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 トピックⅠ 新型コロナウイルス感染の疑いがある従業員への対応
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新型コロナウイルスの感染者数が大幅に増え
一部の地域で緊急事態宣言が発令されています。
これだけ多くの方が感染していると
いつどこでだれが感染してもおかしくありません。

今後、
労働者が感染した場合、労働者に感染の疑いがある場合に
会社側がどのように対応すべきか、をまとめていきます。
ご質問が多いため、Q&Aの形にしてあります。


□ 新型コロナウイルス感染症の疑いがある場合

Q1. 熱や咳がある労働者が出勤しようとしています。
   会社としてはどのような対応をすればよいでしょうか。

A1.  熱や咳がある場合は、休みを取ってもらうよう伝えてください。
   新型コロナウイルスでなくても、
   インフルエンザやノロウイルス等、体調を崩しやすい時期です。
   病院へ行き、医師の診断を受けるようにしてください。
  
   会社が安静にしてもらうよう勧め、労働者が「大事を取って休む」
   という判断をすれば、
   労働者が自主的に休むことになり、賃金の支払いは不要です。
   一般的な風邪等の対等と同じと考えてよいでしょう。


Q2. 労働者が新型コロナウイルスに感染しました。
   会社から休業手当の支払いは必要でしょうか。

A2. 休業手当の支払いは不要です。
  休業手当は「使用者の責めに帰すべき事由による休業」
  をさせた場合に支払うものであり、
  新型コロナウイルス感染者は、都道府県知事の就業制限により
  休業していただくものですので、
  休業手当の支払いは必要ありません。

  なお、新型コロナウイルスに感染した労働者が
  社会保険に加入している場合、
  「傷病手当金」の支給申請が可能です。
  経済的な補填は、傷病手当金を利用してください。


Q3. 家族などが新型コロナウイルスに感染し、
   濃厚接触者となった労働者がいます。
   この労働者に休業手当の支払いは必要でしょうか。

A3. 原則、休業手当の支払いは不要です。
   濃厚接触者は「使用者の責めに帰すべき事由による休業」
   に該当しないため、休業手当の支払いは必要ありません。

  濃厚接触者の場合、保健所等から自宅待機等の
  指示がありますのでその指示に従ってください。

  濃厚接触者であっても無症状で自宅待機中の在宅勤務が可能、
  という労働者には在宅勤務を命じ、
  その場合は通常の賃金を支払ってください。
  休業させる場合、原則休業手当の支払いは不要ですが、
  休業中の賃金の取り扱いについては
  会社側と労働者側と十分話し合っていただき
  お互い協力して、労働者が安心して休むことのできる体制を
  整えてください。
  なお、この場合、休業手当の支払いをしたときには
  雇用調整助成金の対象となります。
  

Q4. 新型コロナウイルスに感染した『疑い』がある『家族など』
  がいる労働者がいます。
  この労働者が休業を希望した場合、
  休業手当の支払いは必要でしょうか。

A4. 休業手当の支払いは不要です。
  家族が新型コロナウイルスに感染した疑いがある場合、
  労働者は原則 就業可能 となるためです。
  ただし、この労働者が休業を希望しておらず、
  会社の指示で休ませる場合には、
  休業手当の支払いが必要です。

  例えば、在宅勤務が可能であれば、在宅勤務を命じ
  通常の賃金を支払う、という対応ができればよいでしょう。
  

Q5. 労働者が新型コロナウイルスに感染したため
  社内の消毒を行います。
  その日は休業としますが、他の労働者への休業手当の支払いは
  必要でしょうか。

A5. 休業手当の支払いは必要です。(感染して療養中の労働者は除く)
  本来、労働日であったにもかかわらず、
  会社の都合により休業して消毒を行う場合は
  「使用者の責めに帰すべき事由による休業」となり
  労働者への休業手当の支払いが必要となります。


Q6. 保健所等の自宅待機要請の期間が終了した労働者がいますが
  念のため、あと1週間休業してもらいたいと思います。
  この場合、休業手当の支払いは必要でしょうか。

A6. 休業手当の支払いは必要です。
  すでに自宅待機要請期間が過ぎており、
  それでもなお、休業してもらいたい場合には
  「使用者の責めに帰すべき事由による休業」となり
  労働者への休業手当の支払いが必要となります。


以上のことから大きく分けて

【休業手当 必要】
・会社の都合で休業する場合
・労務可能な労働者を会社の指示で休ませる場合
・国や地方自治体から営業時間等の自粛要請があり休業する場合

【休業手当 不要】
・労働者本人が新型コロナウイルスに感染した場合
・医師や保健所が自宅待機要請を出した場合(濃厚接触者等)
・その他、労働者側に働けない事由がある場合(家族の看護等)

となります。
ただし休業手当の支払い不要の場合であっても
労働者本人が新型コロナウイルスに感染した場合以外は
労働者が安心でゆっくり休めるよう配慮をしてください。

厚生労働省 ~新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q1


□ 感染予防対策のために会社ができること

会社は、労働者が安全で健康で働けるよう配慮する
「安全配慮義務」の責務を負っています。
今回の新型コロナウイルス感染症予防対策として推奨されている
会社の取り組みをいくつか挙げていきます。

・テレワーク(在宅勤務)
 公共交通機関での通勤で感染する可能性もあるため
 テレワークが可能である業種等はテレワークをする。

・時差出勤
 人混みをさけて出勤をする。

その他、社内にアルコール消毒を常備する、等も
安全配慮といえるでしょう。
また、労働者には毎日検温して報告してもらうことや
昼食中も大きな声で話をしない、等
労働者全員に協力してもらうことも必要です。