらいたい、というのであれば
 経験者を優遇することが考えられるでしょう。
 即戦力でなくてよいので前職のカラーに
 染まっていない人が欲しい場合には、
 新卒や第二新卒といった若い方がよいと思われます。

 募集をかける前に、
 まずは配属先の要望を確認し
 会社全体でどのような人材を募集したいのか、
 人事等でまとめておく必要があるでしょう。

2.採用までの手順の検討・確認
 欲しい人材像が具体化したら、
 面接までのステップ、何次面接まで行うのか、
 筆記試験・適性検査は行うのか等、を考えましょう。
 例えば、
 1次面接は人事担当者、2次面接は配属先課長クラス、
 最終面接は社長、というようなものです。
 筆記試験等がある場合は、その試験の準備・作成も必要となります。
 応募者の適性を推し量るのに何が必要かを考えることにより、
 その内容は異なってきます。

3.履歴書や職務経歴書を見る
 募集の第一段階として書類選考をおこなう、
 または面接の際に履歴書等を提出してもらうというように、
 採用選考の最初に履歴書・職務経歴書を提出してもらうケースが
 多数かと思います。
 これも採用判断する場合の重要な参考資料となります。
 以下のポイントに注意することで、
 その人物に時間を取って面接するに値するかどうかの判別が
 可能になります。

・文字
 文字にはその本人の特徴がよく出ています。
 文字のきれいさも、判断材料となりますが、
 それ以上に「丁寧に読みやすく書いているか」が重要です。
 相手に見せる書面は、仕事上も必要になるため
 丁寧に書かれているかどうかを見てください。
 業務でパソコンを使用する場合は、
 履歴書は手書きでも、職務経歴書はパソコンで作成したものを
 提出してもらうのも一案です。
 
・年齢
 若年者の採用に関する注意点については後述します。
 また、年齢を詐称しているケースもありますので、
 年齢と学歴・職歴に矛盾がないかを確認します。
 年齢の確認については、採用時だけでなく
 入社後に提出する個人番号の書類と
 つけあわせをするがよいでしょう。
 
・学歴
 参考資料にはなりますが、大卒だからよい、
 中卒だからダメ、というよりかは、書き方も含めて
 ある程度、一般常識があるかないかの判断になると思います。
 高学歴であるほど良い、というものでもなく、
 中小企業に
 有名大学卒の人や院卒の人が応募してきた場合には、
 一見分不相応で、 何らかの問題が隠れている場合があり注意が必要です。
 このあたりは、志望動機と一緒に確認したほうがよいでしょう。
 
・職歴、職務経歴書
 中途採用の場合、前職の会社名、業務内容等の
 記載が職歴・職務経歴書となります。
 今までどんな仕事をしてきたか、スキルは足りているか、
 経験値は豊富かを確認するとともに、
 言葉の選び方・内容から常識の有無や人物像を
 ある程度推し量ることができます。
 また、転職の回数、在籍期間をチェックすることにより
 すぐに退職しないかどうかを判断できます。
 転職回数が多い場合、一貫性があるか、
 一貫性がなければなぜそのような経歴になったのか
 納得できる説明を面接でもとめることで、
 その人物の考え方を理解することができます。

・志望動機
 志望動機は、応募者の会社への思いが書かれています。
 面接時に質問をする予備知識として押さえておきましょう。
 
4.面接の準備
 面接をする前に、確認できることはしておく、
 面接官が複数人いる場合にはその役割分担を決めておく、
 (誰が質問するのか、行動を見るのか 等)
 履歴書や職務経歴書は面接者が必ず目を通しておきましょう。

5.採用年齢と制限規定
 若年者の採用を検討する場合は、
 労働基準法に定められている制限規定に注意することが必要です。
 労働者として使用できる最低年齢は
 原則として満15歳以上で中学卒業後とされています。
( 労働基準法第56条)
 また18歳に満たない者も就業は可能ですが
 一部制限があります。

●15歳の3月31日までの者(児童)
・原則労働者として使用できない
・ただし新聞配達等、非工業的業種では満13歳以上、
 映画製作、演劇の事業では13歳未満であっても
 事前に労働基準監督署長の許可を得て
  修学時間外に使用することが可能
・修学時間を通して、1日7時間、1週間40時間を超える労働不可

●18歳の3月31日までの者(年少者)
・1日8時間、1週40時間を超える労働不可
・原則、午後10時から翌朝5時までの深夜労働不可
・危険有害業務の就労不可
・変形労働時間制およびフレックスタイム制の適用不可

通常の労働者と違う業務の制限や
時間の制限があるため注意が必要です。
なお、年齢の下限は設けられていますが、
年齢の上限の規定はありません。

年齢により働ける時間帯等に制限があるため
会社の業務に適しているかどうか
採用する前に年齢は確認したほうがよいでしょう。

厚生労働省パンフレット
~高校生等を使用する事業主の皆さんへ~
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040330-8a.pdf


□ 面接で聞くべき質問の基本
面接になると何を聞けばよいのか、迷ってしまうことも多いでしょう。
面接で何を見るのかを明確にし、
社内でどのような質問をするのかピックアップをして
事前に質問を考えておくことが必要です。
基本的な質問は下記になります。

・職歴
   職歴について教えてください
・前職の退職理由
   なぜ前職を退職した(する予定)なのですか
・志望動機
   弊社を志望した動機を教えてください
・自己PR
   ご自身の良い面、悪い面を教えてください
・意欲
   弊社に入社したらどのように仕事をしたいですか
・情報交換
   出張・残業の依頼があった場合、対応できますか

中途採用への質問となりましたが
新卒であれば「学生時代、どんなことに打ち込んでいましたか」
等、学生時代の話を聞くことが一般的です。

その他、会社の業務に関係する資格や
会社独自の質問も考えて面接に臨みましょう。


□ 面接時に聞いてはいけない事項
採用選考にあたっては
・応募者の基本的人権を尊重すること
・応募者の適正・能力のみを基準とすること
とされています。
そのため公正な採用選考を行う上で
適正と能力に関係ない事項を応募用紙等に記載させたり
面接で質問することは就職差別につながるとされています。
厚生労働省では下記の11項目を
聞いてはいけない事項として挙げています。

(1)本人に責任のない事項の把握
①本籍、出生地に関すること
「出身地はどこですか?」「ずっと同じ住所に住んでいるのですか?」等

②家族に関すること
「お父さんの仕事はなんですか?」「家族の年齢や健康状態は?」等

③住宅状況に関すること
「家の間取りは?」「賃貸住宅ですか?」等

④生活環境、家庭環境等に関すること
「同居している人はいますか?」「自宅付近の略図を書いて下さい」等

(2)本来自由であるべき事項の把握
⑤宗教に関すること
「何の宗教を信じていますか?」「お葬式の宗派は?」等

⑥支持政党に関すること
「何党を支持していますか?」「誰に投票しましたか?」等

⑦人生観、生活信条に関すること
「将来どのような人になりたいですか?」
「信条としていることはありますか?」等

⑧尊敬する人物に関すること
「尊敬する人物は誰ですか?」「目標とする人はいますか?」等

⑨思想に関すること
「自分の生き方についてどう考えていますか?」等

⑩労働組合に関すること
「これまでに社会運動に参加したことはありますか?」
「デモに対してどんな考えを持っていますか?」等

⑪購買新聞、雑誌、愛読書に関すること
「何新聞を購読していますか?」
「よく読む本はどのジャンルですか?」等

特に⑦や⑧などの質問は何気なく聞いてしまいそうですが
仕事をしていく上で関係のない事項となりますので
聞いてはいけない、とされています。

また、男女雇用機会均等法に抵触するため、
次のような質問も差別とされます。
「結婚(出産)後も働き続けられますか」
「何歳くらいまで働けますか」「結婚の予定はありますか」
「(男性または女性にだけ)幹部候補になる意欲はありますか」 等

公正な採用選考の基本|厚生労働省 
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm

就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例 | 大阪労働局 
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/shokugyou_shoukai/hourei_seido/kosei/futeki.html

応募者のほうから個人情報について話しだしてしまった場合は、
法律上話す必要がないことを伝えましょう。


□ その他、質問以外でわかること
面接をする上で、質問の回答は重要なことですが
それ以外でも面接でその人の人柄などがわかることがあります。

・人の目を見て話しをするか、顔の表情はよいか
・敬語が使えているか
・質問に対する回答が明瞭か
・身だしなみに問題はないか
・立ち方、座り方、お辞儀の仕方
・履歴書の年齢と見た目に違和感がないか(年齢を詐称していないか)

面接で質問をしながら、上記のような点も確認していきましょう。

また面接に遅刻は厳禁ですが、
道に迷った、電車が遅延しており遅刻する場合には
きちんと面接前までに遅刻の連絡があるかどうかもポイントとなります。


□ 面接結果の判定
小企業にあっては、面接官が社長プラス1~2名のことが多く
ほとんどの場合、社長の意見で合否を決定してよいと思います。

中小企業で、人事部や総務部等があるところであれば
1次面接、2次面接で人事担当者が人柄や所作等で
ある程度ふるいにかけ、最終面接で社長が合否を決定する、
という流れになると思います。

社長の意見が最終判断になりますが、
一緒に勤務する部署の所属長や人事部の意見も取り入れながら
決定していくと、採用エラーの率が低くなると考えられます。